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今日最後の投稿です。また短いですごめんなさい。
7話目ですどうぞ
「あ、ロイスさん! お疲れ様です! そちらはどうでしたか!」
「…………ああ」
「ロイスさん?」
もりをぬけた先で話しかけて来たのは茶色の癖っ毛が目立つ少年だった。その後ろには同じく茶色の毛をした髪の短い少女。それとそばかすのある少年の二人がいた。返事を返さないロイスに三人は訝しむ。
「……あんたまたなんかしたの?ジェン兄」
「ま、またって何だよ! 何もしてねぇよ!」
「どーだかー! よくお姉ちゃんに余計なこと言って怒らせてたじゃん」
「そ、それとこれとは関係ないだろッ!!」
「関係ないとか言うから無神経な発言繰り返すんでしょ」
「まぁまぁロニもジェンも落ち着いて! 馬鹿に見えるよ!」
「「喧嘩売ってんの!?」」
茶色の癖っ毛少年と茶髪の少女は会話からして恐らく兄弟か。そばかすの少年は鎮火役かと思ったらまさかの油。随分と愉快なトリオだ。何とまあいい役者がここまで揃うものだ、と口元が歪むのが分かった。バレないように口元を隠し、トリオに背を向けたまま足早に進む。幸いにも、この先に関所が見える。
「その袋! 今日は大量だったんですね!」
「何よその『今日は晴れですね』みたいな話の振り方。馬鹿丸出しじゃないの」
「ロニもジェンも頭悪いじゃん。ハハッ!」
「「ぶっころッ!!」」
油の質が良すぎてここまで行くと逆にバランスが取れているように感じてしまう。背を向けたまま、ちらりと後ろに目を向ける。憎まれ口を叩けど、この三人は相当に信頼し合っているのだろう。騒ぎながら、服を掴みながらも時折笑顔が垣間見えた。
「お前ら宿はどこだ?」
「……へ?」
背を向けたまま唐突に聞かれた質問に、三人は目が点になる。
「……今日は疲れただろう。この後ちょっと予定があるから明日にでも差し入れ持ってってやろうと思ってな」
「えッ、ああありがとござっすっ!! 【妖精の宿り木】ってところですッ!」
「……そうか。分かった」
代表としてジェンが答え、ロニとそばかす少年も口々に礼を言った。ちらりと横目で見ると三人とも少し困惑しているものの、ロイスの存在を疑っているわけでは無いようだ。
ほっ、と自分でも聞こえない程小さく安堵の息を出した。あまり長く喋りすぎるとボロが出るかもしれない。しかも背を向けて話しても違和感のない内容でないとならない。これなら、背を向けるのは照れているのか、となるだろう。
それでもやはり少しは不自然に見えるのか、そばかすの少年だけが首を傾げていた。
ーー会場は【妖精の宿り木】で決まりかな。
等々抑えきれなくなった笑みが、ロイスの姿をした雪緒の顔を侵食していく。優しさのかけらも無い、濁った笑みが。
◇◇◇
翌日の空は圧迫されたように重い曇天模様だった。何故か憂鬱になる、そんな空。まあそんな気分なのは妻のせいもあるか、と自警団員ルーシー・バンカーは鼻で笑って関所近くにある自警団本社への道を歩く。
(なーんかやな天気。……いや、嫌な空気? 帰りてぇ)
思わず踵を返しそうになる。何故か昔から自分の勘は当たるのだ。しかも今日は久々の朝一出勤。今まで夜勤だったのに、だ。嫌にもなる。
(しかも何か小指ぶつけたとか階段でこけたとか、そんな程度では無い気がするんだよな……。あー帰りてえ。帰っときゃよかったって後悔するやつだ)
足取りが極端に重くなる。天を仰いで息を吐き、溜息を吐き、顔を叩いて「よしっ!」と気合いを入れて、そしてダラけて歩みを進めた。
そして関所の事務室へと到着し、扉を開けーー
「おはざーーすぇッ」
置き土産に、思考の歯車が外れた。
お読みいただきありがとうございます。
一話一話行き当たりばったりで書くと辻褄合わせるの大変ですね今更ですが。あの赤と白のシマシマさんを探せみたいな感じで、誰が雪緒くんでしょーか!みたいな書き方の方が読んでて楽しいかもですね。次章からそうしようかな?
何か感想や改善点ございましたら言っていただけますと嬉しいです。