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1 死んだ。

 俺の名前は、小池 雅治(こいけ まさはる)


 一家の大黒柱であり、企業戦士として戦っている、ラノベとネトゲが好きなナイスガイ!

  ……だった。



 どうやら、死んだようだ。


 あ、俺死んだんだな、となぜか解った。不思議なもんだな。


 おそらく過労死ってやつじゃないかな。もしくはストレス死?

 まあどっちでも同じようなもんだ、ストレス社会と言われて久しい現代において、俺は立派に戦っていたのだ。

 そしてHPもしくはMPがなくなって死んだって事なんだろう。



 オンラインゲームにはまっていた時は、仕事で疲れすぎた時に「死に戻りでホームポイント(家)戻れば早くね?」なんて考えていた事があったけど、もちろんそれを実行して死んだわけじゃない。



 死ぬ直前の記憶はないので、推測ではあるが急病で死んだか、気分が悪くなって運転ミスからの単独事故だと思う。どうか誰も巻き込んでいませんように。



 俺の死に労災が認められるのかとか、すぐ保険金がおりるのかとか、その辺はもう死人である俺にはどうしようもない。



 残して来た家族には申し訳ないのだが、死んだ途端に何か見えない壁のようなもので隔たれたような、薄い膜で覆われた様な感じがある。

 そのせいなのか現実味がない感覚なのだ。強制的に、別の場所の話だと思考を隔離されてるかのようだ。



 そうじゃなければ、今すぐ家族の様子を見に駆けつけたくて堪らないはずだもんな。



 同様に、会社に対して今まで抱いていた色々な想いも他人事になった。

 何かから解放されたかのようにスッキリした気分ですらある。



 少し引きこもりがちな妻も、可愛いひとり娘も気がかりだが、でも生きている者たちでどうにかしてもらうしかないよなあ、仕方ないよな、という感じなのである。



「ごめんな、先に死んじゃって」

 俺は妻と娘の顔を思い出しながら呟いた。お、声が出る。


 思考もできているし、これは魂という状態なのかな?


 自分の姿を意識してみると、いわゆる人魂というイメージそのものの形だった。



 ふと気がつくと、何かに導かれる様に、俺は「上の方」へと移動している様だった。現実だったら大気圏とか宇宙とかに突入するんだろうけど、どうも違う場所のようだった。



 天国でもあるのかな?



 まあ、これから成仏するという事になるのだろう。

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