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10 悪い女に引っかかっちゃダメよ

「間も無くムルシウの町です、ご利用ありがとうございました!お忘れ物にご注意ください」


「ハルっち〜、もう大丈夫ぅ?」

 馬車で一緒になった、ゴツい見た目の自称サリーナねえさんが、まだ心配そうに声をかけてくれた。

 筋肉ムキムキな見た目とは裏腹に、妙に細かく俺の世話を見ようとしてくれた、オネェな感じの方である。


「もう酔ってないですよ、薬とか対処法とか色々ありがとうございました!」

 何でもかいがいしくお世話してくれようとしたのを、最大限丁重にお断りするのがこの道中の苦労であった。乗り物酔いがひどい時は本当に助かったんだが、その後はなんか身の危険を感じたんで……。必要以上にベタベタしようとされたりね。俺みたいのがタイプなのか、男好きなのか、下心なく子供を可愛がってるつもりだったのか?こわくてツッコめなかった。


 15歳で成人とはいえ、俺はまだまだガキくさい見た目だと思う。家族が彫りが深めの美形揃いだったのに対し、俺は地味な感じだ。ブサイクというほどじゃないと思うけど、村では全然女の子達にモテなかった……。オネェに受ける系の見た目なんだろうか?複雑である。


 隣町・ムルシウへの3日ほどの道程は、安全に予定通りに進んだ。盗賊とか魔物とか出ませんでした!もちろん出ない方がいいのだから不満はないよ?


 冒険者という職業があるこの世界は、魔物が出る。なので討伐依頼があったり、魔物が出る危険な地域へのお使いや護衛依頼が日常的にあったりする。なのに、俺が生まれてから一度だって村の近くにそういう危険があったことがないのだ。


 もしかしてユーリカが守ってくれてるとか?でも色々な国で活躍している噂を聞くしなあ……。


 チートがないかわりにイベント的なトラブルが起きない体質とか?


 悩んでいるうちに馬車は小さなゲートをくぐり抜け、止まった。

 多くもない乗客が降りていく。俺の村発のこの乗合馬車に、近隣の小さな集落から数人の男性が乗っていた。

 数日間一緒に過ごしたが、サリーナが構い倒してくるので他の人とはほとんど会話をしなかった。


「それじゃあ、またねん!悪い女に引っかかっちゃダメよ。さみしくなったらアタシを呼んでね!」

 秘技愛想笑いで受け流しつつサリーナと別れた。


 数日滞在するので、また会うかもしれないとは言っていたが、さみしくなって呼ぶ事はないよ!


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