母の名に誓う
王妃足る母が、病でなくなった。
眠るような、死であった。
その日、国中が、母の死に歓喜した。
民曰く、『妃様と王様の愛を邪魔するものが消えた』と
王曰く、『ようやく片付いた』と
妃曰く、『ふふふ、ザマァ見なさい』と
………私は、それが気にくわなかった。
何故、母が、そんなに嫌われなければならなかったのか?
私には、分からない。
新たな王妃には、妃だった女がなるらしい。
私は、第一皇子でありながら、皇太子には慣れないらしい。
だが、そんなことは、俺は、興味ない。
王など、母を傷つけるだけだった。
そんなものに、俺は、なりたくない。
―――――
「レイン様」
「………ウィル。母は、何故嫌われているのだろうか?」
「……………知りたいのですか?」
「知りたい、のではなくて、知るのだ。………協力してくれないか?」
「……………私は、レイン様の従者。レイン様に従うまでです。」
「……礼を言う。」
「すべてを知るまでは、この身を偽り、全てを欺こう。____母の名に誓って」
__________________
ただ、公爵家の娘としてその命を受けたことにより、愛し合っていた御方と引き離され、泣く泣く王家に嫁がれていったのです。
《とある侍女の独白》