(第101話)纐纈の野心
優紀の両親は無理矢理連れてこられていた。二人とも仕事を放り出して逃げ出すわけにはいけないので、娘と一緒に残っていたのに、こんな事になるなら逃げとけばよかったと後悔していた。娘がこんなひどい目に合うとは。しかも鋼身に改造するとは・・・
優紀の父は町役場で今回の事情を少しは聞いていた。自衛隊は人類に害を為すであろう鋼身と呼ばれる機械化人類を殲滅するために派遣されたんだと。しかし、その自衛隊がなぜ鋼身を作り出そうとしているというのか?
戸惑う優紀の両親の隣に手錠と足枷をはめられた苫米地が連れてこられた。彼なら町役場に何度か来ていたから顔を知っていたが、何故そんな風にされているんか? ますます訳が分からなくなっていた。
「と、苫米地さん、これは一体どうなっているというんですか? あそこの難しい漢字を書く人は自衛隊所属でないのですか? なぜ、こんな事を?」
泣き出しそうな優紀の両親を前に、苫米地は何かを言い出そうとしていたが声が出なかった。すると纐纈がしゃべりはじめた。
「そこの小隊長は何もしゃべれないさ。意識はあるが一時的に声を出せないようにしているからさ。これから行う実験を見せてやろうと思ってさ。
この実験は金が谷地区で誕生した鋼身よりも強力な奴を生み出そうとしているのさ! まあ、人間に戻れなくなるだろうけどさ。それもこれも我々のためさ」
纐纈の薄気味悪い笑い声で言うので朋美が切れ気味に怒鳴った。朋美は顔に似合わないような声と汚い言葉で罵った。
「あんたら偉そうにしてからに! なにが非常事態条項だ! そんな勝手な事をするための口実だろそれは、そこの変態野郎! 優紀たちを放しやられ! そんなろくでなしな事を続けるなら、どこかの政治指導者のように木っ端みじんになって死にやがれ!」
そういって、近くにあった剣道の竹刀で殴り掛かった。しかし、纐纈の腕に当たると竹刀は粉々になり、その反動で朋美は腕を押さえた。
「痛いじゃねえかよ! 固い腕をしやがって」
「やれやれ、お転婆なお嬢さんな事だ。もし、他に利用価値がないのなら真っ先に実験台にすればよかったな、あんたは!
そうそう。その木っ端みじんになった奴だが我々が最大限利用させてもらったんだよ。まあ用済みになったから廃棄したけどさ。それよりも早くそこの三人を鋼身にしないといけねえな」
纐纈はそういうと、リモコンのようなモノを操作するとカプセル内に黒い霧のようなガスが充満し始めた。するとカプセル内の優紀たちが苦しみ始めた。




