孤独な王妃
外が、賑やかだ。
三歳になったばかりの息子の息子の頭を撫でながら、気づいた。
息子は、すやすやと膝の上で眠りについている。
王妃の義務として、好きでもないあの人との間に生まれたこの子。
淡い銀髪、私の色である紅い瞳、あの人の色である青の瞳を持つこの子は、生まれた瞬間、あの人に棄てられた。
『魔女の子は、魔女だな………私に少しでも似ていれば…』
吐き捨てるように告げられた言葉に、私は憤慨した。
そして、この子が生まれて以来、あの人はもう一人の妃であり、自分が愛してる人のもとへ通い詰めた。
私は、愛する人と切り離されたと言うのに……
そこまで思い返してると、背後に気配を察した。
チラリと後ろを見ると、私専属の侍女がいた。
彼女は、外の賑やかさと真逆に、悲しげな表情で言った。
「王妃様。妃に、息子が、生まれたそうです。」
予想通りの言葉。
私は、そうと、呟いた。
「……安心して、この子には、悲しい想いをさせない。父の愛情は与えられないけれど、母足る私の愛情で、育てましょう。」
そう言うと、彼女は、意思を固めた顔で、静かに私を見つめた。
そして言うのだ。
「私たちは、王妃様……いいえ、レティシア様の支援をさせていただきます。」
その申し出に、私は………
涙を流すしかなかった。
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私が思うには、王妃様は、不幸なお方でした………
《とある侍女の独白》