メアリス、騎士に会う
翌日、いつもの様に草刈りをしていると教会の馬車とは違う馬車がやって来た。
降りてきたのは体格の良い男性達だった。
「この墓地に埋めたんだな?」
「あぁ、だが何処に埋めたかは覚えていない」
男性達に囲まれて手錠を嵌めた男性がいた。
「あの、何か御用ですか?」
「ん? 君は誰だ?」
「私はこの無縁墓地の墓守をしているメアリスと申します」
そう挨拶すると男性は驚いた。
「墓守だって? 無縁墓地なのに」
「無縁だからこそ私の様に死者の魂を鎮める者が必要なのです」
私がそう言うと男性は『そうか……』と唸った。
「私達は王立騎士団の者だ、墓守なら聞きたい事がある。この墓地に『エリーさんの事でしょうか?』なっ、何故それをっ!?」
「噂はここにも届いておりますので、エリーさんのお墓にご案内いたします」
そう言って私はエリーさんの眠るお墓へと案内した。
「こちらがエリーさんのお墓になります」
「失礼だが確認させてもらっても良いだろうか?」
「構いませんよ、既に魂は成仏していますので祟りとかは起きませんよ」
「そうか……、それじゃあ頼む」
スコップを持った騎士が墓を掘り起こし骨が入った壺を取り出した。
因みに壺に入れたのは私だ。
「死霊士、どうだ?」
騎士の後ろにいたフードを深く被った人物が壺の中にある骨を見た。
「間違いございません、これは被害にあった女性の骨です」
(この声、結構若い人ね)
フードを被った人物が若くて内心驚いた。
「これでお前の罪は確定だな」
なるほど、手錠をした男性は例の通り魔ですか。
男性は無言のまま骨を見つめていた。
「ご協力に感謝いたします。こちらの骨は預からせてもよろしいでしょうか?」
「えぇ、出来れば遺族の方の元に……」
「残念ながら、彼女の両親は事件の後に他界していまして……」
「そうですか……」
亡くなっている事は残念だけどきっとあの世で再会しているだろう。
騎士達は骨壷を持って帰っていった。
その際にフードを被った人物がコチラをチラッと見て視線があった。
多分、私より若い少女に見えたが微かに微笑んでいた。