プロローグ『火に包まれたフォリス王国城と憎悪に包まれるバギャーレスト帝国城』
新しい作品です。
是非読んでいってください。
空が少しづつ闇に包まれていく中、大きな喧騒が王城を包む。
未来を悲観する叫び声。未来を歓喜する歓声。
人それぞれの違いがある声が王城のいろいろなところで空気を震わせた。
剣の交わる金属音も魔術の爆破音すらも、一時の喧騒として空気を震わせる。
玉座では臣下に裏切られた王が胸にナイフが刺さった状態で息を引き取り、瞳は大きく見開かれ、腕も裏切りの臣下に抵抗するために前に伸ばされていた。
玉座の間は地獄という表現がとても似合っていた。王は討たれ、王を守ろうとしたものは切り捨てられ、その状況を口を半開きにして放心状態で見ていたものには反逆の者の手によって王ではなく反逆の者の主に従うことを余儀なくされた。
その日、フォリス王国は反逆軍による炎の海に包まれ、反逆軍にあだなす者は全て炎の燃料として王城に広がる炎の海に捨てられた。
王城の前では反逆軍の兵士の先頭に立つ元第一王子、元第二王子、元第三王子、元第一王女らが王の屍を包む炎の海を背に心地良さそうにニヤニヤと嫌らしい笑みを浮かべていた。
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「ここにバギャーレスト帝国の開国をジャルブドーラの名において宣言するっ」
その日、新たな帝王となった元第一王子のシャルトレイラ・バギャーレスト・ジャンブドーラはそう元王国民の帝国民に新たに改築した帝国王城のバルコニーからそう宣言した。
国名は『フォリス』から『バギャーレスト』へと反逆軍のものの手によって変更され、各地で帝国民の安全を守るという大義名分のもと、各地に帝国民になりすましている秘密警察なるものが発足した。
バルコニーで新たな残虐である帝国王に見下されている帝国民は皆、顔を下げ、拳を爪が喰い込み血が滴るくらいに握り込んでいた。新たな王の誕生に嬉々として賛成する者は勿論おらず、ほぼ全員の帝国民が脅されるという形でジャルブドーラの帝国王の即位に賛同した。
前国王シャルトレイラ・フォリス・ロジャードは国民の中でとても人気のあった王であった。
国民とも身分関係なく話し、約束事は必ず守る。貧しい国民への寄付も惜しまなかった。
そんな親愛なる国王が殺されたのだ。そしてその親愛なる王を殺したやつが帝国王になるのだ、いい気分になるはずがない。
いつしか国民は親愛なる前王の復讐として幾度となく城に乗り込んだがその度に帝国王に家族などを人質にされている騎士団に妨害され、その復讐に加わったり、皮関わったりしたものは捕えられ、死刑に処された。そして帝国王のことを侮辱するものがいれば、新たな帝国王に陶酔し、忠誠を誓った秘密警察に秘密裏に殺害された。
人々の中には当然、新たな帝国王に対して憎悪の念が湧き始める。しかし、その感情の行き場はどこにもない。
いつしか帝国内は暗い雰囲気、湧き始めて止まることを知らない憎悪に徐々に包まれていった。
どうだったでしょうか。
次回から本編スタートです。
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ではまた来週の月曜日、ここでお会い出来ることを楽しみにしています。