面倒は連鎖する
視界にひろがるは大理石で出来た一室
「………え?嘘!?さっきまで森だったのに」
「あぁ、転移した」
エレナがもの凄く驚いている
口がずっと開きっぱなしだ
「エレナ様!」
「貴様何者だ!?」
「そこを動くな!」
騒がしい
俺を囲むように騎士が並んでいる
少し苛つく…殺しても大丈夫の筈だ
念の為に聞いてみよう
「エレナ、うるさいから殺してもいいよな?」
「え?だ、駄目ですよ!?駄目ですからね!」
「殺気を向けられたら殺してしまいそうになるんだが」
「貴様っ!姫になんたる御無礼を!」
姫?エレナの事か?
また失敗した様だ
面倒な事になる前に逃げた方がいいな
「おいエレナ、俺は帰るぞ」
「え?す、少しだけお待ち頂けませんか?まだお礼を」
「今すぐそいつを捕まえろ!」
「「「「「ハッ!」」」」」
俺を囲んでいる騎士達が捕まえようと動くのと俺が転移するのはほぼ同時だった
「奴は何処へ行った!」
「それよりも、姫様お怪我はありませんか!?」
声を発したのは王国騎士団長のレオン
「大丈夫ですよレオン。それよりもですね…」
「分かっております姫様。あの女を捕らえるのですね?」
「ち、違います!狂羅様は私の命の恩人なんですよ!?だからお礼をしたいのです。速やかに狂羅様に謝罪し、城へ来て頂けるように手配してください」
「ハッ!ですが、命の恩人とはどうゆうことでしょうか?」
「私が盗賊に襲われている所を助けて頂いたのです」
「何と……わ、私は姫様の恩人になんと御無礼を…」
「私、まだお礼をしておりません。
ですので狂羅様にお城に来てもらいたいのです」
「承知致しました」
一方逃げ出した狂羅は…
「おばちゃん、パフェのおかわりを頼む」
「そんなに食べたら太るよ?」
「太らない」
「そうかい。ならちょっとだけ待っておくれ」
と、呑気にパフェを頬張っていた。
さて、色々あったが町に辿り着いた
これからどうしたものか…
今いる場所はアレイル国の城下町の喫茶店
「おばちゃん、この辺に学校ってある?」
パフェを持ってきたおばちゃんに聞く
「学校かい?この辺だとアレイル魔法学校しかないと思うがねぇ」
「そうか」
「お嬢ちゃん魔術師かい?」
「あぁ、俺は魔術も出来る。ついでに男だ」
「ふふっ、お嬢ちゃんは冗談が上手いねぇ。
家の娘も魔術師だから話してみるかい?
アレイル魔法学校にも通ってるからねぇ」
「冗談じゃねぇけどな。まぁ話せるならお願いしよう」
「そうかい。なら呼んでくるから少し待っといておくれ」
そう言って何処かに行ってしまった
それより、仕事はいいのか?と、純粋に疑問に思ってしまう
取り敢えず当初の予定は達成出来そうだ
(ソフィ、俺は学校にいけそうだ)
そう思いながらパフェを完食しておばちゃんが帰ってくるのを待った
少し、いや凄く待っているとおばちゃんが一人の少女を連れて帰ってきた
「遅くなってすまないねぇ」
「構わない、俺の「あぁ~~!」…何だ?」
少女が俺の顔を見るなり声を上げた
凄く注目されてしまった
「こらシェル!急に大声出してどうしたんだい!?」
おばちゃんの娘はシェルってゆうらしい
「だってこの女の人指名手配されてる人だよ!」
おい、今何て言った?
俺が指名手配だと?
エレナさんだよな?
そこまでするのか…だから嫌だったんだ
「なぁシェル、その話詳しく聞かせてくれ」
「別に良いですけど…。さっき外を歩いていると王国騎士の方々が"黒と金のオッドアイのもの凄い黒髪美人"を見てないか?って聞きまわっていたから…
この店にも来るんじゃないですか?」
黒髪美人ってことは女の事の筈だよな?
なら男の俺は大丈夫だな
「そうか。生憎、それは俺じゃない」
「え?いや、でも…」
「探してるのは女の筈。俺は男だから関係ない」
「………男?」
「あぁ、なんなら触ってみるか?ちゃんと生えてる」
そう言うとシェルの顔が赤く染まっていく
「だ、駄目です!触りません!触りませんからぁ~!!」
「しかしあんた本当に男なのかい?」
「だからそうだって言ってるだろ」
「すまないねぇ。まぁ後は娘と話しておくれ」
「分かった」
そう言っておばちゃんは仕事に戻った
「まぁ取り敢えず座ってくれ」
「…はい」
よく見るとシェルもなかなかの綺麗な顔付きをしている
青い瞳に金色の髪を腰まで伸ばし、スタイルも良い
学校では人気があるタイプだろう
「俺は狂羅だ、宜しく頼む」
「私はシェル・ランカスです」
「じゃあシェル、少し聞いていいか?」
「私が分かることなら…」
「学校に入る方法を教えて欲しい」
それから学校について聞いて、その後は雑談して帰った
取り敢えず方法は決まった
理事長を脅したら行けるだろう