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悪魔の薬  作者: 花鶏美翔
1/1

TEAM Sその1

元々脚本として書いたものをノベライズ化したものです。前半はほぼコメディーとなっております。

その日は、イギリスの空とは思えないほど良い天気だった。

仰ぐと、空一面に透き通るような青が広がっているのが見える。



そんな空の下。



「いいか、レーヴィット。これは遊びじゃねぇんだよ。命をかけたゲームなんだよ。」

今日の天気には似合わない真っ黒な風貌をした青年……ハイネ・カルロスが苛立ちを隠そうとせずに怒っていた。手には火のついていないキセルを持っている。

彼の後ろには、気を失った男性3人が地面に倒れている。

「分かってるよ!ちゃんと戦ってるじゃん。勝ったじゃん。相手フルボッコだったよ!?」

レーヴィットと呼ばれた、怒られている青年……といっても、まだ顔にも言動にも幼さは残るが……は、不満そうに口を尖らせた。ハイネを睨みつけるが、その瞳は甘く、どこも脅しにはなっていない。

「ルールも分からずに戦うヤツがいるか!大体、勝つのは当たり前だ。」

ハイネは首を左右に振りながら肩をすくめた。そして大きくため息をつく。

「いるよ!エリックだよ!」

「そ〜だよ!わかんないです〜。ど〜せわかんないですぅ〜。」

レーヴィットが勢いよく指さした先には、一見少年の風体をした少女がいた。短く揃えられた茶髪や、ネクタイに半ズボンと、まだ母親に甘えている少年のような外見だ。

エリックだよ!と指さされた少女は身体をくねらせながら顔を赤らめた。

「何顔赤らめてるんだ、テメェは。エリックは充分わかってんだろーが。分かってねぇのは……レーヴィット!お前だ。」

気持ち悪そうにエリックを一瞥すると、ハイネはより刺々しい口調でレーヴィットに言い放つ。

「は!?わかってます〜!」

「じゃ、言ってみろ。」

「……。」

黙りこくるレーヴィットにハイネは舌打ちすると呆れたように見下ろした。

「ほら、やっぱりわかってねぇ。ゲーム内容の紙、読まなかったのか?」

「読まないよ、そんなもん。」

レーヴィットに質問したはずなのに、返ってきたのはエリックの答えだった。

「エリックには聞いてねぇ。てか、エリックは読まなくてもわかるだろ。でも馬鹿レーヴィットは読まなきゃわかんねぇ。」

読書が趣味のエリックは、一体どこで仕入れたのかすらわからない雑学知識を豊富に持ってるうえ、勉学にも勤しみ、その頭脳は大人顔負けのものだった。

「あんな長い文、何言ってるかさっぱりだよね!」

レーヴィットが何故か自慢げにそう呟くとハイネが落胆した表情で

「いや……読んでもわかんねぇの間違いだったな。」

と改めてレーヴッィトの馬鹿さを実感するのだった。

そして、蔑んだ眼を向けるとまた大きくため息をつく。

「レーヴィットを責めないで!」

エリックが庇うように身を乗り出す。

「あぁ?」

「僕を責めて!」

衝撃の一言に場の空気は一気に白け、気まずさにつつまれた。

「気持ち悪ぃよ!責めねぇよ。テメェを責めるポイントがわかんねぇよ!」

「残念……。」

ハイネは顔を歪ませ、鳥肌の立った腕をみせた。エリックは本当に残念そうな顔をして、呟く。

「何が残念だよ!……レーヴッィトの頭の方が残念だよ。アイツ、ルールも分からずに相手ボコボコにしやがって!!!力の使い方も知らねぇアホは嫌いだ。」

「オレはホラ!アゲアゲドンドンでミラクル起こすから!」

ハイネの気持ちとは裏腹に、早速レーヴィットの馬鹿発言。その顔は、やはりどこか自信に満ちておりハイネの心をより苛立たせた。

「その言葉すらミラクルだよ……。」

「レーヴィット羨ましい!どうしたらそんなに罵って貰えるの〜?」

キラキラとした瞳でエリックは尋ねる。レーヴィットは言葉の意味がよくわかっていないのか不思議そうな顔をするだけだが、ハイネは別に罵っていない……と心中で呟くのだった。

しかし、何を思ったのかレーヴィットはポン。と手を叩くと笑顔を向けてエリックに返す。

「あ〜。まったくぅ〜!ハイネはっ!!まだまだガキだね。キレたいんだね!第二次成長期かこのぅ!!!って心構えでいればいいんだよ。」

「ったく。オレは23だっつーの。第二次成長期のわけねぇだろ。」

意味不明なレーヴィットの言葉に、真面目にハイネは返答する。

綺麗な金髪につり上がった目。180cmはある、長身。モデルのような外見のハイネだが、醸し出す雰囲気の悪さから、女性が近づいてくることはない。

「ホントだ〜!よしっ。ハイネ〜!全く〜。責めるなら僕にしろって言っただろ★」

「……。ついにレーヴィットの馬鹿がうつったか。……まぁ、いいや。エリック、あの馬鹿にゲームのルール教えとけ。オレはあの馬鹿に教える気力すらねぇ。」

そう言うとハイネは崩れた塀の上に腰掛ける。

「OK。レーヴィット。おいで、教えてあげるよ。」

エリックが手招きして呼ぶ。

「よろしっくぅ〜!」

気の抜けた返事でレーヴィットがやってくる。


そして、3人で囲むように腰かけると、エリックから命をかけたゲームルールを教えられることになった……。

ようやく完成!チームSM編。その1。

先は長いですね。頑張って書きたいと思います。

……この話だけだとどんなストーリーかわかんないですね。ごめんなさい。そのうち話も展開し、キャラも増えると思いますので。

ちなみに主人公は一応レーヴィットですが、気に入ったキャラを主人公にしてくれて結構です。

相当長くなるような気がしますが、どうかお付き合い下さい。

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