婚約破棄
「リリアンヌ・グィード!!貴様との婚約を破棄させてもらうっ!」
「…………」
(この日が来た、な。)
レインは、壇上に立つ義弟を見つめながら、そう思った。
あの日、リリアンヌの解答は、動かない、であった。
『だって、なにもしてないもの。動かなくていいじゃない。』
『そうか』
「アリス・ワンダーに、対する行い。知らないとは、言わせないぞっ!」
「……知りませんわ」
「な………!!」
「だって、私、アリス様とは、友人なのですよ?」
「は……?」
(ん………?)
「そうですぅ…リリア様とわたし、友だちなんでよっ!何度も言ったじゃないですかぁ」
アリスが、演技を続けながら言う。
「だが……アリスをいじめたのは……」
「殿下。少しよろしいですか?」
リリアンヌが、口を開く。
「な、なんだ」
「私は、殿下の婚約者です。殿下が、アリス様と仲良くしておりましたのはしっていましたけど……殿下は、私に一言かけてくれなかったではありませんか。」
「へ……?」
「私は、個人的に、アリス様とお付き合いさせていただいていただけですので、殿下が、一言言ってくださいませんと、皆様に話ができないのです。」
リリアンヌは、しおらしそうに言った。
義弟は、なにも言えなかった。
それに、レインは、含み笑いしていた。
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王妃様は、第一皇子様を、お一人で育てると宣言なされたのは、第一皇子をお産みになられてから、三年の時がたっていた。
その日は、第二皇子様が、お生まれになった日でございました。
《とある侍女の独白》