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歌う紫水晶亭の人々  作者: Bcar
はじまりのはじまり
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00:はじまりのはじまり

新連載の予告です。

平凡な少女と、平凡な少年の、たられば話。

 信じられない話、してやろっか。

 この世界……地球。この裏っかわにも世界があるって言ったら、信じる?

 眠っている時に見る夢が、その裏っかわの世界の記憶のカケラなんだって言ったら、信じる?

 はは、信じないよな。でも、そのどちらかの世界の均衡が崩れたら、世界は崩壊するんだって言ったら、どうする?


 ……どうもしないか。だって信じてないもんな。


 でも、あるんだ。そこではもうひとりの自分が暮らしてる。夢はどの時代ともリンクしているから、どの時代の自分かはわからないけどな。

 そこではお前は人間かもしれない。人間じゃない種族かもしれない。犬かもしれないし、魚かもしれないし、悍ましい魔物かもしれないし、エルフかもしれないし、ドワーフかもしれない。

 なんでファンタジーな生物の名前が出てくるかって?

 だって夢の世界だからな。なんだって起きる。魔術だってあるかもしれない。ほら、空飛ぶ夢とか見るだろ? あんな感じ。


 さて、ここでひとつ問題が起きるわけだ。

 夢の世界から帰ってこれない人間もいるかもしれないってこと。

 例えば死んだりした瞬間。その瞬間に夢の世界に捕らわれ、戻ることはできない。現実にはもう肉体は死んでるから、夢の世界に魂だけが取り残される。

 ……例えば、だよ。実際そういう人間がいるのか知らないし。


 ……さっき、世界の均衡が、って話したよな。

 夢の世界ってさ、すげえ不安定らしいんだよ。

 だから、現実世界から人間を拉致するんだってよ。

 選ばれた存在。夢の世界でも、現実の世界でも、『まったく同じ存在』。そういうやつ。

 いるんだってよ。百年に一度、そういうヤツが生まれるらしいんだ。で、起きてる間はこの地球で、眠っている間は夢の世界で生活する。現実の、この地球の正しい知識と記憶を持ったまま。夢の世界の正しい知識と記憶を持ったまま。

 そういう人間が行き来することで、世界は均等になるらしい。

 ちょっと怖くなってきたか? 大丈夫だよ、その辺、あんまり負担にならないように調節してきたから。


 ……まるで俺がそうだった、って言いたそうな顔してるな。ふふ、どうだろうなぁ。俺の妄想かもしれないぜ?


 まぁ……そんな文字通りの夢物語だ。

 そこではそういうことが出来る人間は『天の守護者』って言われたりする、っていうか、俺が今勝手に考えたんだけどな。はは。まぁ、とにかく夢の世界では百年に一度、天の守護者様が選ばれる。ハッキリ言えば人柱だよなぁ。

 どの時代から選ばれるかはわからない。中世のヨーロッパかもしれない。原人がヒトになった瞬間かもしれない。遥かな未来かもしれない。今、この瞬間かもしれない。

 今、夢の世界はどの時代をモデルに動いているか……まぁ、もう俺はわかんねえけどさ。


 へっへっへ、結構大変だったんだぜ? なーんもかんもわかんねえ、そんな世界に、今、この世界の知識と常識を埋め込んでくの。そうだな。多分異世界転移ってヤツなんじゃないかな。現代知識で俺ツエーできるってやつ。

 ……だから、冗談だって。そんなことできる訳ねえじゃん。

 だって、百年も時間の進んでいく夢と時間の進まない現実を行ったり来たりしてたら、発狂しちゃうだろ? ……まぁ、しないから守護者に選ばれたのかもしれないかも……だから、例えばだよ。そういうことがあるとしたら、だ。


 んー? なんでそんな話するか、って?

 なんかお前、これからそういうことに巻き込まれそうな気がしたから。


 俺の名前? 転校初日に自己紹介したのに聞いてなかったのかよ? ……あ、その日休んでた? そりゃ悪かった。

 俺、オクタ。奥田昭オクタアキラ

 じゃ、また会おうな、倉家花クラゲハナさん。

 俺たちクラスメートなんだからさ。

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