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それいけ、地球防衛隊

作者: under_

□ 1


隊員「大変です、隊長! 巨大怪獣がこの砦に接近しています」


隊長「なに、恐れることはない。この砦には技術の粋を結集して構築された、いかなる敵をも寄せ付けない鉄壁の防衛システムが存在するのだ。怪獣など返り討ちにしてくれる。防衛システム起動!」


システム「OSバージョンアップ中……しばらくお待ち下さい」


怪獣「ピギャアァァァ!」



□ 2


隊員「大変です、隊長! 再び巨大怪獣がこの砦に接近しています」


隊長「前回は不覚を取ったが、OSアップデート機能は既に停止した。今度こそ返り討ちにしてくれるわ。防衛システム起動!」


システム「ハードディスクが暗号化されました。解除する場合は以下の口座に50ドル振り込みを……」


隊員「ウィルスかよ!」


怪獣「ピギャアァァァァ!」



□ 3


隊員「大変です、隊長! 三度巨大怪獣がこの砦に接近しています」


隊長「慌てるな、既にシステムはインターネットから隔離してある。これでもうウィルスに侵されることはあるまい。防衛システム起動!」


システム「サーバとの通信を確認中……しばらくお待ちください」


隊員「クラウドかよ!」


怪獣「ピギャアァァァァァ!」



□ 4


隊員「大変です、隊長! また巨大怪獣がこの砦に接近しています」


隊長「問題ない。既にシステムは全てオンプレミスで組み替えてある。今度という今度こそ返り討ちにしてくれるわ。防衛システム起動!」


システム「サブクラスタA起動完了、サブクラスタB起動完了、サブクラスタC起動……」


 ガシャン!


隊長「何が起こった? どうして、突然明かりが消えたんだ?」


隊員「まさか、ブレーカー……」


怪獣「ピギャアァァァァァァ!」



□ 5


隊員「隊長! また巨大怪獣が……」


隊長「落ち着き給え、電源の増設は既に済んでいる。ようやく俺たちの職務を全うする時が来た。防衛システム起動!」


システム「全クラスタ起動完了! 展開フェイズへ移行。設定データをメインメモリにロードしています。残り一時間……」


怪獣「ピギャアァァァァァァァ!」



□ 6


隊員「あっ、巨大怪獣……」


隊長「投げやりになるのはまだ早いぞ! 同じ轍を踏まぬよう、システムは既にスタンバイ状態だ。防衛システム実行開始!」


システム「強化シールド展開開始……予期せぬエラーでシステムが強制終了しました。管理者にお問い合わせください」


隊員「はあぁぁ……」


怪獣「ピギャアァァァァァァァァ!」



□ 7


隊員「……」


隊長「怪獣が現れたら、ちゃんと報告し給え! 結果的にこれまで諸君を……いや、国民を失望させてきたのは事実だ。それは謝ろう。しかし、今度という今度は大丈夫だ。世界中のシステムエンジニアに動員をかけ昼夜飲まず食わずで防衛システムのデバッグをやらせたからな。あらかたのバグは潰せた。防衛システム実行開始!」


システム「ビーム砲発射準備完了。承認シークエンスに入ります。責任者のIDとパスワードを入力してください」


隊長「パスワード……、何だったっけ?」


怪獣「ピギャアァァァァァァァァァ!」



□ 8


隊長「怪獣が現れたというのに、隊員は何処へ行ったんだ? いざという時に使えん奴らだ。だが、たとえ一人でも、この世界を護るために俺は決して諦めないぞ。パスワードもメモ用紙に書いておいたから、もう間違えることはない。防衛システム実行開始!」


システム「システムのサブスクリプション有効期限が過ぎました。至急、更新手続きをしてください」


怪獣「ピギャアァァァァァァァァァァ!」



□ 9


隊長「忌々しい怪獣め、お前のせいで俺は部下も名誉もすべて失った。最早地球の防衛なんて知ったことか、俺はただお前をぶちのめしたい。サブスクリプションの更新も済ませた。今日こそ俺の手で引導を渡してやる。防衛システム実行開始!」


システム「OSのサポート期限が切れました。強制アップデートを実施します……システム再起動」


隊長「やってられるか!」

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