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閑話 陽だまりのメモリー
2章開始です!
人気のない、どこかの都市の、建物と建物の間にある小さな公園。
申し訳程度に植樹されたそこで、少年と少女がブランコに座って何か話している。いずれも5歳くらいであろうか。
夕暮れの赤い光が二人を照らす。
喋っているのは主に少女で、少年の方は聞き役に徹しているようだ。
「ねえ、そういえば君ってどこの子なの?この公園のそとでは、見ないけど。」
少女がそう尋ねるも、少年は答えない。
しばしの静寂の後、少女はいきなり何かを思い出したようで、あっ、と言い、少年に新たな質問をした。
「そういえば、わたし、まだ君の名前きいてなかった!なんていうの?」
まただんまりかと思いきや、所在なさげに足をぶらぶらさせていた少年は、重い口を開いた。
「 」
「…?そう。佐久間君っていうの。」
少女は嬉しそうに、にっこりと、大輪の向日葵のような笑顔を浮かべた。
あのね、わたしの名前は____




