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sixsense~第六感~  作者: 0q@sm8g
プロローグ
1/7

prologue

短いです。前世の記憶を簡単にまとめました。※悪い点があれば指摘してくてくれると助かります。

その出来事が起こったのは、俺が小学校一年の夏頃だった。入学当初の不安や緊張感などは完全に消え去り、俺は毎日友達と蝶やトカゲなどを取りに行っていた。


その日は朝から雨が降っていたが、学校が終わる頃になると、すっかり雨は上がっていた。だから、俺達はいつも通り家に帰り、虫取り網を持って近くの林に集まった。雨が降っていた為、地面はべちょべちょしていて、普段より滑りやすくなっていた。その所為もあり、蝶を取ることに夢中になっていた俺は転んでしまった。その、転んだ場所がいけなかった。そこには木が生えており、俺はその木に顔から衝突してしまった。そして、あまりの痛さに俺は意識を失っていた。このとき、どうやら俺は木から突き出ていた枝が目に刺さってしまっていたらしい。


 どこからか、声が聞こえてくる。一人は男性でもう一人は女性だ。

「残念ですが、あそこまで酷い傷だと現在の医学では無理です。あの子の目が元に戻ることはないでしょう。生きているのが奇跡的ですね」


 !?


「そ、そんな……。お願いします! 何とかしてください!」


 淡々と話す男性と泣き叫ぶ女性。その会話を聞きながら、俺はショックを受けていた。



 結局、俺が病院生活から開放されたのは、1年経ってからだった。目が直ったわけではないが、目の周りの怪我などが治ったからだ。病院の外で母さんが車で迎えに来てくれていた。俺はその車へ手を引かれながら乗り込んだ。車が走り出すと妙な違和感に気づいた。頭の中で周りの風景が構築されていく。目が見えないのに、周りの景色が『視える』。俺は昔見たTVの番組を思い出した。失明した人が杖などで音を出して周りを判断する、という内容だった。この時は、俺がその体質になったと思っていた。あるいは、当時はその体質だったのかもしれない。


 だが、年を重ねていくうちに、生活をしていくうちに、段々とその感覚は洗練されていった。小学校は特別支援学校に通っていたわけだが、6年になった時には黒板の文字が分かったり、普通の本を読むことが可能になっていた。そのお陰で中学は普通の学校に行くことを許可されてた。結論から言うと、中学の授業は理解できた。板書をノートに書き込んだり、教科書を読んだりと、普通の学生と同じことができた。体育は危険だからということで毎回見学をしていたが、そのうちに気づいた。目の前の二人が試合をする時に二人の行動パターンが分かったのだ。初めは気のせいかと思っていたが、実際に想像通りの場所に攻撃をしたりしていた。


 今の俺は目で物を見ることができないが、精神や物体といったものが理解できるようになっていた。目が見えなくとも、普通の人以上の行動がとれた俺は、たちまち有名人となりTVなどに出演んする事が多かった。しかし、学者やら大学教授やらに俺はモルモットのように扱われ、それが気に入らず、俺はTVの出演などをすべて断って行くようになった。大学に入るとき、いろいろな大学が俺の事を誘ってきた。どうやら、まだ俺についての研究が物足りないようだ。結局、俺はその場の雰囲気に流され、適当な大学に入ることにした。


 大学に入ると、俺にも恋人が出来た。彼女は俺の事を普通の人間と同じように扱ってくれた。そのほうが気楽で付き合いやすいのだ。いろいろな会話をしている内に俺にも恋心が芽生えていたわけだ。しかし、こんな俺に幸せの時間は長すぎたようだ。俺は、どこかの研究機関に受け渡される事になっていた。俺は勿論反対したが、上のほうではもう話が通ってしまっていたらしい。


 結局、俺は彼女にとある研究機関への移転の事を話した。彼女は、酷く辛そうな声をあげて反対した。嬉しかった。だが、俺の事を実験材料としか見てない奴らにそんな言葉は通用しない。俺は、最後の最後で完全な逃避行動に出ていた。中学のときに買った木刀を持ち出して、研究員を叩き飛ばした。そのような謀反を行った者は罰を与えられる。警官の銃撃が急所を貫き、意識を失った。これが、俺の……石橋和哉の最期だった。


 

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