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sixsense~第六感~  作者: 0q@sm8g
LiMAC一年生編~魔獣の異変~
4/7

"寮戦"

更新が遅れてしまい、すみませんでした。さて、これからテスト準備期間にはいるので、投稿はあまり出来なくなるかもしれません。悪い点があれば指摘してくれると助かります。

「レン。もしかして、レンのお父さんは石口翔吾であってる?」

「はい、確かに石口翔吾ですけど……もしかして、父さんと知り合いですか?」

「知り合いでは無いんだけどね。君のお父さんは有名人ってことだよ」

「僕の父さんが有名人?」

 僕は海斗の言葉に戸惑っていた。確かに父さんは父さん自身の事を話すことはあまり無かった。しかし、それでも父さんが有名人と言われたら戸惑う。

「そうだよ、石口翔吾と言えば双剣の使い道を極め、世界で一番最初に道場を開いた人物なんだ」

 そんな話を聞いたのは初めてだった。父さんは凄い人だったんだな、と改めて思った。

「へー。よくそんな事知ってるな」

「……。この話は結構有名なんだけどな。拓也は知らなかったのか……」

 海斗が呆れたように言う。それに対して、俺はきょーみねーからな、と拓也。だがそんな拓也もすぐに目を輝きだした。

「ってことは、そんな凄い親父を持っているレンがいるなら、〝寮戦〟で上位を狙えるんじゃねえか?」

 拓也が何気なく言葉にした〝寮戦〟という新しい単語を耳にした。

「あの……寮戦ってなんですか?」

「あぁ、寮戦ってのは、いくつもある寮どうしで戦うんだよ。絶対参加って訳じゃないが、参加した人には参加賞、上位入賞した人には特別賞、そして優勝した寮には豪華景品がプレゼントされるって訳だ。どうだ、面白そうだろ?」

「戦う? それって危なくないの?」

 そんなゲームで重症を負うとか死ぬなんてまっぴらごめんだ。

「校長が直々にプロテクトの魔法をかけてくれるんだよ。プロテクトが壊れた時点でその人は強制退場になるんだ」

 プロテクトと言うのはその人の体力と同じ強度を持つ壁の事だ。上位魔法で使える人は多くはいない。それにかけてから12時間以内にはかけ直しなどが出来ないのだ。

「でも、僕まだ入学したてだし……。みんなの迷惑になったりしないかな?」

 僕の脳裏では繰り返される声。


 〝弱いくせにしゃしゃり出やがって!〟


「安心しろ。みんな適当に暴れて上位にいけたらいいなって感じでやってるからな」

「なら、出てみたいな」

「よっしゃ! そうと決まればレンの力見せてもらおうか」

「その寮戦っていつごろやるの?」

「毎週金曜日の22時から30分間だ」

「ちょうど今日は金曜日だね」

「うん、レン頑張れよ」

「ついに、ストレス発散出来るぜ」 

 そうして僕らは夜まで他愛の無い話を続けた。




 現在時刻は21時55分。夜の校庭には、びっくりするほど多くの人が待機していた。皆、この寮戦に出る気なのだろう。10時ぴったりの時間になると、僕らは亜空間へと飛ばされた。亜訓間の印象は入学試験のときとはだいぶ違った。空は薄暗く、周りは廃墟になった街のようだった。その不気味な光景に僕はすこし怯えていた。その時だった。


 カキィィィィィン


 鉄と鉄がぶつかり合ったような音が背後から聞こえた。その音にびっくりして後ろを振り向く。後ろには銃弾が落ちていた。

「なっ!?」

 僕は狙撃されたのか? だが、痛みが……そうだった、魔法をかけられているんだ。

「入学したての雑魚か。いい獲物を見つけたぜ」

 その声と同時にまた銃弾が僕にあたる。魔法は衝撃を暗い、後一発撃たれてしまえば破壊されてしまいそうだった。僕はすぐさま近くの廃屋に逃げ込んだ。それと同時に僕は双剣を構え、敵の攻撃に備えた。

「ははっ、逃げたって、無駄だぜ?」

 相手は僕が新入生と知り油断している。敵は廃屋に入ってきた。僕は敵の前に立つ。

「ほう、逃げるのは止めか?」

 男はニヤニヤとしながら、僕に銃口を向けてくる。敵は勝ち誇ったような笑みを浮かべ、引き金を引こうとした。

 【石口流双剣術守の技:双連襲撃】

 相手が隙を見せた瞬間に間合いを詰め、武器に連続攻撃を与え、敵が武器を持っていられなくなった所を、強烈な一撃を与え武器を弾き飛ばす。敵の武装を解除する技だ。


 完全に油断しきっていた相手はその銃を僕に弾かれてから、思考回路が追いつかなかったのだろう。焦りと驚きで、隙だらけだ。

「油断は禁物ですよっと」

 【石口流双剣術攻の技:霧雨】

 敵の体を物凄い速さで切り刻む。速さを出すために威力は激減するものの、体全体をじわじわと動けなくさせていく技だ。

 【石口流双剣術攻の技:双牙烈風】

 瞬時に回転し、遠心力を伴うことで重い一撃を与えることが出来る。威力は高いが隙が出やすい技なので、使いどころは気をつけなければいけない。


 この技をもろに受けた敵はプロテクトが破壊され、亜空間から消えた。すると、腕輪が光りだした。僕は腕輪を見てみると、そこから合成音声が聞こえてきた。

『おめでとうございます。寮戦にて一人目の敵を撃退させました。撃退ボーナスとして魔力を微量あげる能力をこの腕輪に付属しました。この腕輪を装備中は能力を上げることが出来ます。撃退ボーナスとは、寮戦での戦いで一定人数を撃退することによって手に入る報酬の事です。では引き続き寮戦を再開してください』

 ようは、敵を多く倒せばボーナスを受け取ることができる、というわけか。そんな事を考えてるとまたしても敵の気配がした。

「まさか、新入生の君が〝彼〟を倒すとはね。〝彼〟が油断していたとはいえ、君もなかなかやるじゃないか。しかし、先ほどの戦いでもうプロテクトが破れそうだね。ふふ、〝彼〟の代わりに僕が君を調理してあげるよ」

 不気味な声を口にし、剣を持った紫の髪を伸ばした男が僕の目の前に現れた。僕はすぐに後ろへと飛び、距離を置く。そして双剣を構えた。

「ふふ、僕を倒す気かな? 初心者ごときにこの僕が負けるはずがないだろう? まあ、早く違う相手を狩りに行きたいんでね。さっさと終わらしてあげるよ」

「僕もそう簡単に倒される気は無いよ」

 僕はそう言って、相手に近づき、斬りつけようとした。しかし、その攻撃は相手まで届くことは無かった。相手の近くに寄ると、いきなり地面から槍が突き出たのだ。僕は間一髪その攻撃を後ろに避ける。

「罠をしかけてるのか……。それならこれでどうだ!」

 僕は掌から数十個の火の玉を作り出す。

「喰らえ!」

 その声を合図に火の玉は相手へ飛んでゆく。その全てが相手に着弾した。だが、どうも倒した気がしなかった。何か違和感を感じていた。段々と煙が晴れていくと、そこには無傷の相手が不気味な笑みを浮かべ立っていた。

「ふふ、火の玉をあんなに作り出せるとはね。驚いたよ。魔法の素質はあるようだね。だが、残念ながらこの防具は属性ダメージを激減させる防具なんだよ。さあ、どうする?」

(まさか、戦術をこうも簡単に吐いてくれるとはね。)

 ようは、属性ダメージではない飛び攻撃を行えばいいのだ。

「先輩が誰だかしりませんが、自分の戦術を簡単に口に出すと、身を滅ぼしますよ?」


 【石口流双剣術守の技:盈月】

 双剣で空中を素早く切り裂き、真空の結界を張る。その結界に触れると、その真空が刃となり相手を切り刻む。

 【石口流双剣術攻の技:虧月】

 守の技盈月により生み出された真空を、空気の流れを変えることにより、思う方向に飛ばすことが出来る。


 流石にこの行動を取ることを予想はしていなかったのか、避けることもままならず、真空は相手の体を切り裂いた。

「まだまだ!」

 【石口流双剣術攻の技:盈虧爆炎】

 相手の体を切り裂いた真空の刃は、刃と刃を幾度と無くぶつけ合うことにより熱を生み、空気と混じりあい爆発する。これは属性ダメージで属性は火だ。


 この攻撃により相手へのダメージは期待できない。しかし、煙幕で相手からすればこちらの様子が見えないのだ。こちらも相手を確認することが出来るわけではないが、大体の予想はつく。

「これで……終わりだ!」

 僕は掛け声と共に腰に装備していたナイフを相手へと投げつけた。煙幕が晴れ、視界がはっきりとしてくるとプロテクトが壊れ消えてゆく先ほどの敵がいた。

「勝負あったね」

 その僕の呟きを聞き、悔しそうな顔をして、この亜空間内から完全に姿を消した。その後は特に襲われることもなく、ただ時間だけが過ぎ30分の寮戦は幕を閉じたのだった。




 僕が亜空間内から出ると、近くに海斗と拓也の姿があった。

「よう、レン。よく最後まで生き延びたな。良く頑張ったな。情けねぇが、俺達はやられちまった」

「僕たちは最後の最後で、囲まれちゃってね……。おめでとう、レン」

「ありがとう、海斗、拓也。この寮戦って怖いんだね。奇襲されて驚いちゃったよ」

 そう言うと、海斗も拓也も驚いた表情になった。

「レン、奇襲かけらたのか……?」

「うん、あれ? 反則だったりするの?」

「いや、そんな事は無いが……おいおい嘘だろ?奇襲かけられて生き延びたのかよ……」

「確かに、まだ入学したての一年生が、奇襲で生き延びたなんて僕も初めて聞いたよ」

 話を聞く限り、奇襲をされると、戦況が大きく変わったりするらしい。まあ、あれは敵が油断してたからね……。

「そういえば、属性ダメージを軽減させる防具を着けてる先輩がいたんだけど、あれはどうすれば手に入るの?」

 僕はあの男が着ていた防具が気になっていた。

「あ? そんな防具聞いたこと無えぞ」

「もしかしたら、魔防具じゃないかな? この学校でもポイントと交換できたはずだよ」

 ポイントと言うのはテストの成績や生活態度、イベント行事などで手に入る。1ポイントがだいたい1円と考えるとわかりやすいだろう。

「ねえ、レン。少し気になったんだけど、その装備を着けていた人って紫色の髪をした人?」

「あ、そうですね」

 僕は、寮戦であったことを話した。

「おいおい……そいつは御堂光じゃねーか。一応、四年の先輩だぞ……」

「その、御堂光、って人は有名人なの?」

「有名人だよ、悪い意味で……。罠を張り巡らしてあるし、戦い方が多種多様だから、毎回毎回攻略法が違うんだ。なかなか苦戦するよ」

 なるほど。作戦をわざわざ言わなければまだあちらにも勝機はあったのか。

「だが、僕たちはレンを舐めていた。まさか、これほどまでの実力とはね……」

「これほどの実力なら学内TOPは間違いないな」

「いや、僕が言いたいのは、レン。双剣はあまり使わないほうが良い」

 急に海斗が真面目な顔で言ってきた。いったいどういう事だ?

「えっと……なんで?」

「レンの双剣のレベルが高すぎるからさ。周りに合わせないと浮いちゃうかもしれない。そこで一つ提案なんだけど、学園内では剣と銃を練習してみないかい? どちらも僕たちが指導できるからさ」

 なるほど、僕の事を考えての行動か。それに、"銃"か……。

「分かった、新しい武器を使いこなすのは大変そうだけど、練習してみるよ!」

「そうと決まれば、明日から特訓だね。学校が始まる前に何とかしないとね」

 僕は新しい武器を扱えることにワクワクしながら寝るのだった。


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