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ギルドと簡単なテスト

 はぁ~、あれやっといて良かったなぁ。

 後回しにしてたらバアルの動きが見えなくて殺させちゃうところだったよ。


 この神殿にはいろいろな機能がある。

 その中に、『召喚者の強化』と言うものがある。

 沢山の項目があって、それぞれにポイントを割り振ると、その項目の強化が出来るのだ。

 例えば剣術とか、体術なんてものもある。

 よくあるスキルみたいなものだ。


 『レーザービーム』や『神殿召喚』との違いは分かっていない。

 これもスキルなのか、それとも全くの別物なのか、調べる必要がありそうだ。


 俺が強化したのは、『体術』と『身体能力』の二つ。

 神殿内だとある程度動けるが、外に出ると普通の一般人と変わらない感じがしたため、強化した方がいいと判断したのだ。

 体術に関してだが、俺たちはまだ武器を持っていない。

 その為、素の能力を強化するしかなかったのだ。


 これらに使ったポイントは、魔物を神殿の専用の部屋に持っていくと、ポイントに換算される仕組みになっている。

 これのお陰で、食料調達以外に魔物を倒す恩恵が出来たという訳だ。


 で、魔物をポイントに換算した時、ある事に気付いた。

 個体によって貰えるポイントが違うのだ。

 明らかに同じ種類の魔物なのに、それぞれに少し差があった。

 多分、個体の大きさなどの細かい部分が反映しているのだろう。


 これもよく調べる必要がありそうだ。


 という訳で、俺たちはようやく街へ行ける事になった。

 バアルが睨んだら一発だったよ。

 まぁ、うん。



~~~~~~~~~~~~~~~~~



 「へぇ、ここが街か」

 「大した事はありませんね」

 「いや、神殿と比較しちゃダメだよ?」


 俺もちょっと思ったけど。


 俺たちはあの四人の案内の元、街にたどり着くことが出来た。

 これで目的に大きく近づいただろう。

 ようやく、最初の一歩を踏み出せた感じだ。


 「なぁ、その、あんた達は、何を、しにきたのですか?」

 「ノルベー、言葉遣いがおかしいですよ」

 「う、うるせぇ」


 体格のいい『ノルベー』という男が、どうやら俺たちが街に来た目的を知りたい様だ。

 もう片方の男はホルトと言うらしい。

 ノルベーは剣と盾を使い、ホルトは剣のみで戦う様だ。


 なんか、ノルベーの方は「アニキ」って慕われてそうな感じがする。

 ホルトの方は結構モテそう。

 だってイケメンなんだもん。


 「言葉なんて気にしないでいいよ。別にそんな立場の人間じゃないしね」


 実際そうである。


 「そ、そうか?じ、じゃあそうさせてもらうぜ」

 「で、目的だけど……それって言う必要ある?」

 「ッ!!」

 「……ハハ!冗談だよ。人探しだ。そうだ、ちょっと聞きたいんだけど、『勇者召喚』ってしってる?」


 せっかくだから聞いてみる事にする。


 「勇者……?そういやどっかの噂で……」

 「僕が知ってます。と言っても、人から聞いた話ですが。たしか、『ヘルムドソン帝国』で勇者召喚が行われている……と」

 「へぇ……その勇者って、複数いたりする?」

 「ご存知ですか。はい、どうやらその様です。帝国はどうやら、騎士団や魔術師団とは別に、『ブレイバーズ』と言う、皇族直下部隊を作り上げたとか……」

 「で、そのメンバーが召喚された勇者であると?」

 「その様です」

 「へぇ~」


 そいつらは俺とは違い、優秀な勇者(・・・・・)なんだろうなぁ。

 多分だけど、こいつらとは戦う事になりそうだ。

 こいつらが一番厄介だろうな。


 「いやぁ、助かったよ。まさかいきなりこんな情報が手に入るなんてね」

 「いえいえ、お役に立てたようで良かったですよ」


 これで明確な目的地が定まったな。


 「街に付いたと思ったら、どんどん進展していくな。目的地も定まった」

 「問題は、その帝国がどこにあり、どうすれば行けるのか、ですか」

 「あぁ、どうしようか?」


 俺とバアルがそんな事を話していると、声をかけられた。


 「あのぉ、冒険者になってみてはどうでしょうかぁ?」

 「冒険者?」

 「はいぃ。冒険者であればぁ、国境を超える事も出来ますしぃ、あちこち移動しても、不審がられることは無いのでぇ」

 「なるほどねぇ。そういえば、君らも冒険者やってるって言ってたね?」

 「僕ら全員そうですね」

 「あ、今回の依頼どうする?」

 「あっ!そうよッ!期限過ぎちゃったじゃない!!」

 「失敗ですねぇ」

 「いやぁああ!!!!」


 魔法使いの女性、『アンナ』が、なぜか絶叫している。


 「依頼達成が出来ないと、何かあるのか?」

 「いや……実は、今回の依頼の報酬で買いたい物があったらしい」

 「……いましか手に入らないのよ。たまたま入荷されてて……次はいつ入るか……」

 「……ま、運が悪かったって事で」

 「元はと言えばあんた達があんな所にイッ!?」

 「…………」


 バアル、無言の殺気。

 真顔で睨みつけてる。


 「ご、ごめんなさい……」

 「…フンッ」

 「あはは……」


 怖ぇ……


 「あ~、冒険者にはどうやったらなれるんだ?」

 「え?ああ!!ギルドに行って、登録すれば、誰でもなれますよ」

 「よし、行くか」

 「えぇ!?本当になるんですか!?」

 「主様の決定に何か文句でも?」

 「いえ!何もありません!!」

 「……バアルは、何か意見ある?」

 「そうですね、目的のためにも、人の街での生活は欠かせませんし、そうしますとお金が必要になります。このような人の社会の中で、いきなり職を手にするのは困難でしょう。これからどうするにしても、まずは冒険者になり、資金を得る。と言う意味では、最善かと思われます」

 「よしよし……じゃ、改めて案内してくれ」

 「えっと、はい」


 こうして、先輩冒険者なる彼らの案内の元、俺たちは冒険者になるべくギルドに向かった。



~~~~~~~~~~~~~~~~~



 「へぇ、思ったよりも綺麗だな」

 「そこそこ手入れが行き届いていますね」

 「そうだろ?まぁ、ギルドの掃除は依頼にあるんだよ。子供たちが小遣い稼ぎでよく掃除しに来るんだ」

 「そういえば、冒険者には子供でもなれるって言ってたな」

 「そうよ。大体の子は、自分の街のギルドに登録して、街中で出来る依頼をチマチマ受けてお小遣いを稼いだり、生活費の足しにするの」

 「で、その中の仕事の一つが、ギルドの掃除か」


 なかなかいい仕組みなのではないだろうか?

 働いてお金を得るという事を子供の頃から経験できるのはいい事だと思う。


 「なかなかいい仕組みだな」

 「だろ?この仕組みが出来たのはここ十年ってとこなんだ。これのお陰で、スラムが一気に縮まったんだぜ?孤児が金を得るまともな手段が出来たおかげで、スラムでしか生きられない人間が一気に減ったんだ。働き手が増えたお陰で街も活性化されたし、実はついこの間街の壁を広げたんだぜ?今行けば出来たばかりの住宅街とかが見れるかもな」

 「へぇ、そんな事にも影響が出たのか」

 「そうなんですよ。今回の領主に代替わりしてから、この街はかなり良くなっていると思います」

 「ですねぇ。お陰で孤児が増えにくくなりましたし、教会に入る献金けんきんも増えましたぁ」

 「へぇ」

 「…あれ?あまり関心を持ちませんねぇ」


 そりゃあね。

 興味ないし。


 「じゃ、冒険者になろうか」

 「はい。主様」


 俺たちは教えてもらった受付に向かう。


 「冒険者になりたいんですけど」

 「はい、登録ですね。私がいくつ質問しますので、それに答えてください」


 そう言って受付のお姉さんは紙を用意する。


 質問は簡単な物だけで、名前や出身地、魔物との戦闘経験のありなしのみだった。


 出身地?「村」って答えた。

 村の名前は無いしあっても知らないと言うと、結構あっさり通った。

 自分の出身地の名前を知らない人は良くいる様だ。

 特に田舎から来た人に多いらしい。

 俺たちは受付さんに田舎者と認識された。


 「それでは最後に、ちょっとしたテストをしたいと思います。これは任意で参加するか否かを決めることが出来ます」

 「どういうテストなの?」

 「戦闘能力を測る物です。こちらが用意した標的と戦闘を行ってもらい、場合によっては初期のランクが変動します」

 「一番下からじゃないかもしれないって事か」

 「まぁ滅多にありませんけどね。冒険者になる前にその手の職業についていた人であれば、よくそこそこのランクからスタートする人が居ます」

 「ふーん。じゃあ、せっかくだからお願いしようかな」

 「かしこまりました」


 俺たちはテストとやらを受ける事にした。

 まぁなぜ受ける事にしたかと言うと、ちょっとした理由がある。


 別にランク上げに興味があるわけではないが、ランクごとの戦闘力の基準がしりたいなぁと。


 このテストでどこまで測れるのか知らないが、まぁ気になるのでやっておくことにする。


 俺たちは受付さんの案内の元、訓練場らしき場所に来た。


 「では、ここでテストを行います。もうすぐ審査員が来ますので、少々お待ち下さい」


 言われた通り待っていると、審査員らしき人が来た。


 「私が今回審査員を務める職員の『パトリシア』だ。二人は、『バアル』と『カミヤ』だな。では、テストの説明をする」


 はい、私の名前はカミヤです。

 こっちに来てから初めて名前を呼ばれたね。


 「…………」

 「……バアル、睨まないで」

 「えぇっと、始めるぞ。まぁ複雑な物ではない。私が召喚術を使い、召喚された魔物を君たちが倒す。これだけだ」


 シンプルだな。


 「二人いっぺんに来ていいぞ」

 「いや、一人でいいよ」

 「……怪我では済まないかもしれんぞ?自分の実力を過信しない方がいい」

 「テストにならないかもしれないぞ?二人でやったら一瞬だ」


 ちょっと煽る。

 まぁ俺たちがどれくらい戦えるのか分からないけど、バアルが強いのは確かだからな。

 今のところはバアルの方が強いんじゃないかな?


 「……いいだろう。後悔しないようにな」

 「じゃ、俺から行かせてもらおうかな。大口叩いたわけだし。バアルは俺の次ね」

 「かしこまりました」


 俺は訓練場の真ん中近くに行く。


 「準備はいいか?」

 「いつでもどうぞ」

 「……武器はどうした?」

 「俺、武器使った事ないんだよね」

 「馬鹿にしているのか?」

 「いやいやいや!武器無くても大丈夫だから!」

 「……まぁいい、まずはこいつだ。『召喚・レッドボア』」


 すると、審査員の前から一匹の大きな猪が現れた。


 「バッファローモドキと比べたらなぁ」


 迫力不足、小さ過ぎるな。

 ここまでくると可愛く思えてくる。

 愛でることは無いが。


 「そーれ」


 俺は指先から細いレーザーを放ち、猪の頭を撃ち抜く。


 ドサッ……


 猪は鳴き声を上げる事もなく、その場に倒れた。


 「なッ!?……少しみくびり過ぎたか?次はこいつだ。『召喚・ゴブリンソード』」


 すると、もう誰がどう見てもゴブリンという見た目の魔物が出てきた。

 そいつは出てきた瞬間から俺の方に向かって来た。

 その手には力ずよく一本の剣が握られている。


 「ほい」


 まぁレーザーで一発だよね。


 「戦闘経験は確かにあるようだな。たとえ大人でも、経験のない者は、魔物が向かってくるだけで怖気づく事もある。今度は少しタイプが変わるぞ。『召喚・ゴブリン』」

 「ん?……複数か」


 今度の敵は複数だ。

 まぁ、対複数は慣れたもので……


 「はい」


 全部のゴブリンの頭を同時にレーザーで撃ち抜いてやった。


 「ッ!?同時か……狙いも正確だな、これは驚いた」

 「ちょっと単調過ぎない?それとも、この程度しか召喚出来ないのかな?審査員が新人より弱いなんてなぁ?」

 「ッ!!」


 またちょっと煽る。


 「……普段なら、かるく注意する程度だが、気が変わった。お前の思惑に乗ってやる。ただし、死んでも責任はとらんぞ。『召喚・……


 さてさて、今度は何が来るのかな?

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