2.夢なら覚めないで
夢の中にいとこが出てきた。
私の実家に来たのだ。
1ヶ月振りに会った彼に甘えたい衝動にかられた。
いっぱい抱きついて、いっぱいキスしたかった。
それ以上はまだ考えられないけど。
私があまりに彼にベタベタするから、お父さんが少し怪しんだ顔をしていた。
彼はちょっと困った顔をしながらも、けして、私の手を振り払うことはしなかった。
私はそんな彼が大好きだ。
「俺の家くる?」
「うん。フルーツ取りに行く!」
彼の家にフルーツがたくさん余っていると言うから、私は彼の家に行くことにした。
独り暮らしの彼の家。
二人で帰っても誰にも怪しまれない。
だって私のいとこだもん。
手を繋いで歩いたって、たとえ腕組んだって、誰にも何も言われない。
でも、外でキスは出来ない。
だから、私は早く彼の家に行って甘えたい。
ぎゅう~って、苦しいくらい抱き締めて欲しい。
でも私の彼ではない。
彼女いるのかなっと、突然不安になる。
彼の家に着いたけど、明らかに急に私のテンションが下がった。
「ゆり、どうしたの?こっちおいで」
玄関に立ったままの私をソファーから手招きする。
「好き」
私は彼に抱きつきながら言った。
彼も私の体を抱き締め返しながら、
「俺も好きだよ」
と、まっすぐ私の目を見て言ってくれた。
私は彼にキスをした。
彼も私にキスをしてくれる。
「好きだよ、ゆり」
胸がきゅんってなって、体が熱くなる。
私の目から涙があふれ出てきた。
彼はその涙をそっと拭うと、片手で抱き締めながら、もう片方の手で私の髪を何度も撫でてくれた。
今はまだ、これ以上のことは何もしない。
まるで、中学生の恋のようだ。
私は彼の腕の中で、ふあふあした温かい幸せに包まれながら眠った。