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30 まるで姉妹のよう

「えいっ!」

 ゴシャアッ。

 サリーナの一撃で壁が壊れた。向こうには相変わらず白い世界が広がっている。


 比べるまでもなく、こっち側は天然の洞穴だろう。こっちが本来のドン・シンテン迷宮で、向こうの異質な白い通路はわざわざ設置した何者かがいるってことで間違いなさそうだ。


 怪しいことこの上ないが、ユーリカの目的はそこにあるようだし、サリーナがぶち抜いた壁から元のルートに戻る事にした。





 明るい白い通路を、4人で少し早歩き気味に進んでいく。


「サリーナ、久しぶりだね!ありがとうね、長い間わたしのお願い聞いてくれて」


「お安い御用だったわよぉ〜、アタシはユーリカちゃんのお姉ちゃんなんだから!」


 前世で、娘が生まれたばかりの頃はまだちび太が元気だった。赤ちゃんに対して悪さをしないかハラハラしたものだが、本当に姉のごとく見守っていたのには感心したものだ。ハイハイをできるようになった娘がちび太に掴みかかっても、一度も噛んだりせずに逃げ回ったり耐えていたのだった。


「サリーナお姉ちゃんだもんね!」


 うふふ、と微笑み合う2人は、まるで姉妹のような仲の良さだが実際には獣人オネェと年齢不詳のエルフなので兄妹にも見えなかった。


「ユーリカが俺を守るように言ってくれたんだってな。ありがとうな」


 ほんわか仲良しさんの輪に入れてくれると思ったのに、ユーリカは顔をそむけチッと舌打ちした。


「まさかお父さんだけ赤子スタートとは思わなかったから!弱々しいし仕方ないじゃない?ね、仕方なかったの!」


 なんでそんな頑ななんだよ……父親に素直になれない年頃なのか。


「仕方なくでも、ありがとうな。村も助けてくれたし、俺はずっと感謝してたし会いたかったよ。元気そうで良かったよ」


 歩きながらユーリカの頭をなでようとしたのだが、思い切りかわされた。しかしその耳は赤くなってるようだった。






 何時間進んだだろう?

 ずっと直線だった道はいつの間にかなだらかな曲線になっている。延々と白い風景に感覚がおかしくなりそうだった。


 はじめは軽口を叩いていたユーリカも、深刻そうに考え込んでいる様子が見られた。


 エミルは途中で、飽きた疲れた眠いと言い始めてサリーナにおんぶされ、その背でスヤスヤ眠っている。ババ様だから仕方ないんだろうか?おぶわれて、ローブがめくれ上がりむき出しになっている脚は、シミひとつないすべすべの若い肌に見えるが……。

 ちなみに足フェチではないので、ガン見したり邪な目線は向けておりません。おっぱい神に誓って!



「魔物が近い。気をつけてね!」

 ユーリカの鋭い注意が飛んだ。


 ここにきて初のT字路になっている。分岐したその先は曲がり角になっていて先は見えない。


 右側から戦闘音が聞こえてきた。


「調査団が交戦中かしらぁ?」


「たぶん。様子見ながら近づこう。もしピンチだったら、加勢しようね。この先の形状と広さ次第では、サリーナをメインで戦うしかないかも!」


「まっかせてぇ!エミル様起きてくださいな、降ろすわよぉ」


「あ、それじゃ俺が受け取るよ」

 小柄なエミル1人なら、非力な俺でも抱きとめられるだろう。

 そう思って近づいた途端、


「くっさい!」

 ガツン!

「痛ってぇ!」

「いたーい!」


 エミルが飛び起きて、頭と頭がmeetしてトゥギャザーした。何を言っているかわからなかっただろうが、ヘッドバットされて大変痛かったのである。




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