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大切なぬいぐるみ7

 年末が近づいたある日。男の子の一家は、女の子の家を訪ねた。


男の子のお父さん「すごい豪邸だなー。」

男の子のお母さん「ねえ、婿養子になるほうがいいんじゃない?」


男の子「お嬢さんが僕の家に住みたいって。壁の色が気に入ってて、前から気になってたんだって。」



女の子「あっ!お父さん、お母さん。おはようございます。寒いですから入って下さい。さあ、先生も。」



 リビングで両親同士が挨拶を交わし、全員でテーブルに着く。


男の子「すごい豪華な料理ですね。」


女の子のお母さん「なんか娘が張り切っちゃってね。」


男の子のお父さん「えーっ!これ、自分で作ったの!」


女の子「はい!先生のお嫁さんになるなら頑張らないとって、いっぱい料理の勉強しました。」


男の子のお母さん「まあー。ウチの子にはもったいないわ。」


女の子のお父さん「いやいや、そんなこと言わないで下さいよ〜。ずっと娘の念願だったんですから。」


女の子のお母さん「退院してからずーっとなんですよ。」


男の子のお父さん「お前。幸せにしないと許さないぞ!それで、結婚したら仕事は辞めるのですか?」



女の子「しばらくは働きます。私、医療事務の資格を取って、先生の病院の看護師になるつもりなんです。」


男の子「僕は内科の勉強をして、準備が出来たら開業しようと話し合っています。」



男の子のお父さん「そうか!開業する場所は考えていますか?必要ならウチの会社で探しますよ。」


男の子「家の道路の正面の土地を買って建てたいとは思っているんですけど、まだ分からないです。融資受けたり、誰の所有なのか調べないとはっきりしたことが言えないのです。」


男の子のお父さん「調べるのは、私がやるよ。母さん。確か昔、地主が貸してたよな。定期借地権住宅だったかな?」


男の子のお母さん「地主はあの角の家のはずよ。」


女の子「赤ちゃん出来たら、ご両親に頼ることも増えるし。近くがいいねって。」



女の子のお父さん「そういう土地で空き地ならたぶん買えますよ。融資はなあ。そうだな、私が買う!そこに建てればいい。」


男の子「しかし。」


女の子のお父さん「私達はいずれ先に死ぬ。そしたら自然に君達のものになる。」


男の子のお父さん「すみませんウチは、医者にするのに使い果たしたからお金の協力はちょっと。」


女の子「お父さん。私達、自分でやろうと。」


女の子のお母さん「現金は、国にたくさん取られるから、お父さんに賛成よ。息子さんを医師にしたら大金かかりますから当たり前ですよ。サラリーマンの家庭でしたら無くなって当然です。そのおかげで娘は助かり、こんなに幸せになった。本当にありがとうございます。本当に。」


女の子「お母さん泣かないでよ。」


男の子「いいんだよ。幸せの涙は止める必要はない。僕達は両親を悲しませないように幸せにならないとね。」


女の子「うん!」



男の子のお父さん「しかし、立派な家ですね。」


女の子のお父さん「私、建設会社を経営していますから結構安かったですよ。なあ、病院も建てれるぞ。今、初めて建ててるけど、かなり学習したぞ。」


女の子「そうなの!じゃあ、相談しようか。」


女の子のお父さん「是非やらせてくれ。でも、建物は自分達で資金を確保するほうがいい。税務署がうるさくなるかも知れない。今建ててる病院は、年末に引き渡しだったはず。一度見てきたら?」


女の子「もしかして外科部長の病院かな?外科部長も結婚披露会に呼んでるの。」


女の子のお父さん「しかし、結婚披露会をこの家で本当にやるのか?」


女の子「いっぱい呼んでないよ。外科部長と親しい看護師仲間だけ。本当に親しい人だけで他の人は、結婚後に食事したりして報告するの。」


男の子「僕はあまり親しい人はいないから、尊敬する外科部長だけ呼びました。」


女の子のお母さん「まあまあ。2人が決めたのならいいじゃない。そちらの家も結構近いですから遊びに行きやすいわね。」


男の子のお母さん「そうですね。思ったより近いですね。末永くよろしくお願いします。」


女の子のお父さん「お互い末永いといいですね。孫を見ないといけないから。おい、もうお腹にいないか?」


女の子「い、いないわよ!し、しないわよ。結婚するまでは。」


女の子のお母さん「あら固いわね〜。毎日毎日、先生って。まだ作ってないのがおかしいくらいだわ。」


男の子「えーっ!いや〜。」


女の子「私、先に資格取らないといけないから勉強しないといけないし。けど頑張ってみる。」



男の子のお父さん「いなくなるとさみしくなります。本当に良かったのですか?」


女の子のお父さん「娘の夢が叶った。小学校の時からずっと頑張ってきたのです。私たちは応援するだけ。私達は娘が生まれた時から、娘から愛情をもらい、いっぱい学ばせてもらいました。娘には感謝しています。確かに、さみしくなるのかも知れない。けど、それは幸せなことです。あの時に娘を失っていたら私達の人生はむちゃくちゃになっていた。だから幸せですよ。」



 女の子の両親は男の子の両親にアルバムを見せながら娘の話や自分達の出会いを話し、男の子の両親も男の子の話をして、お互いの理解を深めあった。




 女の子の部屋に行く2人。


男の子「ねえ。早く赤ちゃん作ったほうがいいのかな?」


女の子「えっ。は、恥ずかしいよ〜。あの、先生が欲しいなら頑張る。」


男の子「はあ。ゆっくり幸せになろうか。再会してその日にそのまま結婚の約束して。翌日に結婚の報告だしね。」


女の子「そうてすね。それに最初は愛し合いたいから。しばらくは避妊したい。」


男の子「えっ!お嬢さん。」


女の子「えっえっ。あっ!は、恥ずかしい。だって、だって。やっと先生と。私、初めてだし。」


男の子「かわいいお嬢さんだな。一緒にゆっくり幸せになろうね。」


女の子「うん。先生。あ、愛してる。」



 唇を重ねる2人だった。


★★★



 一人ぼっちで家に残ったぬいぐるみ。大丈夫とは思ったものの、やはり気になるようです。



ぬいぐるみ「上手くいったのかな。まあ、どう考えても大丈夫だな。帰ってきたら教えてもらおう。」



 ちょっと気になるぬいぐるみだった。


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