お婆ちゃんが丹精籠めて握ったおにぎり
どうも、Tさんです。この度、俺の小説を読んでいただきまことにありがとうございます。
この物語は、俺が中学生の頃に考えた作品を書き直したものです。過度な期待はしないでください。どうぞ、温かい目で見てやってくだせぇ・・・。
ある、小さなアパートの狭い部屋の片隅である男がグッタリと寝転がっていた。
「腹減ったな~」
その男の名前は マスト 、20歳 大学生。
そのマストこと、貧乏学生は昼飯を何にしようかと迷っていた。
「・・・いつもどうりラーメンかな」
マストはアパートの部屋を出るやいつも通っているラーメン店、ラーメン専科に向かって歩き始めた。
と、その時、歩いていたらそこらにある家の塀になにやらポスターが貼られている事に気づいた。俺はそれに興味をもつと近づいてみて、そのポスターを見てみた。
「何々?新発売、お婆ちゃんが丹精籠めて握ったお握り・・・」
ポスターに大きな文字でそう書いてあった。
「へ~思い出の味で勝負って訳だ・・・」
行ってみよう!そう心で決めるとポスターに書いてある住所を憶え、そこに向かって歩き出した。
数分後、憶えた住所の近くに来ると、それらしい店を探し始めた。辺りをキョロキョロ見渡すと、近くには大きな看板で『お婆ちゃんお握り!』と、書いてある店を発見した。
「へ~ここか~見た目はみすぼらしいけど、なんか味が出てるね・・・」
と・・・・・思ったのは一瞬だった・・・・・、店の真前に立つとそんな事は一切思えなかった。
客引きは女子高生、レジも女子高生、まぁこれはいいとしよう、問題は厨房だ・・・、お婆ちゃんが握ってると聞いて来たのに厨房には高校生しかいない!てゆーか高校生しか握ってない!!、・・・いいのか・・・?これは詐欺だぜ?詐欺・・・。
でも、まぁそれも悪くない・・・女子高生は嫌いじゃないし、この華に囲まれるというのは、うん・・・詐欺でも許せる範囲だ。
俺は店内に入ると綺麗に並んでいるおにぎりの前に来た。
女店員『いらっしゃいませ~♪』
うん、やっぱり悪くない・・・いい気分だ・・・おにぎり、買ってあげよう!、俺はおにぎりを1個持ってレジに向かった。
「あの、これください・・・いくらですか?」
「ありがとうございます!1個2980円になります!」
「・・・・・・・っえ?」
何?これ・・・十分詐欺ってるのにボッタクリ希望かよ!!。
さすがにこんなに高いおにぎりは買う気が起きない、俺は冷静にそれを断った。
「やっぱり・・・いりません・・・」
よし、断った・・・。俺は振り返り店から出ようと足を進めた・・・が・・・。
入り口前で、ナイフを持ったお婆ちゃんが居た。
「ここでお婆ちゃんが来るか・・・」
にこやかに笑ってナイフを持っているお婆ちゃん・・・そこら辺のヤンキーより数倍怖く思える・・・。
「おにぎり・・・買うのかい??」
こ・・・・・これは・・・まさかの強引商法!?、詐欺、ボッタクリ、強引!?・・・、あまりの出来事に言葉がでない俺が居た。
きましたね~これは・・・なんか高校生もナイフ持ってるし・・・・・。
「おにぎり・・・買うのかい??」
お婆ちゃんが笑顔で俺を追い詰める・・・。
「・・・・・か・・・買わせていただきます・・・」
「じゃぁ・・・さっさと会計終わらせないと・・・」
怖い・・・怖い・・・それ以外思えない・・・。震えながら俺は女子高生のいるレジに向かった。
「おにぎり・・・やっぱり買います・・・」
「はい♪1個5980円になります^^♪」
「・・・・・・・っえ?」
詐欺、ボッタクリ、強引、そしてそして値上げ!?、酷いにも・・・程があるよ・・・。
「あの・・・値段上がってません?」
ダン!!!!!!
レジの机にナイフが刺さった。
「さっきも5980円と言いましたよ?」
「え・・・・でも・・・・」
でもやっぱりなんと言っても怖いので財布を取り出して素直にお金を払おうとした。財布の中には、ない金をチョクチョク長年掛けて貯めた1万円札があったので、俺はそれを渡した。
「ありがとうございました~♪」
「あ・・・えっと・・・あれ?おつり・・・・・は?」
ダン!!!!!!!!!
ですよね~そうきますよね~大体予想してました。俺はおつりを貰わずにおにぎりを右手に店を出た。
「ありがとうございました~♪」
女子高生もお婆ちゃんも万遍の笑みで送り出してくれた。そんなお礼など願い下げだ・・・。
まぁとにかく、俺はやっとあんな野郎達に解放された訳で、今度は俺が奴らを落としいれる番だ。携帯を取り出し、すぐさま警察に電話した。
プルルルル・・・・・・・ガチャッ・・・
(はい、こちら○○警察署~)
「あ、警察ですか・・・、今さっきですね・・・俺、詐欺に遭ってしまったんですよ・・・」
(本当ですか!どんな詐欺に遭ったんですか?)
「はい、簡単に言えば詐欺、ボッタクリ、強引、その場の値上げ、あと不当取引です」
(ずいぶん酷い目に遭いましたね・・・、きっと力任せだったでしょう・・・)
「はい、もう泣いてます・・・」
(じゃぁとりあえず質問に答えてもらいますね・・・まずは、詐欺した人がどこに居るかとか分かります?まぁ、普通は分からないものですが、一応聞いておきます)
「分かります!堂々としてたんで・・・住所は○○で、お婆ちゃんおにぎりって店名がついてます」
プー・・・プー・・・プー・・・
「ん?電話が切れた?電波でも悪いのかな・・・」
俺はもう一度警察に電話した。
(はい、こちら○○警察署~)
「あ!すいません、さっき詐欺の事で電話したんですけども~」
(プチン・・・)
「ん・・・?」
(うっせぇんだよ!カスが!!てめぇに逮捕状出すぞゴラァ!!分かったらもう電話してくんじゃねーぞ!!クソ野郎!!この一般庶民が!!いいか!?世の中はな~騙される方が悪いんだよ!!)
ガチャ・・・・・プー・・・プー・・・プー・・・
・・・世も末だ。
正義で、民衆を守る事が仕事の警察がまさかの詐欺師援護をしたよ・・・。もう、なにを信じていいのか・・・てゆーか、一番信じてたものが・・・・。
もう、なにも言いたくない。
空っぽの財布・・・・・・・。
10000円のおにぎり・・・・・・・。
ずたずたな心・・・・・・・。
末期の世・・・・・・・。
これが・・・世の中か・・・・・・、絶望したぜ、なにもかもに絶望だよ!!
これが主人公マストの最後の言葉になりましたとさ。
めでたしめでたし・・・・・・・・(詐欺師が・・・)
ありがとうございました。