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短いけどきりがよかったのでこれで投稿します。
6話ですどうぞ
「また後先考えずに殺してしまった……!」
落ち葉やら木の枝やらが敷き詰められた土の上で蹲り、雪緒は後悔を口にした。
(いやでもあんなのチャンスって思うじゃん! 一本だけ残ってた回復薬つかってさ! 僕の事全く警戒してないし、鞄の中にあったナイフも掴めたし泣き落としも出来るかなって実際何とかなったし、絶妙なタイミングだったじゃん! 親密な女の子に甘えられたタイミングで死ぬってもうドラマティックじゃん!!)
自己を肯定して後悔を塗り潰す。が、塗りつぶしきれない。殺したのはまだ良かった。即興劇にしては、彼はいい死に方をしたと思う。それは良かったのだ。
ーーその後、体が変わらなければ。
「……はぁ。まさかこうなるとは思わんでしょ」
確かに自分の喉を震わせて発し、そして耳に届いたその声は、女性らしい高く柔らかい声でも、況してや元の自分の掠れた声でもなかった。
男性にしては少し高めの、そして先程までリュンの姿をしていた自分を慰めていたあの声だった。
目元に流れる金糸を指で摘んで、再度雪緒は溜息をついた。
変身魔法は、強制的に上書きされるものだったのだ。こんな事ならあんな衝動的に殺す事は無かった。例えチャンスでも、多分。と、雪緒は誰にでもなく言い訳をつらつらと並べた。
「……済んだ事をぐちぐち言っても仕方がない。この後どうするか……」
動く度に音が鳴るこの衣は正直邪魔でしかない。そもそも全身を鎧で包まれた事なんて人生でも今日が初めてだ。脱ぎ方すら知識にない。少しまごついて歩く姿は間抜けに見える。
「……はぁ。仕方ない。死体は……埋める? 飾り付ける? んー、飾り付けよう。金の髪を包み紙にして目ん玉だけでもお届けしようかな? うん、そうしよう。きっと喜んでくれる」
髪を無造作に掴んで引きちぎる。繰り返し繰り返し。瞼をぐにっと伸ばして目玉を引っ張り、強引に引きちぎる。両目とも。
「……綺麗な目の色。意識して見てなかったけど虹彩が宝石みたいに透明だ。瞳孔は真っ黒だけど……」
二本の指でつまんで、じっと穴が空くほど見つめる。それにもしばらくして飽き、二つの眼球を片手でこねくり回し始める。
その懐かしい感触に自然と笑みが浮かんだ。
残りの部位は、手のひらと膝下、それと頭部を切り離し、残りを地面に埋める。
「ちゃーんと木の養分になるんだぞー。あ、そうだリュンちゃんの頭も貰っていかないと! 勿体無い勿体無い。せっかくの綺麗な髪してるのに」
ほぼほぼちぎれかけていたリュンの頭部を、腰に掲げた細身の剣でグリグリと切り離す。もう血は殆ど出ていなかった。
「他は……もういっか! これ以上鞄に入らないし」
リュンの体の分の穴も掘り、そこに肉体と鞄の中身を詰め込む。空になったその袋に、お持ち帰りする飾り付けを無理矢理詰め込んだ。
「はー全部入った! 狭いけど我慢してねー」
どんな飾り付けにしようか。どこにお届けしようか。その顔に浮かぶのは、リュンに向けていた暖かく柔らかい微笑みと同じそれであった。
お読みいただきありがとうございます。
人間味出てきたかな……それは無いか。