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メアリス、『お客様』を歓迎する

「こちらはフランシスさん、こちらはデビッドさん……」


 私は墓標となっている木の十字架に名前を彫っていた。


 無縁墓地なので当然住所や名前はわからない。


 ただ、私の聞き出した情報で名前だけは把握した。


 エリーさんみたいに確かな記憶を持っているのは稀な事で大体は名前ぐらいしか覚えていない事が多い。


 なので、こうして名前を彫るようにした。


 と、ガタゴトと馬車がやって来た。


「こちらに埋葬するように言われて持ってきました」


 荷台には布が被らせてある。


「お疲れ様です。小屋に寝台がありますのでそちらに寝かせてください、後は私がやりますので」


「わかりました」


 教会の方が遺体を小屋にある寝台へと寝かせた。


「では、よろしくお願いします」


「畏まりました、丁寧に供養させていただきます」


 馬車が去っていき見送った私は早速遺体を見た。


「まだ若いわね、10代ぐらいかしら」


 遺体は10代の男性、服は着ておらず所々に傷がある。


 更に気になったのは身体の至る所に紫の痣みたいな物がついていた。


「もしかして虐待でも受けていたのかしら?だとしたら悲しいわね……」


 私は遺体に手を当てた。


(私の声が聞こえますか?)


(聞こえる……、久しぶりの優しい声だ)


(貴方の名前はなんですか?)


(名前……、確かスザックだ)


(スザックさんは亡くなった時の状況を覚えていますか?)


(いや……、元々病気持ちでずっとベッドの上にいたから)


(1人で暮らしていたのではないんですが?)


(家族がいたような気がしたんだけど覚えてないな……)


 ……これは余り想像したくないけど家庭内で何かあったのかもしれない。


(私はこの地で眠るのか?)


(えぇ、ですがご心配なく。私が手厚く葬らせていただきます。私にとって貴方は大事なお客様ですので)


 そう言うとスザック様の魂はなんだか安心したみたいだった。  

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