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たいせつな ぬいぐるみ  作者: ぴい


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10/10

大切なぬいぐるみ8

 1月下旬。ついに2人の結婚披露会の日を迎えた。


 女の子がお母さん達と作った料理を男の子がテーブルに並べ、最後に真ん中のお花の横にぬいぐるみを置いた。


女の子のお母さん「結局、何人来るの?」


女の子「2人だよ。」

女の子のお父さん「2人だけ!大丈夫か?後で騒動にならないか?」


女の子「職業柄仕方ないけど、仕事の人もいたから。結婚の日を決めたのが急だったから勤務変えられなかった。身内の不幸が重なった人もいて。。あと3人呼びたい人がいたけど。個別に後に日時間取るわ。」



女の子のお母さん「あらー。ぬいぐるみじゃないかい。大切にしてくれたんだね。」


男の子「はい!2人の大切な思い出ですから。なあ、ぬいぐるみさん。今日は僕達の結婚を見届けてくれよな!」



女の子「あっ。来た来た!」



部長「この度はおめでとうございます。」


男の子のお父さん「息子がずいぶん世話になったそうで。とても尊敬してるそうです。」

男の子のお母さん「開業されたとお聞きしました。どうか、お体にお気をつけて。ご成功を願っています。」


女の子のお母さん「わざわざありがとうございます。」

女の子のお父さん「やっぱり先生の建物でしたか!本日はありがとうございます。」



部長「社長!いや〜。えっ!つまり超絶美人で病院内で有名な彼女は社長の娘さんなのか!」


外科の新人「うわー。ちょっと、すごい豪邸じゃないの!あなた、お嬢様だねー。まあ、考えたら気品あったからなー。ねえ、部長の病院すごく立派だったよ〜。あなたのお父さんの会社が作ったんだ!すごいなー。」


部長「息子さんをかなり叱ってしまったから、ちょっと反省しています。」


外科の新人「あれは仕方ないわー。美人がいきなり裸になって結婚して下さい!って。それで、考えてみるじゃあねえ。私だったらがっかりよ。」


女の子「もー言わないでよ〜。は、恥ずかしいよ〜。」


女の子のお父さん「んー。そこまでしたか!お前やるな!」


男の子のお父さん「いや〜。そんな状況なの?それは叱って当たり前ですよ。私なら手が出ているな。」 


男の子「でもね、初めて話したんだよ?いきなり結婚だよ?仕方ないでしょう。」


男の子のお母さん「でも、嬉しいねー。そんなに好きだったのかい?」



女の子「あの。私、手術の傷がずっとコンプレックスで、どうしても見られたくなくて。でも、先生の前では裸になれたの。今まで怖かったのが全く無かった。だから、私、先生となら結婚出来るって。やっと幸せを見つけたの。必死だったの。」


男の子のお母さん「それは。今まで辛かったでしょう?幸せにならないとね。私達も協力するよ。」


女の子「お母さん。」



外科の新人「はいはい。今は泣いちゃダメーっ!」



男の子のお父さん「それでは部長。一言お願いします。」



部長「えー。彼女が就職した時に先生と結婚するのが目標の一つと聞いていましたが、半年経っても挨拶だけ。これを助けたのは、この外科の新人さん。彼女のおかげで今日の日を迎えました。先生は私にない才能を持っており、一目置いていました。また、彼女は病院一。いや、日本有数の美人で、素晴らしい性格の持ち主。理想の2人の結婚。心よりお祝いします。末永く幸せになって下さい。」



 2人でケーキの上のキャンドルに火を灯す。一斉に拍手が起こった。



外科の新人「結婚おめでとう!」

部長「おめでとう!」



女の子のお母さん「娘が中心となり作りました。さあ、どうぞ遠慮なくいただいて下さい。」


外科の新人「えーっ。これ買ったんじゃないの!あなたすごいわね。」


部長「これ、ヤバいな。すごい!」

外科の新人「部長、むちゃくちゃ美味しい!」



女の子のお父さん「退院してから、ずっと花嫁修業だって頑張ってたから。」


外科の新人「あなた。半年何をしてたのやら。ねえ先生、全く気づいてなかったの?」


男の子「見た事がないくらいの美人とは思ったけど。僕には関係ないと思ってた。だって小学生の女の子が大人になったら分からないでしょう。」


部長「新人研修の休憩時間に聞いた時は驚いた。あれは分からない。」


外科の新人「部長。なんで彼女を外科にしなかったの?」


部長「あのな看護師の人事権は私にはないよ。」



女の子「先生の病院はどうなんですか?」


部長「まだ2週間くらいだからな。ガラガラだよ。」


外科の新人「先生。私、SNSの拡散力まあまああるから、いい感じで口コミしておくわ。ホームページのリンク貼るね?」


部長「それはありがたい。幸い、君らの家からは離れた場所だからな。」



男の子「どういうこと?何か関係あるのですか?」


部長「もし君が開業したら、私の病院は潰れる。」


女の子「そんなことないでしょう?大学病院の外科部長の経歴ですよ?」


外科の新人「でも、先生のチームワークは誰も真似出来ないから。確かに危ないわね。」


男の子「部長。外科ですか?」


部長「いや、外科と内科。他もやるぞ。外科だけでは無理だ。」


外科の新人「しっかりして下さいよ。私の未来の職場ですから。」


部長「君はさり気なく入り込むよな。利点だけど危険でもある。しかし、やっとくっついたな。本当に良かった。」



女の子のお母さん「毎日聞いたけど、今日は挨拶出来た。っていつまで言ってたと思ったら、いきなり結婚だから。嬉しかったけど訳が分からなかったわね。」


男の子のお父さん「私達なんか、小学生の時に命を助けた話も知らないから、もっと訳が分からなかった。」


男の子のお母さん「あなた初めて見た時、女優さん?って言ってたわね!」


男の子のお父さん「まさか結婚の挨拶とは思ってもいなかったからな。こんな相手、二度と見つからないと思う。」


外科の新人「新居は?」


女の子「先生の家よ。」


外科の新人「2人で暮らすんじゃないの!」


女の子「私。先生の家とは知らない時から、庭の雰囲気とか家の壁の色とか好きで。何となくあそこに住みたいって思ってたから。すごく落ち着くの。お母さんは何回か見たことあったの。」


女の子のお父さん「あの外壁の色は確かにいい。普通は特注になる珍しい色だけど、いい色だ。」


男の子のお父さん「あれ、母さんが選んだんだよな。標準で特注じゃなかったよな?」


男の子のお母さん「いつも明るい感じでイメージにぴったりだった。あまり選ばれない色なんだって。すぐにラインナップから外れたそうよ。不思議よね。まあ、いいのに売れないって良くあるしね。」



外科の新人「今日から?」


女の子「今日は片付けとかして、こちらで寝るの。明日の朝からね。でも、私が夜勤の日はこちらに泊まる予定。みんなとリズム違うし、たまには帰りたいから。」



 食事が終わると両親と部長、男の子と女の子と外科の新人に分かれて談笑しながら楽しい時間を過ごした。



 女の子の膝に座り、3人の会話に耳を傾け楽しい気持ちになるぬいぐるみだった。


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