クラス戦
前々から思っていたけれど、戦闘の場面が上手く書けない……。※悪い点、感想、アドバイスのような物をしてくれると助かります
「よう、レン。今日は帰ってくるの遅かったな」
僕が寮に帰ってきた時間は、いつも朝食を取りに行こうとしている時間である。
「同級生の子と知り合ってね。少し話し込んでたんだ」
「へえ、もう友達が出来たのか。なかなか幸先が良いじゃないか」
友達と言えば、美月もいる訳だが、彼女が合格しているという確証が無かったので、黙っていた。
「さて、レン。ササッとシャワー浴びてきなよ。僕たちは待ってるから」
「了解」
僕は頷き、シャワーと着替えを済ませ、海斗達と朝食をとり、学校へ向かった。
学校に入ると、急に腕輪が光りだした。僕は腕輪に目を向ける。すると、そこには文字が浮かび上がっていた。
『石口蓮 壱年壱組』
このLiMACという学校は一学年だけで、壱組から拾組まで存在している。一クラスは約四十人で構成されている。つまり、一学年だけで四百人もいるのだから、学校全体がどれ程の大きさは分かるだろう。クラスの分け方は、全クラスの能力が平等になるように割り振られている。例えば、学年トップと学年最下位が同じクラスになる、という事だ。この分け方の基準になる物は、一年のクラス分けの場合は入学試験、二年から六年までのクラス分けは一年間の成績により決まる。この学校の特別な所は留年制度が無いという事だ。成績不振者は、次のテストまで、担当の先生方にみっちりと勉強を教わるのだ。
僕は自分のクラスに向かった。クラスの中は、緊張や不安といった物でピリピリした空気が感じられた。僕は自分の席に荷物を置くと、ザッと周りを見渡した。本を読む者、音楽を聴く者、何もせずにボーっとしている者。その中で、一人見知った顔を見つけたので僕は近づいてゆく。
「やあ、美月。久しぶり!」
「え?」
彼女は、自分の名前を呼ばれ、ピクッとした。そして、恐る恐るといった感じで、こちらに目を向ける。
「あ、蓮君か~。誰かと思ってびっくりしちゃったよ」
彼女はホッと安堵の笑顔を浮かべる。
「お久しぶりです、蓮君。合格して、同じクラスになれるなんて、運命を感じますね!」
「大げさな気もするけどね。これから一年間よろしくね」
「はい、こちらこそよろしくです」
久々の再会により、話したいことなどがいろいろと有ったが、美月が少し気まずそうな表情を浮かべている事に気づいた。ああ、この空気だからな。美月に迷惑は掛けたくないし自重しておくか。そう思った僕は、またねと言って自分の席へと向かった。椅子に腰をかけ、何をするでもなく机をボーっと眺めた。しばらくすると、担任が教室に入ってきた。
「おう、俺の名前は高橋涼馬だ! この壱組の担任でもある。教科担当は『初級魔法の使い方』だ! 初級魔法のコントロールを一年掛けて覚えてもらうつもりだ。一年間よろしくな!」
なんか、妙にテンションの高い先生だな。
「さて、早速だが自己紹介をして貰おう」
出席番号が一番の僕から自己紹介が始まった。
「石口蓮です。片手剣と銃を使います。これから一年間よろしく」
「私は徳川光華です。武器は片手剣を使います。よろしくおねがいします」
この自己紹介で気づいたが、光華とも同じクラスのようだ。先ほどの暗い顔などは今は無く、僕のほうを見て微笑んだぐらいだ。それにしても、美月や光華と同じクラスとは……。さっきの美月の言葉の通り、運命的なものを感じていた。
「え、えっと、ふ、藤田美月です! 銃を使います! よろしくお願いします!」
美月の自己紹介は、緊張からか早口で、まるで、まくし立てているかのようだった。
自己紹介が終わり、早速授業が始まった。授業内容はクラス対抗の戦い、クラス戦だった。一学年は一学年、二学年は二学年どうしで戦うのだ。このクラス戦は、年に一度の最初の授業で行うものだ。これは、クラス皆に連帯感を持たせ、仲間意識を作る事で馴染みやすくする為の環境作りである。このクラス戦は寮戦のクラス対抗バージョンと考えていいだろう。優勝クラスには腕輪に1000Pが入金される。前にも言ったが、Pは寮戦、生活態度、イベント行事――この場合はクラス戦――、そして月の初めに1000P入金されるのだ。このPは学年が上がるとリセットされてしまうので、一年以内に使わなくてはならない。
僕らはぞろぞろと校庭に集まる。校長の話が終わり、プロテクトの魔法が掛けられた僕らは、亜空間へと飛ばされた。クラス戦のルールは敵クラスを一人倒すと、クラスに1ポイント入り、倒されたクラスは-1ポイントである。そして、クラスの陣地には魔法石が存在しており、その魔法石が破壊されたクラスは-100ポイント、壊したクラスは100ポイント入る。このポイントが一番高いクラスが優勝するのだ。
「さて、行きますか」
右手に剣、左手に銃を構え、戦闘態勢に入る。両方とも持ちながら、戦うのは初めてだったので、今までの練習の成果を試せるのだ。
「蓮君! 私も行きます!」
そう言って美月が近づいてくる。
「それじゃ、一緒に行こうか」
「はい!」
光華も誘おうかなと思ったが、光華は防御陣の方にいたので諦めた。僕らは一番近くにいる弐組へと向かった。
「弐組はガードが固すぎだな」
「そうですね……殆ど全員が守りに入ってます。他のクラスにしますか?」
確かに、あそこに突っ込むものなら直ぐにやられるだろう。
「恐らく、どのクラスもこんな感じだろう。現に壱組も僕ら以外に出て行ったのは少なかった」
ここは誘き出すか?
「よし、美月。銃を構えて」
「は、はい!」
僕と美月は銃を構えながら、廃屋に隠れて近づく。
「今だ! 撃って!」
僕と美月は弐組に向かって弾を撃った。その攻撃が当たった張本人は驚きながらも、近くの二人を連れてこちらへと向かってきた。
「よし、かかったな」
僕らは近くの廃屋に隠れる。
「どこにも人なんていないじゃないか」
「何処かの廃屋にでも隠れたんだろう。不味いな」
「…………狙撃」
僕らは辺りをうろちょろしている三人をまとめて弾を放った。
「ちっ、。ちょこまかと!」
「…………探す手間省けた」
「よし、行くぞ!」
そして、そいつらは僕らが隠れている廃屋に入り込んできた。僕らは上から敵を撃ちまくる。そして、ついに屋上に着いてしまった。
「ははは、追い詰めたぞ」
階段を上ってくる音が聞こえた。
(今だ!)
僕は片手剣を握り締め、敵に突っ込む。いきなり階段の上から人が降りてくるとは思わなかったのだろう。そいつらは動揺して動けていなかった。僕は、躊躇い無く、取り巻きの一人を斬りまくった。
「止めだ!」
僕は腰へと剣を構える。そしてそこから放った薙ぎ払いは一人のプロテクトを完全に破壊し、もう二人を斬り飛ばした。
「…………不覚」
そう呟き一人が消える。その事でやっと我に返ったのだろう。
「調子にのるなあああああああ! ガハッ!?」
そう叫びこちらへと向かってくる敵の背中を美月が援護射撃してくれたようだ。俺はよろめいたそいつの横を通りざまに斬りつけた。そいつはその攻撃でプロテクトが破壊された。残るは後一人か。僕はもう一人のほうを見る。
「こ、このやろう!」
そいつは、がむしゃらに弾を撃ちまくっていた。
「隠れるぞ! 美月」
そう言って僕らは敵の弾が当たらない位置に避難する。
「は、ははは。な、なんだよ。はなっからこうしておけば良かったんじゃねえか」
自分に酔っているのか? そういう状態ほど倒しやすいってのに……。
「はぁぁぁぁぁぁ!!」
僕はそう言い、手の先に魔力を込める。そして、手からその魔力を放った。願うは、火の龍……。
「これで、どう?」
僕はその言葉を言い、火で出来た龍を放つ。火属性攻撃魔法なので、水属性の魔法を使えば、幾分かは威力と速さが落ちる。その状態になれば強力な魔法でも、対処できるようになってしまうのが、魔法の欠点だ。しかし、今の相手はそんな事を考えられるほど冷静ではない。僕はチラッと除いてみると、案の定、敵は火の龍の餌食になっていた。
「よし! まずは3ポイントゲットだね」
「やったね、蓮君! それにあんな魔法が使えるなんて凄い!」
「まあ、昔から母さんが魔法を教えて食えてたからね。っと何だ?」
「腕輪が光りだしましたね」
そう、僕と美月腕輪が光りだしたのだ。僕らは腕輪を覗き込む。そこに書いてあったものは……。
『壱組、漆組より猛攻を受けています』
と出ていた。
「確かに漆組は壱組に近い。だが、守備を捨てたのか……?」
「助けに行かなくちゃ……」
今、漆組へ向かえば魔法石を壊すのは簡単だろう。だが、仲間を見捨てるのか?
(見捨てるわけ……無い!)
「美月、走るぞ!」
「はい!」
僕らは全力で壱組の陣地へ向かった。
「まじかよ……」
自分達の陣地は、完全に敵に囲まれていた、前衛が盾となり後衛が銃で応戦、といった状態だが、そう長くは持たない。
「突っ込むぞ! 美月、撃ちまくれ!」
僕は銃で攻撃しながら近づいてゆく。
「邪魔だあ!」
僕は、力の限り県で相手を斬り飛ばし、道を作ってゆく。それだけで、何人かの敵が消えてゆく。
「大丈夫か? みんな」
「俺はまだなんとか……」
「僕はプロテクトがそろそろ切れそうです」
「私もプロテクトが……」
「プロテクトが残ってる後衛は前衛と代われ!」
僕はそう叫んだ。僕は銃で味方をカバーしつつ、目の前の敵を剣で倒す。
「癒しの力よ! 願うは味方の回復!」
俺の詠唱が響き渡り、完全にプロテクトが回復する。
「さて、後衛は下がれ! 前衛はもう前へ出て来い!」
僕の回復魔法のおかげで、段々とこちらが優勢となってきた。しかし、慣れない片手剣と、サポートの銃、さらに魔力を消費したことによる倦怠感のせいで、集中が切れ掛かっていた。そして、僕は敵の攻撃を受けてしまった。苛ついた僕は、力任せに敵を斬りつけた。目の前の敵のプロテクトは破壊されて消えてゆく。しかし、僕の攻撃は隙だらけであったため、僕は敵の一撃をもろに喰らってしまった。そして……
パリィィィィィィンン!
ガラスが砕け散った音が鳴り、僕の体は光に包まれた。どうやら、プロテクトが破壊されたようだ。
「ちっくしょうっ!」
そして僕は、校庭へと移動していた。今回の戦闘、慣れて無い所為もあり、厳しかった。しかし、銃を使うことで、守りやサポートできる範囲が増えることを実感していた。結局、壱組が優勝した。どうやら、あの後、優勢に立ち続けたようで、見事に殲滅できたらしい。その間に、遊撃班が漆組の魔法石を破壊したのだ。結果はこうなった。
壱組 139ポイント
弐組 -8ポイント
参組 2ポイント
肆組 8ポイント
伍組 -7ポイント
陸組 -12ポイント
漆組 -116ポイント
捌組 14ポイント
玖組 3ポイント
壱組 2ポイント
どうやら、魔法石を壊したのは僕達のクラスだけだったようだ。こうして、クラス戦は僕達の圧勝で終わった。
しかし、僕はこの後絶望することになる。
「ま、まさか……そんな……」
そう……。僕がこんなに絶望しているのは――
「銃と剣の授業って同じ時間にやるの!?」
ガーーーーン
と言った音が聞こえてきそうなくらい僕はショックを受けていた。考えてみれば、銃と剣を両方使って戦う器用な人は子供の中にいるわけがない。結局僕は、銃の方が守備範囲が広くて苦労しそうだし、なにより僕はもともと双剣使いだから剣は大丈夫だろう、という理由から銃を選んだ。美月も銃を選択したので、これから一緒に頑張っていこうと思った。