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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。

イヴなんて関係ない

作者: 八幡八尋
掲載日:2019/12/25

Merry christmas!

ご無沙汰しております。スランプから抜け出せない八幡八尋です。今回は、クリスマス百合の生徒×先生ものにしました。百合です。続編を後で投下致します。

「戸山さん、また学校来てるの?」


12/24。別に声をかけなくてもいいのに、また勝手に口が動いた。


熱心にペンを動かしていた彼女の目線が、ノートから私の方へと移る。


「ええまあ」


端的に発された声は少し不機嫌なようで、もしかすると邪魔をしてしまったのかもしれないと少し不安になった。


戸山律希(とやまりつき)はこの学校の高等部2年生だ。生徒会にも属していないし、どの部活にも入っていない。けど、毎日学校には来ている、不思議な子。


私はここの教師で、律希ちゃん(心の中ではこう呼んでいる)とは総合学習の授業で関わっている。専門教科の化学は教えてないけど。


「先生こそ、また学校に来てるじゃないですか」


「いや、私は仕事あるし」


「ふーん…今日も?」


「そうよ。何で?」


「いや、世間はクリスマスイブなのになぁって」


「悪かったわね、恋人なんていませんよ」


「大丈夫ですよ。生憎私もクリボッチってやつなんで。同志ですね」


話しかけたのは私の方だ。だけどほんの少しため息をつく。律希ちゃんは大人しくしていれば真面目でとても良い子なんだけど、どうも話し出すと突っかかってくると言うか、残念というか…


「そういうの面と向かって言わないで!私がボッチみたいじゃない」


痛いところをついてくる。最初はとても、この性格が苦手だった。


「いや~ボッチの方が楽ですよ。多分」


相手が嫌な顔をすると愉しそうに返してくるのは、最近ではある意味素敵な性格なんだなぁと受け入れるようになったけど。


というよりむしろ、私は彼女にもっと、表面じゃない本当の顔を見せてほしいと思うようになっている。生徒なのに。


「ほんとに?」


「だって一人の方が捗るじゃないですか。今日は誰もいないんでしょ?職員室も」


「うんまあ、いつもより人は少ないかもね。誰もいないってわけじゃないけど」


「ふーん。先生だけじゃないんだ…」


「何よ。私だけじゃないのよ、独身の人」


口に出すと余計に虚しさが増した気がしたけど、事実なんだから仕方がない。


ムキになった私に、彼女は少し笑いかけて、鞄に筆記用具を詰め始めた。この話は終わりということなんだろうか。


「じゃあ先生、明日も来るんですか?」


「え?うん…まあ、そうなる…」


尻すぼみで言うと律希ちゃんは満足そうに頷いて、「じゃあ明日も来ますね」と言った。


「何で…」


真意が分からずに問おうと思った私の横を通り抜けていく彼女。すれ違い様、耳元でそっと囁かれる。


「だって先生がいない学校なんて、私、来る意味ないじゃないですか」


振り向くと、彼女はこちらを見もせずに手をヒラヒラと振っていた。時間差で顔がカッと熱くなる。


生徒会にも属していない、どの部活にも入っていない。けど、毎日学校には来ている、私の好きな子。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

拙い文章ではありますが、楽しんでいただければ幸いです。

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