表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エイプリル・フール  作者: いちい
藍色の愛を胸に抱いて
36/45

閑話 逢魔ヶ時のエピローグ

 




 僕は今、6才という若さで、人生の崖っぷちに立たされている。


 前には結婚をせまる少女。

 後ろには彼女との別離。


 赤く輝く太陽が、僕を嘲笑うかのように、小さな公園をぎらぎらと照らしている。


 僕は悩んだ末、言う。


「…結婚はまだ決められない。

 でも、一つ『約束』しよう。

 僕はここから離れないといけない。

 それは仕方ないことだし、変えられない。

 だけど、いつか僕は、必ず君に会いに行く。

 もしかすると、成長して姿はぜんぜん違ってしまっているかもしれない。

 だから、そしたら僕を見つけて欲しい。」


 彼女は首を傾げた。


「みつけたらどうなるの?」


 それは考えていなかった。

 どうせこの契約は不可能なものだから、どうでも良いと言えばそれまでだが、しかし一方的な『契約』は成立しない。

 それなら…。


「だったら、もし君が僕を見つけてくれたら、1つだけ君の願いを叶えてあげる。

 だから待ってて。」


 僕はそう言った。


 彼女が目を輝かせる。

 そんな時は永遠に来ないとも知らずに…。


「ホント!?

 やくそくだよ、佐久間君。」


 …よし、『承諾』も得た。

『契約』はこれで成立。

 彼女には悪い気もするが、これもやむなしだろう。

 どうせ彼女はこのことを思い出せやしないんだから。


「うん…。約束だよ。

 多分果たされることはないけどね。」


「?」


 僕は瞳に疑問符を浮かべる彼女の頭に手を載せると、彼女の記憶から僕に関するものを全部、封印した。







 少女はしばらく焦点の合わない虚ろな目をしていた。

 徐々に意識がはっきりしてきたのか、目の前に立つ少年に気が付いて、口を開く。


「あれ?きみはだれ?」


 少年は優しく微笑んだ。


「…ただの通りすがりだよ。

 それより君、早く帰った方が良いよ。

『逢魔ヶ時』になっちゃったからね。」


「おうまがどき?」


 言葉の意味が分からなかったのか、少女が鸚鵡(おうむ)返しに尋ねる。


 少年が苦笑する。


「化け物が出る時間のことだよ。」


「おばけっ!?」


 少年の答えに、少女は過剰なくらい、びくっと背筋を震わせる。


 本人は至って真面目なのだろうが、どこか愛嬌のあるその仕草は大人の微笑をさそう類のものだった。


 少年も、小さく口の端を上げる。


「たまきかえる。ばいばい!」


 少女は手を振りながら、慌てて走り去った。

 きっとお化けが怖いのだろう。


 やがて少女が見えなくなると、少年も、笑みを浮かべて、夕日を背に浴びて歩き出す。


 彼女とは逆の方向に。





 赤い光が、誰もいなくなった公園を照らしている。







これで、全部の情報を出し終えました。


黒幕は、誰なのでしょうか。

そして、佐久間君の正体とは?


作者からの挑戦(笑)です。

動機は考えても多分意味ないと思うので、こいつ明らか怪しいだろ、というキャラの行動を分析してみて下さい。


次の話から6章に入るのですが、もしかしたら作者からの挑戦(笑)を受けて、推理してみたいという読者の方もいらっしゃるかもしれないので、次の更新まではすこし日をあけようと思います。


日曜日に1話、更新するつもりです。

月曜は用事があるためあけて、火曜日にもう一度更新しようと思います。


ここまで読んでくださった皆様、ありがとうございます。


おそらくあと7話程度で終わると思うのですが、あとすこし、お付き合い願います。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ