五校戦・6
「第3回戦を始めたいと思います。3回戦はアレイル魔法学校対ヴァルキリア魔法学校の試合です。選手の方は入場してください」
両学校の生徒が入場する
「それでは第3回戦、始め!」
タリウスとユーマ、ラウエルがそれぞれのヴァルキリアの生徒へと一斉に魔法を放つ
ヴァルキリアの生徒は最初の方は抵抗していたが徐々に防御が間に合わなくなり、力尽きた
「えっと…アレイル魔法学校の勝利です」
司会も戸惑っているように、俺達も驚いている
「何て言うか呆気なかったな」
「そうですわね」
決勝戦は他のブロックの決勝戦と同じ日に行われるそうだ
「次はカイラ達のブロックだな」
「そうですわね」
待機室にいたカイラ達へと再度忠告しておく
「あぁ分かってるって」
「はい。充分に気をつけて行ってきます」
「2人が気にしすぎなんだって」
俺とソフィは不安を感じながらも3人を信じる事にした
「お待たせしました。Bブロック第1回戦を始めたいと思います。第1回戦はアレイル魔法学校対ヌカルタ魔法学校です」
両校の選手が入場する
ヌカルタ魔法学校にはエーテルがいた
「準備は宜しいですか?では第1回戦…始め!」
開始の合図と同時にエレナとシェルが魔法を唱える
エレナは身体能力の底上げ魔法
シェルは広範囲魔法の様だ
カイラは2人に邪魔が入らないように盾の役割だ
だが、相手も同じ様にエーテルが魔法を唱える横で残りの2人が盾をする
先に魔法を放ったのはエレナ
カイラとシェルの体を淡い光が包み込む
するとエーテル達が炎に包まれた
広範囲魔法『ボルケーノ』シェルが放った魔法だ
「「「「「おぉぉぉ!!!」」」」」
観客は盛り上がる
だが炎がおさまった後には無傷のエーテル達3人がいた
魔法が通用しないと悟ったカイラはエーテルに向かって走る
「『ボルケーノ』」
カイラが炎に包まれた
観客からも先程の様な歓声はない
なぜならこの魔法はシェルが放ったものだから
「『ストーム』」
カイラを包んだ炎は消える寸前で炎の竜巻へと姿を変えてカイラを襲い続ける
炎の竜巻が消えた後には体中火傷をおった姿のカイラがいた
「なん…で?」
「愉快だ。仲間の攻撃で既にぼろぼろ。君みたいな男の側に可憐な女性は似合わない」
「エーテル………2人に何をした!?」
「余り吠えないでくれるかい?また魔法を放つように命令してしまいそうだろ?」
「エレナ!シェル!」
エーテルの横に立つ様にエレナとシェルはカイラから離れていく
「何をしたんだ!」
「簡単だよ。精神系統魔法『操り人形』。これは僕が編み出した魔法なんだ。僕の魔力が持つ限り、僕の望む相手を支配出来る。
別に君を操っても良かったんだけどね…この方が良いだろう?」
そう言ってシェルの頬を撫でる
「わ、分かった。降さ「おっと、それは止めといた方がいい」………どうしてだ?」
「君が降参したら僕は間違えてこの2人に殺しあいをしてもらいそうだ」
「どうすれば!どうすれば良いんだ!?どうすれば2人を解放するんだ!?」
エーテルはニヤリと笑ってこう言った
「死ねばいい」
エーテルはそう言ってエレナとシェルに剣を持たせた
カイラは近づいてくるエレナとシェルに声をかけ続ける…しかし、2人は歩みを止めることはなかった
シェルはカイラの元に行くと剣をカイラへと降り下ろす
カイラは慌てて避けた………避けたカイラの背には剣が深々と刺さっている
エレナが刺したのだ
「良いぞっ!」
騒然となった場にはエーテルの笑い声が響く
俺の胸の奥で何かが込み上げてくる
「ソフィ…これはなんだ?」
響き渡るカイラの叫び声…
カイラの体に突き刺さる剣…
流れる血…
胸の奥深くから何かが込み上げてくる
「それは怒りですわ」
「怒り?」
「狂羅は怒っているんですわ」
「怒りを…そうか」
カイラの右腕が宙をまう
カイラは既に動ける状態ではない
「俺は今、怒っているのか…」
1度分かってしまうと何て事はなかった
何かが埋まった様な気がした
カイラの方を見ると、エレナが止めを刺そうと剣を振り上げていた
「そうですわ。狂羅は怒っていますわ」
ならやることは決まっている
「ソフィ、行くぞ」
「はい」
カイラの左腕を今にも斬ろうとした剣は動きを止めた
エーテルが命令を止めた訳ではない
では何が操られているエレナとシェルの動きを止めたのか………それは恐怖だ
目の前の存在に恐怖し、体が動かないのだ
生存本能の元に、脳は停止することを命じ体は動くことはない
「狂……羅…?」
まだ意識を保っていたカイラの前に狂羅は移動していた
「ソフィ」
「はい」
ソフィはカイラに手をかざすと、神々しい光がカイラを包む
光が収まったときカイラの体は元通りになっていた
「ありがとうございます」
「私もカイラさんにお礼を言いたいですわ」
「どうして?」
エーテルに向かって歩いて行く狂羅を見ながらソフィは言った
「狂羅の感情が戻りましたわ」
そう言って微笑んだ
「アレク、俺達は反則負けだな?」
狂羅は特等席にいるアレクに聞く
「…あぁ」
「エーテルと言ったな?お前の勝ちは決定した」
俺はシェルとエレナの首を絞めて気絶させる
「今すぐに去れ」
決して声は大きい訳ではないが、会場内の全ての人が聞こえていた
エーテル達は恐怖で何も言えずにこの場を去った
「アレイル魔法学校はこの競技を放棄する。次の競技の俺達の最初の相手はヌカルタ魔法学校、お前達だ。アレク、お前がどうにかしろ」
「承知した」
会場の全てに聞こえる様にと発せられた言葉にアレクはしっかりと頷いた
「アレイル魔法学校の奴達にも言っておく。ヌカルタ魔法学校との競技は俺が出る」
観客席にいた生徒も、五校戦の選手も静かに頷いた
「カイラ」
カイラの名を呼ぶ
「狂羅、すまねぇ」
「何故お前がそこで這いつくばっているか分かるか?」
「あぁ………俺が…弱いからだ」
「あぁ分かっているならいい」
そう言い残し去っていく狂羅とソフィを全ての人が見ていた
*****saidカイラ
あぁ分かってるんだ狂羅…俺は弱い
お前が羨ましくて堪らないよ
お前ならその力で全て解決出来るんだろうな
歩いて行く狂羅とソフィの背中は大き過ぎて…
俺はエレナとシェルを担いで待機室に戻った
「勝手に決めてすまない」
待機室に戻ると狂羅が皆に謝っていた
「いえ、良いんですが…本当に出るんですか?」
「あぁ。後の事は頼んだぞ」
「はい」
狂羅とソフィさんは部屋から出ていった
2人が出ていった部屋は重苦しい空気で満たされている
あいつはシェルの魔法と同時に2人に魔法をかけたのだろう
狂羅なら魔法が発動する前に…いや、発動した後でも問題なく勝利しただろう
だからこそ分かってしまう力の無さ
「んっ…」
そこでエレナが目を覚ました
「エレナさん!」
ラウエルが呼びかける
エレナは辺りを見回し、カイラの姿を視界に入れる
そして、エレナは突如泣き出した
「カイラさんごめんなさい!私…私カイラさんに…」
「意識はあったのですか!?」
「私カイラさんに酷いことを…」
声が聞こえてないのかエレナはパニックを起こしているらしい
「エレナさんを違う部屋に連れていきます。きっとシェルさんも起きたら同じ様にパニックを起こすでしょう。なのでシェルさんも連れて行く事にします」
そう言ってラウエルは2人を待機室から連れて出ていった
俺も外に出た…理由はないが、少し外に出ていたかった
「貴方は先程の…カイラさんでしたね?」
「はい」
適当に歩いていると誰かに呼びかけられた
声のした方向を見ると、聖女様がいた
「怪我はもう大丈夫ですか?」
「はい」
「貴方は今、自らを無力だと思っていませんか?」
そう、俺は無力だ
誰も守れずに…何も出来なかった
「無力では無い…そう言うのは簡単です。自らの犠牲で他者を守る事は素晴らしい勇気だと思いませんか?とても強い事だと私は思います。貴方はここで止まってしまうのですか?」
「俺が強い………?」
「はい。とても強いと思います。
そんな貴方が今ここで止まってしまうのですか?
いいえ、止まっても良いのですか?」
止まる…止まるとはどうゆうことだろう…
俺はただ…
「自らを犠牲にし、他者を守る…
言うことは簡単ですが、実際はとても難しい事です。
人は自らの命を大切にするものですからね。
貴方はあれほどの事をされながら自らの命ではなく、彼女達の事を思っていました」
それはそうだが、それだけでは守れない
「俺は何も出来ないままだった」
「そうですね。その通りです。
過去に起きたことを忘れろとは言いません。ですが、過去の事で歩みを止めてはいけません………もう二度と起こらないように…次は守れるように…直ぐにでも歩み始めるのです」
「………次?」
「二度は起こらないとでも?」
そうだ…またあんな事になるかもしれない
その時に俺はまた無力のままなのか?
「駄目だ!俺は強くなって、今後こそは…今後こそは守ってみせる!
聖女様、ありがとうございました」
俺は直ぐに訓練を始めることにした
*****sibe狂羅
あれからソフィと別れて眠りについた
翌日外が騒がしくなっており、目が覚めた
扉の外の廊下の端から足音が聞こえてくる
『何者』、『何処』と言った声が聞こえてくる
ラウエルの止める声も聞こえてくる
「んっ………騒がしいですわね…」
そう言ってソフィが俺のすぐ横で自然に目を覚ました
「ソフィ、何故ここにいる?」
ソフィの服装は白のネグリジェ
「おはようですわ狂羅」
そう言って軽く欠伸をするソフィ
「何故ここにいる?」
「少し肌寒かったのですわ」
まぁそんな理由だとは分かっていた
それよりも今は外の状況だろう
「今日はどうなされるのですの?」
今日か…
昨日の競技はあのまま続けられたらしい
結果は聞いていないが、関係ない
俺がやるべき事は唯一つ
「潰す」
ソフィは笑顔で頷いた
「さぁ、行こう」
「えぇ」
俺とソフィは服を着替えると扉を開けた
廊下は静まり、俺達の行動を静かに見守っている
「ラウエル」
「は、はい!」
「今日は迷惑をかけるが許してくれ」
「迷惑なんて事はないです。狂羅さんも選手です」
「そうか」
ラウエルには感謝だな
「ラウエルさん、私も出たいですわ」
「ソフィさんもですか!?」
「駄目ですの?」
「いえ、そんなことはないのですが…」
「ヴァルキリア魔法学校のミンミさんの試合だけで良いですの」
「分かりました」
「感謝しますわ」
ソフィは何故ミンミと試合をしたがるんだろうか?
まぁ俺には関係ない
「もう大丈夫ですわ」
「行くぞ」
「えぇ」
人混みは左右に別れてただ静かに見ている
俺達は間を通り会場へと向かう
誰も話かける事も出来ずに見送った
「さぁ本日も五校戦が始まります!
五校戦も残すは後2競技!本日は少々の変更はありましたが盛り上がること間違いないでしょう。
本日の競技は選手全員出場の競技です。
各校の未だ見ぬ強者、あるいは秘密兵器!
さぁ本日も盛り上がって行きますよ~~!!」
観客、選手共に盛り上がる
止まない歓声を遮るように司会が話し出す
「では第一回戦、ヌカルタ魔法学校対アレイル魔法学校の試合です!
前競技で一触即発だったこの2校、アレイル魔法学校はこの大会初の選手が出るようです。
それでは入場してください」
歓声が鳴り響く中、対面から入場しているのが見える
「狂羅」
「あぁ行くぞ」
俺とソフィも入場する
アレイル魔法学校からは2名しかいない
その事に戸惑ったのか歓声がざわめきへと変わる
「あの~他の選手の方は?」
「必要ない」
「えっと…」
司会は指示を上に仰いでいるようだ
「エーテル、全員でかかってこい」
俺はエーテルへと話しかけた
「君は馬鹿だろ?この人数相手に何が出来るって言うんだい?」
「雑魚は集まっても雑魚だ」
「まぁ良いだろう。その変わりお前が負けたらソフィさんには夜の相手をしてもらう」
こいつはそんな事しか考えていないのか?
どうするか…負ける事はないが、勝手に決めるのも駄目な気がする
「良いですわよ」
「ソフィ?」
「狂羅が敗北した時は私の処女を差し上げますわ。私の体を好きにして下さって良いですわよ」
会場の全てに聞こえる様になっているため、ざわめきは別のざわめきへと変わる
「約束ですよソフィさん?」
「えぇ」
まぁソフィが良いならいいが
「そう言うことだ、その提案を受け入れよう」
1人1人相手にするのが面倒だっただけなんだが、結果的には上手くいった
「あの~ルールが…」
「当人が良いと言っているんだ。それに結果は変わらない」
俺はアレクへと視線を向けて説得するように促す
アレクは頷くと司会の元へと行った
「えっと、対戦方法変更の許可が降りましたのでこのまま試合を始めたいと思います。
それでは第一回戦、始めぇ!!!」
開始の合図と同時にエーテル達は俺を囲むように移動する
「お前達は属性1つ1つに特性があるのを知っているか?」
「何の事だ?」
俺は周りを囲むヌカルタ魔法学校の生徒に話かける
「例えば火の属性魔法、火の属性魔法の特性は破壊」
「そんなことは知っている!」
「なら闇の特性はなんだ?」
狂羅の質問にヌカルタ魔法学校の生徒は首を傾げた
「それが一体何だって言うんだ?」
エーテルが代表するかの様に言った
「闇の特性は"死"だ」
狂羅を黒い闇が覆っていく
「なっ何なんだこれは!?」
「くそっ!」
狂羅を覆っていた闇は狂羅を中心に徐々に広がっていった
その闇は会場をも呑み込んでいった
「きゃぁぁ!!」
「どうなってんだ!」
観客席からも悲鳴が上がり始める
会場全てが混乱する中、1つの声が響いた
「『断罪の儀式』」
広がっていた闇が狂羅へと集まっていく
混乱は次第に静まっていき、狂羅へと視線が集まる
闇は狂羅の足下へと集まり、1メートル程の大きさで止まった
「な、何をしたっ!?」
「闇魔法、『断罪の儀式』。第一段階『罪の追憶』」
狂羅が新たな魔法を唱える
狂羅の足下の闇からヌカルタ魔法学校の生徒に向かって目にも止まらぬ早さでまとわりついた
「…っ!」
あっという間に動くことも声を発する事さえ出来なくなった
「第二段階『罪の追体験』」
闇に覆われた数人の生徒達の足下に赤い何かが溢れてきていた
そう、血だ
「最終段階『断罪』」
狂羅が呟くと同時に7人の生徒が消えた
後に残るのは7つの血溜まりと闇に覆われたままの3人
「『終・断罪の儀式』」
誰も何も言えなかった
会場が静寂に包まれるなか、3人を覆っていた闇は狂羅へと戻っていく
「「「ごめんなさい、ごめんなさい…」」」
3人共、謝っている
それは一体誰にたいしてなのかは本人しか分からないが
「お前達が体験した痛みはお前達が与えた痛み。人の痛みを理解したお前達はまだ償う機会がある。
罪を償え」
「「「はい」」」
「さて、試合の事だが、どうする?」
「僕達は棄権します。僕達は罪を償わないといけませんので」
生き残った3人は狂羅に1度頭を下げた後、その場から去っていった
「あの~他のヌカルタ魔法学校の選手はどうなったのですか?」
司会者は状況を整理しようと狂羅に声をかけた
「死んだ…いや、俺が殺した」
会場がまた騒がしくなる
俺は騒がしくなった会場全体に殺気を飛ばす
「何も問題はない筈だ。この試合は俺達の勝ちだ」
俺は静かになった会場の出口へと向かう
すると急にソフィが俺へと抱きついてくる
「どうしたんだ?」
「何もないですわ」
俺はソフィを連れて出口をくぐり、待機室へと戻っていった
*****saidミンミ
私の体は既に動き出してしまいましたわ
体が熱い…心が熱い…
「貴方が…貴方が狂神様だったのですね」
私を呼び止める声を全て無視して向かうのは、アレイル魔法学校の待機室
そこにあの方がいらっしゃる
この道の角を曲がればアレイル魔法学校の待機室
「やっぱり来ましたわね」
「ソフィさん…」
アレイル魔法学校の待機室の扉の前…そこにはソフィさんが待っていました
やはり女の私から見ても見惚れる程の美しさ
憎らしい程の美しさですね
「私は狂羅さんに話があります」
「えぇ、分かっていますわ。だから私がここにいるんですわ」
予想はしていました
きっとこうなるだろうと思っていました
「ミンミさん、貴女を狂羅に会わせる事はありませんわ。素直に引き返してくださるかしら?」
「どうして会わせて頂けないのですか?」
「私は狂羅の側にこれ以上の女性が増える事を好ましく思いませんわ。これ以上狂羅が………に近づいてはいけませんわ」
「何に近づくんですか?」
「貴女には関係はありませんわ」
一瞬ソフィさんの表情に陰がさしました
ですが、それもほんの一瞬の出来事でした
「お願いします!私を狂羅さんに会わせて下さい」
「駄目ですわ」
「お願いします!」
ピキッ
地面が凍りついていく
それは私の足元まで一直線に凍っている
「チャンスをあげますわ。最初で最後のチャンスですわ」
ソフィさんはゆっくりと私へと向かってくる
1歩歩く度にソフィさんの足下に氷の花が咲く
寒い…とても寒い…
「ヴァルキリア魔法学校との試合は私が出ますわ。私を倒せば狂羅と会っても良いですわよ」
そう言ってソフィさんは私の顔を両手で挟む
「ただし、貴女達が敗北した時は、今後一切狂羅に近づくことを禁止します。もし近づいたら、私が氷の氷像にしてあげますわ」
ソフィさんは微笑みました
でも、その美しい筈の微笑みも、今は私に恐怖しか与えませんでした
私は言い様のない恐怖にみまわれ、その場を走り去ってしまいました
「ミンミ様!?そのお姿は!?」
私を見たヴァルキリア魔法学校の生徒が声をあげます
私は自らの姿を確認して、また恐怖が襲ってきました
私の服は氷で警告と書かれていました
そしてお湯につけても、火魔法を当てても溶けない…剣でいくら切りつけようが傷1つつかないこの氷…
「私は…」
私は狂羅さんに会えないのでしょうか………
1人自らの部屋のベッドに潜り込み考える
ソフィさんの氷は何をしようが溶けない氷でした
それをソフィさんは詠唱もせず、ほんの片手間に作った氷…
私は…私は…
『貴女の思いはそんなものでしたの?』
何処からか声が聞こえる
(私の思いはそんなものじゃありません!………ですが私にソフィさんを負かす程の力があるとは思えません)
私は聞こえて来る声に、すがりつくように答える
『貴女はずっと想い続けて来たじゃない。あんな女の言いなりになる必要はないわよ』
(私は…)
『力が必要なら私が力をあげる。私は風の精霊王、シルフィード。貴女を幼い頃からずっと見てたわ』
(精霊王?)
『そうよ。だから貴女は諦める必要がないわ』
(私は諦めるなんで嫌です!シルフィードさん、私に力を貸して下さい)
『えぇ。やっと話す事が出来ましたわ。私の契約者』
部屋に風が吹き荒れる
人知れずミンミの体が淡い緑の光を発したのであった




