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今日最後の投稿です。雑になってないかな?読みづらかったらすみません。どうぞ。
「ーーペッ! 流石に骨は食べれられないなぁ」
上手くいってよかった。乱れた黒髪をガサガサと片手で乱暴に掻いて、その少年ーー雪緒は安堵の溜息を漏らした。
幼少期に何度か使用した方法ではあるが、流石にこの歳でアレをやるとは思わなかった。この歳で、と言っても今自分が何歳なのかはわからないのだが。おそらくまだ成人は果たしていないだろう。
ふと目の前に倒れ伏している女性に目を向けて、主に服装とその髪に疑問を抱く。腰に携帯した無骨なショートソード。動きやすさを重視した皮鎧。そして、血に混ざる赤い髪。肩にかからない様にと切り揃えられたそれは、トマトの様な彩度の高い赤をしていた。それでも全く違和感がないのは、眉も同じ色をしているからであろうか。素朴ながらも可愛らしい顔をした少女だった。
ーーふと、違和感を感じた。
うぞろっ、と体の内部を蛇が這いずり回っている様な感覚。にもかかわらず痛みも何もない。しかし、それでも腹の中をぐるぐると掻き回されているような感覚に、殆ど反射的に口元を押さえた。
「ーーうおぇッ! ごぇええッ」
それでも抑えきれなかった物が、無理やり喉をこじ開けて出てきた。胃酸で焼ける喉に手をやり、もう既に体の中に這いずる物がいない事に気付く。口の中に残った食べカスを口の中で纏めてペッと吐き出し、はぁっと溜息を一つ吐いた。
「ーーんん? んんん? えっ」
ーー声が高い?
驚きの余り言葉を失った。胃酸で喉がいかれたのだろうか。喉元に少し触れる。あれ程出っ張っていた喉仏がない。そして心なしか肉付きがよく、それでいて少し細い首。まるで親しみのない物だった。
「あー、あーあーー。あいー……えええッ!?はぁっ!?」
先程までの自分のものではない別人の声。それでいて、何故か聞き覚えのある声の様にも思える。どこで聞いたのだろうか、と首を傾けた。
ーー視界の中で、赤い髪が揺れた。
トマトの様な、彩度の高い髪だった。
「…………嘘でしょ」
先程洞窟の入り口の前で天を仰いだ際に、空を飛び回っていたあれは、やはりドラゴンだった。ドラゴンや他にも害になる生物が溢れているから、この女性はショートソードなんてものを引っさげていたのだ。赤い髪なんて物珍しくも無いのだろう。そしてーー目の前で殺した人物と瓜二つに変身する事もあるのだろう。だってーー
「ーー異世界、だもんな」
もうそういうものだと雪緒は無理矢理飲み込んだ。
手を前に掲げてみる。女性らしさの出る細く長い指。手のひらは普段から剣を握っていたのか、随分と固くなっている。細っそりとした腕を覆う様に安っぽい籠手が装着されていた。左の腰に手を添えると、ショートソードの柄に触れた。
全身の至る所に触れて確認し、服装や装備品、所持品全てが目の前の女性が身につけていた物だと言う結論に至った。その代わりにと言ってはなんだが、目の前の女性が身包み全て剥がされ、全裸で横たわっている。
「……これ魔法?かなぁ?もっとこう、人を殺す事に役立つ魔法なかったの……」
どう考えてもピーキーすぎるでしょ、と雪緒は独り言ちた。包丁で切断するのは思いの外大変だった。ノコギリでも時間がかかった。切断の魔法なるものが存在すればなぁ、と何度も夢想した。
「ま、仕方ないか……。貰えるものは貰っておこう主義だしね!」
魔法なのだろうが、いかんせん使い方すら分からない。状況から察するに、恐らく殺した人物に成り代わるというものなのだろうか。そして、この女性の肉体や所持品そのものは得られたものの、経験や知識まではコピー出来ない様だ。
自身にかかっていたショルダーバッグの紐を緩め、中身を確認する。肌触りの悪いタオルや包帯、小さい袋に入れられた干し肉。恐らく銅で作られた、皮の紐がついたプレート。小型のナイフ。
腰に括り付けられた袋もついでにと開けてみる。
「……牙? かな?」
何に使うのかは分からないが10cm程の太い獣の牙が2本ほど入っていた。僅かに血の匂いが上ってくるあたり、恐らく今日の数時間以内に入手した物だろう。確認は終えたとばかりにキュッと紐を絞ってまた腰につける。
「さて!この女性をどうするか……埋めるか?」
死体が見つかったら少々面倒である。そうと決まれば話は早く、ショートソードをスコップ代わりに、目立たない茂みの中に穴を掘る。スコップは便利な道具だったんだな、と雪緒は感慨にふけっていた。
しかしそれも半ばで中断させられる事となった。
「ーーリュンちゃん! どこだっ!?」
力任せに藪を掻き分けて、鈍色の鎧を着た男ーーロイスが現れた。
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