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18 ふくよかな方が

 サリーナとのパーティー登録は簡単だった。登録名を決めて、受付で魔法鉱石版に冒険者証をのせて記録してもらうだけ。

 パソコンで処理する以上の仕事してるよなあ、あの石板。仕組みは魔法研究所とかにいけばわかるんだろうか?



「それでは、パーティー名・ふつうの冒険者、を登録致しました。変更するときはよく考えてからお越しください」

 受付嬢が微妙な笑顔で案内してくれた。


「んまあ、変更しなくても大丈夫よ! ハルっちが考えた良いネーミングだものっ!」

 サリーナはプンプンしている。


「わかりました、ありがとうございました」

 俺は気づいていた。

 俺のネーミングセンスの無さは、元妻に引けを取らないかも知れない、と。


 ま、ユーリカがもし一緒にパーティー組むとなればその時変える事になりそうだし。

 ユーリカ命名だと、蒼黒の幻影煉槍団とかよくわからない名前になったりして。『ふつうの冒険者』のままでは嫌がること必至。


 ギルドを出て、俺たちは早速移動の準備をはじめる事にする。


「やっぱりサリーナAランクだったんだな。俺のお守りなんかで本当にいいのか?」


「んもう〜、アタシの生きがいはハルっちを見守る事なんだから!見てるだけじゃなく一緒に居られるなんて、幸せすぎてぇ……っ」


「ワカリマシタ。落ち着こう、な?」

 出ちゃうよ、色々。


 商店街を歩きながら、数日分の携帯食料などを買い込む。馬車内で食事が提供されるわけではないのだ。

 サリーナがマジックバッグの小さい容量のを持っていて、水だけはそこに入れて貰えることになったのが有り難い。俺も欲しいなあ! 空間に収納する魔法とか使えないものかね。


「あ、食料代はアタシ任せてねん!」

 サリーナのお金を当てにしていたわけではないのだが、ありがたい!


 サリーナはこういう時だけ母親っぽい雰囲気で

「ハルっちはまだ成長期なんだから、金額なんて気にしないでたくさん買ってたくさん食べて大きくなりましょうね!」

 と慈愛の眼差しを向けてきた。


 いやいや、俺は平均的な成長具合だと思うよ? サリーナががっしりしすぎなんだってばよ!


 ◇◇◇◇◇◇◇


 そして俺たちは、数日後に魔王領の入り口、キクリータイヤムの関所に到着したのだった。


 道中?何事もなかったぜ!

 俺の人生、冒険って単語が家出してるんだよね。


 約5日間、暇さえあれば(というかずっと暇だった)サリーナに食い物を与えられ、体重が増えた……。筋肉は増えてないから、単純に肥満である。酔わなくなっただけ良かったけど。


「う〜ん、まだお肉足りないわねぇ!」


「いやいや、けっこう太ったよ!?」


「ハルっちはそう言うけど、アタシからみたらガリガリなのよぉ〜。もっと、ふくふくっとふくよかな方が素敵じゃな〜い? アタシもそうなりたいんだけどなんかごっつく硬くなっちゃうのよね、全体的に!」


「デブ専かよ!」


「あらん、抱きしめ心地の問題だもの、大事じゃない!?」


「少なくとも俺を抱きしめる対象に入れないでください」


「え〜」


 グダグダ話しながら、入国手続きをする。早速冒険者証を使う時がきたぜ!

 サリーナも第2種を持っていた。その理由が俺たちを探すためだったっていうのがなんかくすぐったい。忠犬よ、かわいい奴め! 見た目は可愛くないけど。


 さて、いよいよ魔王領である。

 ユーリカに会えたら、どういうつもりで俺を探してくれていたのか、聞きたい。

 前世では急死だったから、別れを告げられなかったけど。また家族に会えるなんて、不思議な気分だ。

 怒られたりしませんように。ちょっと恐い。


クリームたい焼き

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