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最凶の存在  作者: 翔さん
第壱章*学園編
2/68

そして始まる

「おとなしくしてろよ。そしたら痛い目見ずに済むからな」


目の前に四人の男、その内の一人がニヤニヤしながら近づいてくる


「へへっ、マジでいい女だぜ」


面倒だ…

今の心境はただただ面倒の一言だった


右腕を伸ばし男の頭を掴む…そして、握り潰した

男の頭は原型を留めておらず、後頭部から脳が飛び出す


「は?………て、てめぇ何しやがった!!」

「腕を伸ばして頭を掴み、強く握った」

「そ、そんなわけあるかっ!!動いてねぇだろうが!!」

「さっきのも見えない様なら俺には勝てない。かなりレベルも下げて動いた筈だ」


腕を伸ばして頭を握り潰す

簡単な作業だ

只、男達には動いている事が認識出来ない程の速さだっただけである

男達は呆然としている

自分達は相手を間違えたのではないかと


「きゃあ!!」

「動くな!!そこから一歩でも動いたらこいつを殺すぞ!!」


これもよくあることだ

弱者は人質を盾にする

それは天と地程の差がある相手では通用しない

それに助けに来た訳ではない

ただ何かの間違えでこの場に居合わせただけなのだ


それでも助けて欲しいと言うならば、自らの命より俺の身を案じてくれた少女を救おう


「俺ならばこの状況でもお前を助ける事は出来る。お前の望みは?」


だから問う

生きたいかと少女に問う


「わ、私は…」

「黙れ!いいか、何も喋るんじゃねぇぞ!お前もだ!」


そう言って持っていたナイフを俺に向ける


「もう一度聞く、助けて欲しいなら声をだせ」

「私は…」

「黙れって言ってんだろっ!」


お頭と呼ばれていた男が少女の首にナイフをあて、声を出さないように脅す

少女は瞳に涙を滲ませ俺を見る


俺は頷く

言ってみろと、言外にそう言った


「助けてっ!」

「てめぇ!ぶっ殺してやる」


男がナイフを振り上げる


「あぁ」


だが、男のナイフは少女に当たる事はなかった

男に近づき、相手が認識する前にナイフを持っている方の腕を引きちぎる


「ぎゃぁぁぁーー!!う、腕が!俺の腕が!」


男は余りの痛みに地を転げ回った

俺は茫然とする少女へと向く


「良くやった。行くぞ」

「………はい」


騒いでいる男を無視して少女の手をとり立たせ、その場を離れる

少女は黙って俺の後ろをついてくる


無言が続く

助けたは良いが、これからの事を考えてはいなかった


あれから日が暮れるまで俺達に会話はなく、適当に歩き続けた

日が暮れ始めて直ぐに少女が震えながら座りこんで泣き始めた

(こう言うときはどうすればいいんだ?)


取り敢えず泣き止むまで待つことにした


しばらくすると、聞こえていた嗚咽が止まり始めた

仕方なく話しかける事にする


「名前は?」


そう話しかけた

少女の潤んだ瞳が俺を見る


「私はエレナ、エレナ・ハートです。助けて下さってありがとうございます」


エレナは丁寧に頭を下げる


「本当にありがとうございました。

貴方が来て下されなければ、私は助かる事はありませんでした。

あの…お名前を教えて貰っても宜しいでしょうか?」

「…俺は狂羅だ」


エミリアは少し不思議そうに俺を見る


「どうした?」

「いえ、珍しい一人称でしたので少し驚いてしまって…。あっ、お気を悪くしたのでしたら申し訳ありませんでした」


(俺の外見は遺憾ながら女に見間違えられる事が多い)


だから俺は訂正する

間違えられたままだと気分が悪い


「え、男の方だったんですか!?」

「あぁ」

「失礼ですが驚きました。こんなに綺麗な方もいるんですね…」


そう言って俺の顔を覗きこむエレナ

もうその瞳には涙はない

俺は鬱陶しくなり、少し睨む

するとエレナは慌てて謝ってきた


「あそこで何してたんだ?」

「実は…」


それから長い間話を聞いた


簡潔に言えばこうだ

母が病気で、必要な薬草を取りに来て襲われた


これだけで終わる筈の話を、家族構成や、母親の素晴らしさを力説され、30分程の時間がかかった

何で家族構成や友達の話まで聞かないといけなかったんだ?

まぁいい、終わった事だ


「仕方がない。町までは送ってやる」

「で、でも薬草が…私が持って帰らないといけないんです!」


俺がここで去れば、また薬草探しを開始するのだろう

そうなると助けた意味がない

本来ならこの後起こる事は関係ないんだが、何故だか俺は面倒だと分かっていながらも、無事に家まで送ると決めていたのだ


「エレナの母親の病気は俺が治してやる」

「え?」

「説明は面倒だ」


俺はエレナの頭に手を当てる

エレナの情報で必要な事だけを読み取る


「え?え?」


エレナの頭から読み取った家の場所を正確にイメージする


「行くぞ」

「待って下さ」


エレナの言葉は最後まで続く事はなく、2人の姿は忽然と消えたのであった



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