閑話 夕暮れ時のプロローグ
この作品には、ファンタジー等の要素が入ります。そんなの…推理ものじゃねえ!という方は、5章まででブラウザバックをお勧めします。
あと、人が死ぬシーンがありますが、決してそのような行為を推奨するわけではありません。良い子は真似しないで下さい。
作者からは 以上です。
それでは本編をお楽しみ下さい~。
失礼しました。
人気のない、どこかの都市の、建物と建物
の間にある小さな公園。寂れており、おそら
く存在を知るものもほとんどいないのだろう。
申し訳程度に植樹された、ブランコしか遊具のないそこで、片方のブランコから小さな影が夕暮れの地面に長く伸びていた。
5歳くらいの、年不相応な倦んだ目をした少年が、一人ぼっちで、ぽつん、と座っている。
じっと、赤から黒味を増しつつある空を眺めているようだ。
そこに、同じくらいの年頃の少女がやってきた。少年とは対照的に、子供らしい好奇心に溢れた輝く瞳が印象的である。
少女は軽やかな足取りで、少年に近づいていく。
「こんにちは。君、なんていうの?ひとり?」
少女が、幼いころ特有の無謀さで話しかける。しかし、少年はどことなく迷惑そうにするだけで、反応を示さない。
少女はそんなことは頓着もせずに話し続ける。
「ねえ、ね〜え〜。 …………。まあいいやっ、ほら、立って!一緒に遊ぼ!」
少女は少年を立たせると、そのまま手を引いた。少年は驚いたように目を見開く。そして黙って少女についていった。
少年の口元は、ほんの一瞬の些細な変化ではあるものの、確かに笑みを形作っていた。
夕暮れ時の公園の、地面に落ちる影は2つになった。