#4【青春いただきます】
キャッキャウフフヤダァモォキャッキャウフフ
女生徒の姦しい喧騒が聴こえる…
ボクがこの学校決めた理由の一つに男女比が3:7という1歩間違えばボクでもハーレムを築けるかもという比率なのだっ!
ふとし「たぁ~かぁ~しぃ~くぅ~ん…ぶふぅ…ぶふぅ…先に行かないでよぉ…ぶふぅ…」
波線をたっぷり付けて名前を呼ばれるなら可愛い女の子が良かったなぁ…
ボク「なんだいふとし君?君がいつまでも朝ごはんをおかわりしてるのを見続けてたら遅刻するから先に行くねってちゃんと言ったじゃないか」
ふとし「それでも寂しいじゃないかぁ」
ボク「男に寂しいって言われてもねぇ…可愛い女の子とイチャイチャしながら登校する夢のような青春を送りたいのに…」
ふとし「でも僕達は寮生活だから徒歩1分の登校時間だけどねぇwぶふぅwww」
ボク「…………………………今からでも新聞配達の奨学生にでもなって一人暮らし始めるかぁ…」
ふとし「奨学制度はホントに困ってる人達のための制度だよぉ!たかし君はそこまでお金に困ってないでしょぉ」
まぁボクの家はアスパラ農家だけどホワイトスーパーロングって特殊な品種を栽培しててこの品種の国内シェア80%だから幼い頃からお金に悩んだことは無い、祖父母両親様々だ!
ボク「じゃあキラキライチャイチャ登校は大学までお預けかぁ…いや…家業継ぐなら大学行かないかもな…ってことは夢のようなキラキライチャイチャラブラブメロメロ登校は夢のまた夢になるかぁ…」
ふとし「でもこの学校は女の子がいっぱい居るから彼女は出来そうだよねぇ!」
ボク「女の子が居るだけじゃ彼女は出来ない!!そしてぼはデカい女の子が好きなんだ!!!」
ビクッ!ビュゥウエッ?チャキチャキナニイッテルノアノヒト…キレイドキドキポポポポビックリシタ
ふとし「たかし君…みんなに見られてるよぉ…恥ずかしいぃ」
ボク「ふんっ!これでフリーなのをアピールしたんだい!」
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そんなこんなで放課後の教室
朝の奇行のせいで心なしかクラスメイトとの距離があったような気がする…遠巻きな視線も感じた…しまったな…青春が遠退いたなぁ…
???「あのぉすみませ~んたかし君はいらっしゃいますか~?」
可愛い声で呼ばれた気がした!?
ボク「はいっ!ここに居ます!」
何度か見かけたことのある隣のクラスのメチャでか女子だ!正直気になってた子だ!チャンス!!
???「あっ!こんにちは~朝の宣言の事でちょっとお話が~」
しまった…朝の性癖叫んだやつでこの子の堪忍袋とか琴線とかに触れてしまったんだ…怒られるやつだ
たかし「あっ…はい…お騒がせしてすみませんでした…」
???「いやいや~謝られても困ります~ただお話したかっただけなんです~」
お話?怒ってない?わぁ…デッカいなぁこの子…お顔も綺麗だなぁ…
???「あの~聞いておられますか~もしも~し」
ボク「はっ!見惚れてた!すいません!お話でしたね!中庭のベンチでも良いですか?行きましょう!さぁ!」
ふとし「たかし君ものすごくテンションが高いなぁ…」
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中庭の隅にある人気が少な目のお気に入りのベンチ
ボク「それでもお話とはなんでしょうか?」
???「あのですね~非常に申し上げづらいのですが~…」
????「それは私から説明させて貰うわ!」
園芸部の方だろうか?オオバサミを持った女生徒が立っていた、キリのいいハツラツとした声だ!元気が良い!
????「貴方が朝言っていた事についての事よ!」
ボク「それってもしかしてデカイ娘がとかフリーだとかのやつ?」
????「そうっ!貴方は今フリーでしかも青春に飢えてるんでしょ!だから私たちが手を上げて名乗り出た訳よ!」
早速奇行の効果が現れたのか!叫んでみるもんだ!
??「そう…私達が…アタックしても…良いんだってなったの…」
今度はか細い冷たい声が聞こえる?3人目だっ!真っ白な肌で今にも溶けてしないような儚い存在感だ
?????「フフフっわたしが最後に勝つから貴女達は帰って良いわよフフフフフっ」
更に出てきた!4人目だ!これは間違いないモテ期だ!いまっ!人生一番っ!女の子と距離が近い!しかも4人!!
ボク「んっ?勝つ?何か勝負でもするの?それと皆さんのお名前聞いても良いかな?」
一際デカい女の子が答える
八夜尺子「失礼しました~【はちや しゃくこ】って言います~よろしくね~」
大鋏霧「私ね!【だいきょう きり】2年生で園芸部の部長よ!」
深山乃雪「私は…【ふかやま のゆき】…です…」
朽桜小美「フフフっ貴方は【くちさく おみ】の物よフフフっニガサナイからフフフフフフっ」
お名前は覚えたけど個性豊かな面子だなぁ…
ボク「因みにだけどボクは【雉隠 天(きじかくれ
たかし)】って言います、よろしくお願いします!」
尺子「みんな知ってますよ~」
小美「フフフっそれよりも早く方を付けましょうフフフっ」
霧「そうっ!勝負の話よっ!私たちは貴方の事が好きででも手を出さない喋り掛けない同盟を組んでたのよっ!」
いつの間にかモテ期が知らない所で来てたのか…教えてくれよ…
乃雪「だけど…朝の発言を…聞いてね…尺子ちゃん以外の私を含む…3人がね…焦っちゃったの…」
ボク「あぁ~デカい女の子が好みっていう…あれかな?」
小美「ユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイナンデワタシがコノミジャナイノ」
えっ?この人怖い!?
霧「私たちはたかし君を独り占めしたいからハーレムなんて認めないし誰かに譲る気もないっ!だから勝負なのよっ!」
尺子「だけどみんなの得意分野を話し合って~何の勝負にするかな~って話してたんだけど~何にも決まらなかったの~」
そりゃ自分が有利になる勝負にするよなぁまとまる訳が無い
ボク「じゃあ殴り合いで」
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噴煙と謂えるような砂煙が舞う
腹の底まで響く衝撃音
さっきまで囀ずっていた軽やかな美声が
地獄の亡者の如くおぞましい怒号が聴こえる
轟音と砂塵が珍しいのか物見の学徒が群がり始める
深雪のと見紛う少女が両手を広げる
すると冷気が辺りを包む…いや覆い始めた
肌を数千本の千枚通しで刺されるような痛みが走る
大鋏の少女も巨大な体躯の少女も闇を纏い存在までも揺らぐ少女も一様に動きが鈍り
先程までの爆音が嘘のように鎮まり一瞬の静寂が訪れた
冷気で曇る視界の端で蠢く気配を感じた
大鋏の少女だ
深雪の少女の首元に大鋏を広げるそれはまるで獲物に食らい付く寸前のワニの様に見えた
次の瞬間深雪が血に染まった…
残るは3人
突き刺すような冷気が収まり闇を纏う少女が仕掛ける
常人の目には止まらないスピードで大鋏の少女に迫る
踏み込んだ瞬間の土煙しか捉えられない
瞬きをした刹那
大鋏の少女の口が大きくなった…いや違う口が耳まで裂け鮮血が首を濡らす血のスカーフを巻いてるみたいに
経験したことの無い痛みと熱さに思わず踞る大鋏の少女
隙を見逃さず追撃の仕留めにかかる闇を纏う少女
巨躯の少女が更に隙を見逃さず大木の見紛う程の蹴りを繰り出す
目に前の極上の獲物にしか眼中に無い闇を纏う少女が校庭の端まで吹き飛ぶ…新幹線に跳ねられてもああは飛ばないだろう…
未だ踞る大鋏の少女へ歩みを進める巨躯の少女
一目を憚らず片足を天まで掲げる
ズンっ!と地震でも起きたかと錯覚した
巨躯の少女の足が地面にめり込んでいる大鋏の少女の頭部と共に…
勝負はついた
巨大な体躯を操る少女の剛力の勝利だ
笑顔で駆け寄ってくる
霊峰を見上げる気分になる厳かで雄大で人間には到底敵わない力強さ
身体が勝手に震えだす
恐怖?歓喜?驚嘆?はたまた武者震いか?
視点が高くなる
どうやら抱えあげられているらしい
ウイニングランならぬウイニング抱っこなのか
こうしてボクの彼女が決まった
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ふとし「たぁかぁしぃくぅん何してるんだいぃ?」
ボク「ぁあ!ふとし君!ボクに彼女が出来たんだよ!」
ふとし「それはぁおめでたいけどぉそれでこの騒ぎなのぉ?あちこちで女の子がうなだれてるよぉ」
ボク「4人の女性に同時に告白されたもんで女の子達が勝負してたんだよ、それで勝者がこの八夜尺子さん」
尺子「やったやったやった~私の勝ちです~」
ふとし「遠目でみてたけどぉただのジャンケンだったよねぇ?」
ボク「うん!」
ボクは正直デカい女の子が好みだからジャンケンじゃなくて尺子さんを選びたかったけど、女性の怨み嫉みは怖いもので後腐れ無いようにジャンケンで勝負をつけるように言ってみたら、なんかみんなノリノリでジャンケンし始めちゃって、だけどボクにとって一番嬉しい結果になった
ふとし「なんだかぁ物々しい地の文とかモノローグを感じたけどぉ」
ボク「ジャンケンとは言え少女達の真剣な勝負を盛り上げたかったんだよ」
うなだれてた3人がいつの間にか居なくなってる…飛ぶ鳥跡を濁さずなのか?しっかりフォローしないと恨まれそうだあとで探しておかないと
ボク「ねぇふとし君あそこでうなだれてた女の子達ってどこに行ったか見てた?」
ふとし「うなだれてる女の子ぉ?そんな子達見てないけどぉ?」
えっ?さっきふとし君は自分でうなだれてる女の子って言ってたじゃないか!?見物してた生徒達もみんな不思議そうにボクの顔を見てる
尺子「うふふ~これでたかし君は私だけの物です~うふふふふふ~」
まだ抱き掲げられてる…優勝トロフィーみたいだ…
抱き締められては掲げられてを繰り返されてる…そろそろ酔っちゃうよ……
ボク「尺子さん…もうそろそろ下ろしてくれないかい?上下に振られてちょっと気持ち悪くなってきたよ…」
尺子「あら~ゴメンネ~気持ち悪くなっても~あの3人の分までしっかり愛して介抱してあげるわね~」
久しぶりの地面だ…少しふらつく…
尺子さんは3人のことをしっかり覚えてるらしいボクももちろん覚えてる…ただ周りのみんなは覚えてないようだ…記憶に無いというかすっぽり存在が消えたみたいに
尺子「知ってる?たかし君…女の子は食い合うのよ~存在までね~」
ゾッとした…とんでもない彼女が出来てしまったみたいだ…