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最凶の存在  作者: 翔さん
第壱章*学園編
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そして始まった

「承知した。明日もう一度王宮の前に来てくれるか?」

「何故?」

「エレナと一緒に通ってもらうのが一番早いと思うのじゃ。道を知っておるし、何より信用度があるからの」

「エレナも魔法学校に通ってるのか?」

「そうじゃ」

「ならどうして盗賊に何もしなかったんだ?魔法が使えるのなら自力で解決出来た筈だが?」

「魔術師と言っても、まだ入学したばかりじゃからの。対人戦にも慣れておらぬしの」

「そうか。明日の何時に来ればいい?」

「そうじゃな…エレナは朝の鐘がなるときには学校に向かっておる。朝の鐘がなるまでには来てもらいたいの」

「分かった。じゃあエレナに宜しく言っといてくれ」

「承知した」


そう言って部屋を出ようとするとアレクが「少し待ってくれぬか?」と呼び止めた


仕方なく立ち止まってアレクを見る

何かを考えているようで、少し俯いている

しばらくすると意を決した様に俺を見た


「狂羅殿だったな?今日は王宮に泊まっては行かんか?勿論良かったらじゃが」


何を言い出すかと思えば…面白い事を言う

今日会ったばかりの得体の知らない相手を泊まらせていいのか?

だが、まだ寝るところを決めてはいない

正直に言うならどちらでも良い


「狂羅殿?」


考え込んでいた様だ

それにしてもこの国の王は変わっている

普通なら敬語が必要な筈だが、俺は何も言われていないしな


「すまない、少し考え事をしていた」

「気にするでない、それでどうするのじゃ?」

「俺は構わない。だが確認したい事がある」

「確認したい事?」

「何故俺を捕まえない?何故俺に対して友好的に接する?お前からすれば得体の知れない相手の筈だが?」


直球に質問しすぎたか?

いや、アレクに対しては直球の方が良い様な気がする

それに言葉の駆け引きは得意じゃないんだ


アレクの反応を見る…そして少しながら驚いた

アレクは大声を上げて笑っていたのだ


「ふぅ…そうじゃな。エレナの恩人、そして戦士としての勘が敵対するなと言っておるからじゃ。絶対に敵対するなと警告を発し続けているからじゃ」


剣王は勘が言ったと言っている

強者の勘は唯の勘ではない

異常なまでの正確性を誇る


「そうか。ならば泊まらせてもらおう」

「それは良かった。おい、部屋に案内してやってくれ」


アレクが部屋にいたメイドさんに声をかけた


メイドは返事をし、俺を案内する為に俺の腕を掴んだ


「ヘレン止めんか!大切な客だぞ」


アレクがメイドを叱りつける様な声を出す


「いいじゃないですかぁ~、それにここからはメイドの仕事です」


と、メイドは答える

それにしても随分ノリが軽いな

それに、肝が据わっていると言うか何と言うか…


「すまないな狂羅殿。儂達はこれが素なんじゃ」


俺にアレクが謝罪する


「大丈夫だ」

「改めまして狂羅様。私メイドのヘレンと言います。エレナ様のお付きメイドとして働いております」

「狂羅だ」

「ヘレンとお呼び下さい」

「分かった」

「………。」

「何だ?」


ヘレンと言ったメイドは俺を見ながら黙っている

俺も無言でいたが、何だと言うのだ


「………。」

「何だ?」

「ヘ・レ・ンです!」


とても大きな声でヘレンと強調するように言ってくる

これは名前を呼べば良いのか?


「ヘレン」

「そうです。それで良いんです」

「すまんの狂羅殿。あぁ儂もアレクで良いぞ狂羅殿」


やはりこの王も可笑しい

まぁ俺もそっちの方が楽だし、良いのなら呼ばして貰おう


「分かった。アレクも呼び捨てにしてくれれば良い。狂羅で良い」

「そうか、それでは明日は娘を頼んだぞ狂羅」

「あぁ」

「それとヘレン、くれぐれも粗相の無いようにな?」

「分かってますよ~。では、行きましょうか♪」


俺は腕を引かれるままに連れていかれ部屋を出た


狂羅が出ていったアレクの私室

アレクは狂羅の出ていった扉を見ながら思った


「本当になんてもんを拾ってきやがったんだエレナは…」


国王の呟きだけが響いた…





俺は今疲れている

あの後、部屋に入ってから一悶着あった

何があったか?

何故かヘレンは俺の部屋に入ると、服を脱ぎ始めたのだ

いや、かなり驚いた

案内されてそのまま気配消して部屋に入ってくるなり服を脱ぐのだ

驚かないのが不思議なくらいだ

何をしてるんだと聞くと「本当に男なのか確認を…」って

取り敢えず寝たいから外に追い出した


もう一つ問題がある

それは今の外の時間帯


明るい…

何故なら日が登ってきているからだ

嘘だと信じたかった

だが現実はいつも残酷だ

ヘレンのお陰で朝になっていた

ヘレンを追い出すために何時間も使わされた…


最悪だ…

どうする?

いや、決まってる

勿論寝る

まだ学校までの時間はある筈だ

まぁ良い

俺はベッドへ入った


「寝ては駄目ですよ狂羅様」


誰だ俺の眠りを妨げるやつは?

振り返るとエレナがいた

しかも制服と思われる服を着ている


「まさかもうそんな時間なのか?」

「はい。そろそろ朝の鐘がなると思いますよ」


ゴーン、ゴーン…


「ね?」

「ヘレン…」

「まさかヘレンがご迷惑を!?」

「あぁ、もういい。もう行くのか?」

「狂羅様の準備が終わり次第に行こうかと思っています。本当に申し訳ありません」


俺の持ち物はない


「準備するものはない。それより、俺の服装はこれでいいのか?」


今の俺の服装は黒いズボンに薄い黒のシャツ、そして顔を隠すための仮面を持っている

別に正体云々は気にしていないが、最初の印象が重要だからだ

まぁどっから見ても不審者だが


「その仮面以外は大丈夫だと思いますよ」

「気にするな。で準備は出来たけどどうする?」

「なら行きましょうか♪」

「了解」

「はい♪」


そう言って笑顔で進みはじめたエレナについていく


王宮を出た俺達は周囲の視線を集めながら学校に向かう


一人はアレイル国の綺麗なお姫様

その横には不審者


俺の予感がきっと良い学校生活になるといっている


俺は黒い笑みを浮かべながら色々と説明してくれているエレナと学校に向かっていく俺だった


次こそは学校に行きます

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