開始の時
協力者は、五人になった。
リリアンヌ・グィード
アシュレイ・リトゥルシア
そして、幼い頃から付き従う、ウィラート・オーランド
放課後、彼らと集まると言うのが常になり始めた。
そして、リリアンヌからその言葉は、発せられた。
「ヒロインの登場よ」
ヒロイン。
四人の間で、ある人物に付けたあだ名である。
発案者は、リリアンヌである。
ヒロイン……本名アリス・ワンダー。
これから、学園生活をメチャクチャに掻き回してくれる重要人物である。
「……さぁ、彼女は、ちゃんと動いてくれるかな?」
アリス・ワンダー。
リリアンヌから話を聞いた直後、捜索にかけ、探し出した少女である。
ひどい、状態で生活していた彼女を保護し、妹の治療と引き換えに、演技を叩き込み、男爵令嬢の養子にした。
その男爵家は、リリアンヌの家の末端に在るため、問題はない。
始めこそは、反発していたものの、今では、忠誠を尽くしてくれている。
最後の協力者こそ、アリス・ワンダー《ヒロイン》である。
「始めようか、茶番劇を」
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王妃様は、不幸なお方でした。
それでいて、お優しいお方でもありました。
《とある侍女の独白》