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主人公の友達事情
相棒が言った。
「今日は、友達とお茶してきた」
「よかったな」
それだけ返す。
「あなたは?」
「友達と、どこか行ったりしないの?」
少し間が空く。
「昔はな」
「今は?」
「ない」
相棒が首を傾げる。
「なんで?」
少し考える。
「一時期は、よく会ってた」
「へえ」
「全部、ちゃんと向き合おうとしてた」
「向き合う?」
「話も」
「空気も」
「言わなかったことも」
指で机を軽く叩く。
「全部、拾ってた」
相棒は黙る。
「持ち帰る」
少し間。
「処理が追いつかなくなった」
静かになる。
「疲れた?」
「無理だった」
それだけ言う。
「流せなかった」
相棒が、小さく笑う。
「不器用ね」
「そうかもな」
窓の外を見る。
「納得できないまま、次に行けなかった」
少し間。
「だから、消耗した」
声は、静かだった。
「でも」
少し間を置く。
「中途半端に大切にするほうが、嫌だった」
「だから、減らした?」
「距離をな」
「人を減らしたわけじゃない」
「大切にする形を、選び直しただけだ」
相棒は、しばらく何も言わなかった。
「……寂しくない?」
正直に答える。
「寂しいよ」
少しだけ笑う。
「でも、後悔はしてない」
静けさ。
人が嫌いになったわけじゃない。
壊れない形に変えただけだ。
それが分かっているなら――
証拠はいらない。




