招待される
さて、今日の寝るところを決ないといけない
金はあるのだから宿が一般的だろう
今いるのは喫茶店の目の前
そして俺の囲むように四人の騎士
ゆっくりし過ぎて情報を掴まれたらしい
「お嬢さん、少し宜しいでしょうか?」
ここから一番近い宿はどっちに向かえばいい?
「すいませんお嬢さん、少しだけお時間を頂いても宜しいでしょうか?」
最終手段はあるため、別に宿が見つからなくても良い
「あの~」
ここで悩んでいても宿はやってこない
ならば探しに行くのが良いだろう
昨日は野宿だったんだ
今日は布団の中に入りたい
そんなことを考えていると腕を捕まれた
見ると騎士の一人が俺の腕を掴んでいる
面倒だと思う
それにおっさんに触られても喜ぶ体質ではないのだ
「誰が触って良いと言ったんだ?」
「すいません。ですがこちらも訳があって呼び止めた次第です。決して疚しい感情はありません」
「俺には関係ない事だ。お前達の都合を俺に押し付けるな」
「すいません、貴女の仰る通りです。私達の都合で申し訳ないのですが、出来れば協力してはもらえませんか?少しだけお時間を頂けませんか?」
その騎士の誠意に、少しだけなら付き合ってやろうとそう思った
「用件は何だ?」
「ありがとうございます。実は私達は人探しをしております」
「知っている。だが、お前達の探しているのは女と聞いた。ならば俺に話しかけるのは間違った時間の使い方じゃないのか?」
「どうゆう事でしょうか?」
この騎士も俺の事を女だと思って話してる
だから勘違いなのだ
俺は男で、こいつらの目的は女
まぁ人物はあってるけど条件が違うのだ
ならば俺は無関係でやり過ごす
「俺は男だ」
「………はぁ」
「性別は男だから、お前達が探してるのは俺じゃない。分かったら早く行った方が良い」
「ですが…いましたよね…王宮に?」
「お前あの場所にいたのか?」
「はい、この目でバッチリと貴女のお姿を確認させて頂きました」
「…性格が悪い様だな」
ここで逃げることは簡単だ
だが王宮の時とは違い、俺だと分かっているのに対応が良い
エレナが何か言ったのだろう
「申し訳ありませんでした。出来るだけ貴女の口から聞きたかったもので…」
「はぁ…それで何の様だ?」
「はい、用件をお話する前に謝罪させていただきます。先程は失礼致しました。姫様がいなくなったので浚われたかと思っていた所に、貴女が姫と共に現れた為、やはり浚われたのだと勘違いしてしまいました」
「それで?」
「はい。ですから我々の謝罪と姫様のお礼を兼ねて陛下から招待状を預かっております」
何処の誰かも分からない者を城へ呼ぶ王へ少し興味が出た
「面白そうだ。いつ行けば良い?」
「面白そう?………そうですね、出来れば今夜中にとの事なのですが…」
「俺は構わない」
「ありがとうございます。では、馬車をお呼びしますので暫しお待ち下さい」
お礼に何を要求すれば良いのか迷う
金は稼いでいたからある
そうか、学校に編入させるように言えば良いのか
まぁ理事長脅すのも面白そうだが、面倒だった
王への要求は決まったな
「お待たせしました。では、お乗り下さい」
凄い馬車が来るのかと思ったが、案外普通の馬車だった
暫く待っていると馬車が止まりそのまま案内される
どうやら会う場所は応接室ではないらしく、王の私室らしい
「陛下、狂羅様をお連れしました」
「入れ」
「それではお入り下さい」
俺の横にいた騎士が王宮に入るときにメイドに変わっていた
ここに来るまでの間特に何も気にせず歩いていた
だからメイドに変わったのも気づかなかったのだ
中に入ると椅子に1人の中年の男がいた
勿論この国の王だ
服の上からでも分かる程の鍛え上げられた筋肉…強者の風格がある
「儂はアレイル国の王である、アレク・ハートじゃ。
この度は娘を助けてくれたようで心から礼を言う。
お礼を儂が出来うる範囲でしたいと思うのじゃが…何か欲しいものはあるか?」
アレク?
聞いた事がある名だ…剣王のアレク
話に聞いたよりは出来そうに見える
「剣王のアレクか…」
「懐かしい名だな…それで何を望む?」
「俺が望むのは2つ。
1つは剣王との戦い、2つめはアレイル魔法学校への編入だ」
「2つめは直ぐにでも出来るが…何故私と戦いたいか聞いていいか?」
「簡単だ。ランキング100位以内のお前と、今の俺との力の差が知りたい」
「ハッハッハッ!面白い事を言う。かなりの遣り手の様に見える。相手をしてやろう」
「心配しなくていい。ちゃんと手加減はしてやる」
その瞬間凄まじい殺気がアレクから発せられる
流石は100位以内と言ったところか
だが、まだまだ足りない
「少しは期待出来そうだ。安心したぞアレク」
「動揺もせぬか………率直に問う。お主何者じゃ?」
「いつか分かるだろう」
「そうか、気長に待つしかなさそうじゃな。1つだけ教えて欲しい…お主は敵か味方か?」
「今の俺は誰の味方でもないし敵でもない。…お前達の接し方次第だ。エレナとは仲良くしてやろう」
「そうか、それならば安心じゃ。学校に入りたいと言っておったな?いつからにするんじゃ?」
決まってる
「勿論明日からだ」