表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エイプリル・フール  作者: いちい
藍色の愛を胸に抱いて
31/45

5章 3話



更新遅くなってすいません。



 





 夕の部屋を後にして寮の1階に降りた私は、エントランスの椅子に座り、考える。


 今回の事件の全貌は分かった。

 しかし、どう収集をつけよう。

 慎重にならなければ。私がベットしているのは、自分の命だけではない。現実にサレンダーはないのだ。


 いつの間にか俯いて思考に沈んでいた私の視界に、ふと影がさす。

 顔を上げると、そこには白石先生が微笑んでいた。


「あ…。こんにちは。

 白石先生、どうなさったんですか?」


 白石先生は、いつもとまったく変わりない、柔らかい声で言う。


「いや、何か君が困っているようだったからね。

 僕の手助けは必要かな?」


 私は逡巡する。

 しかし、現状では私に返せる返事はYESだけだった。


「…はい。それでは、皆を部室に呼び集めてくれませんか?

 …犯人が、分かりました。」


 それを聞いて、先生の表情が変わる。

 驚きと、これは…悲しみか。


「…そう。遂に、分かったんだね。

 良いよ、僕が皆を呼んでくる。

 集めるのは、九重君、篠宮君、千秋さん、笹野さんで全員かな?」


 先生は、儚く微笑(わら)う。


 思えばこの人も、悲しい人だろう。

 だからこそ、この役は先生に任せるべきなのだ。


 私は黙って頷いた。


 そこで先生と別れて、気分を落ち着けるため一度部屋に戻った。


 もしかしたら私は、自暴自棄になった犯人に殺されてしまう可能性だってあるのだ。


 部屋の真ん中で立ちすくむ。


 突然、何かの気配を感じた。

 目線を下げると、クロがすりすりと、足に纏わり付いている。


「にゃー。うにゃあ?」


 彼の暖かな体温が、生きている証が、凍ったような私の心を溶かしていく。


 行くのか?

 彼はそう目線で問いかけてきた。


 大きな茶色い瞳が、私を見据える。


 私はそれに応え、一つ頷く。


「うん。行ってくる。」


 私は粛々と準備を整え、部室に向かった。





 ◆◇◆◇◆





 私は部室に一人、向かった。


 不思議と心は凪いでいる。


 部室の前で深呼吸をしてから扉を開けると、案の定、まだ誰も来ていない。


 …ここには、たくさんの思い出が詰まっている。


 私は目を細めた。


 思い出すのは、ユカ先輩が生きていた頃の、あの日のこと。

 明るい光に包まれた、優しい記憶。

 私は目を閉じた。




 ___


 椅子に座って机の上で書き物をしている先輩を、身を乗り出して、隣の机に座った私が見下ろしている。




 先輩、今度の創作絵本、凄い力作ですね

 どうしたんです?

 どこかのコンペにでも応募するとか?


 いや、そういうわけじゃないよ

 …これはね、私の大事な人にあげるものなんだ


 え〜、恋人とかですか?

 幸せ者ですねぇ〜


 …なんだい、その目は

 残念ながら違うよ

 私がこれをあげるのは…




 先輩は微笑んだ。




 …やっぱり教えない

 知りたいのなら、推理してみるんだね

 …環はそういうの、好きだろう?


 んー、そうですけど

 先輩のいけずぅ


 ___





 もう一度目を開いた時には、もうその幻は消えていた。


 扉を閉めて、私は窓際まで歩み寄り、窓の外を眺める。


 私を見ていて、夕…。

 …それに、ユカ先輩。


 そう、祈る。


 窓からは、長雨に耐えて花を咲かせる桜並木が見えた。





 ほどなくして、白石先生に連れられ、関係者がやって来る。


 白石先生、九重先輩、逸樹、千秋さん、紗枝。

 これで役者は揃った。


 白石先生から事前に説明を受けているためか、彼らは一様に静かだった。


 私は口を開く。

 舞台の幕を引くために。


「皆さんにお忙しい中来ていただいたのは、今回の事件の真相が分かったためです。

 サークルの皆を殺したのは、あなたですね__」










多分、犯人は皆さんの予想を裏切ってないと思います。

でも、動機と登場人物全員の人間関係までわかったら凄い。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ