自分の作品について(笑)
一応仕事としては編集者をやっていて、本を作っている立場として、「自分の作品について後からどうだこうだと説明するのは、一定の人気を得て研究されるような立場になってからでいいんじゃないか」と思ったりもします。でも、やっぱり読んでくれる人に言い訳や自己主張をしたくなるタイプの書き手というのは確実に存在して、私はそちら側の人間のようです。こういう仕事に就いてちょっとは成長できたかと思ったのですが、そうでもないようで…。
とりあえず書きたいものが枯渇したので、一旦言い訳をすることにしました。
作品をアップした順ではなく、私個人が執筆した順番で勝手に好きなことを書きます。
<構想三十年作品群>
「惑星の時計・序 ~赤ずきん・嵐の1年間~」
「惑星の時計 ~狼に食われた赤ずきんの物語~」
「恋する王子と恋せぬウサギ」
「初恋の仕方を教えて」
本当は「惑星の時計」は一作だったので、一作扱いで書きます。
これは中高生の時に深夜ラジオを聴きながら好き放題に書いていた三作を、大学時代、社会人になってからだいぶ変えました。家で黒電話を取っていたような時代に原型を書いた作品なので、携帯電話があると困る場面などもあり、女の子が携帯電話を持っていない設定が多いです。
わりとリアルというか切実な性的記述が多いのもこの作品群の特徴ですが、当然中高生の時に書いたのは「片想いがかなって両想いになってハッピー☆」というだけの物語です。しかも当時は漫画でした。
その中でも、「惑星の時計」は思いっきり中二病状態で、ありえない夢作品(苦笑)だったため、「このおかしな妄想が実現するのはどういう設定を付け加えるべきか?」と苦悩して今の作品にアレンジしました。「中学生とヤリたい、とかそのくらいひどい話じゃないとこの展開は絶対ありえないだろ(それでもありえないけど)」という観点で書き換えたので、もう原型を留めていません。
とにかく自分の成長と共にこれらのキャラクターたちに「大人になる」部分を書き足していって、こんな大長編になってしまいました。もう三十年こね回したので、書きはじめた頃にモデルにさせていただいた人とは完全に性格や個性が別キャラになっています。辻褄合わせをしたりその後のストーリーにつなげたりするためには、完全オリジナルキャラクターにするしかなかったので。でも「惑星の時計」の原型の純愛物語で、中学生の私が誰をイメージして書いていたか、とかいうのはかなりイタくて可愛くて、思い出すとつい微笑んでしまいます。
登場人物の名前は全部中高生の時に考えたままです(あ、「小岩依里子」だけ「依子・弘子」で見た目が案外かぶるから元の「小岩井依子」から変えてるか)。私のペンネームが斎藤真樹なのと「恋する王子と恋せぬウサギ」のヒロインが斉藤弘子でサイトウかぶりしているのは単に私が「斉藤・斎藤」という名字が好きだからです。
今でもこの三作の主要登場人物は当時の絵で描けます。絵も成長してないから(笑)
そしてこの三作の最大の特徴(?)が、この「小説家になろう!」サイトにアップするためだけに、慌てて作品名をつけたこと。三作とも、あたふたして五分ぐらいでタイトルを決めました。三十年くらい、タイトルがなかった作品なんです。
<大学時代の漫画作品群>
短編「エイプリルフール」
「恋の鏡像――鏡の向こうの真実」
大学の時に漫画で描いた作品の小説化です。そのへんから持ってくればもう何作か書けることにはなるんだけど、正直あんまりおもしろくない作品で小説化する気がしません。この二作は全然自分で読み返さない。(他はけっこう読み返してる、笑)
「恋の鏡像」は元々「景色」というタイトルで、あまりにアイデンティティがなかったので突発的に変えました。でも「景色」のままのほうがカンチガイしてなさそうでよかったかな…
<ここ数年で書いた作品群>
「美化委員」
「セカンド・ボーイ」
「いい男とは何か。」
「社会人になろう!」
大人になってから書いているので、恋愛ものでも視点がちょっとシビアになりました。あと、社会に対して自分が持っている意見が反映されるようになっています。「美化委員」はかなり前に書いた作品なのでそういうのも薄いですが。
実は「いい男とは何か。」で最後にもらうメッセージはすごく気に入っています。でも、長~い本編を読まないとこの感じは伝わらなくて、本編がちょっとばかり読むのが大変なのは自覚しています、スミマセン。
<この作品をアップしたかった!>
「作家になりたい人が多すぎる」
この作品が自分でも出来が良く、また、多くのアマチュア作家さんにぜひとも参考にしてもらいたくて、それでネットの小説サイトにアップすることにしました。他の作品は「せっかくだから、あわよくば読んでもらおう」という感じでアップしただけで、ほんとは自分でこそこそ読んで満足するくらいの扱いでした。特に恋愛ものは…(笑)
結果から言ってやっぱりこの作品が自分比で圧倒的な支持を得られて大満足です。
まあ、いちおう出版業界にいる者の一つの見解ということで、作家になりたい人は、本作を横目で見て気にするくらいはしてもいいんじゃないかしら…と思っています。結果として唯一の自信作です。ぜひご一読を。
<最新の書き下ろし>
「女の敵は女」
この作品だけ、「小説家になろう!」のサイトにアップすることまで意識して書きはじめました。他は発表することをリアルに意識できていない状態で完成しています。
例によって愚にもつかない恋愛物語ですが、オチをわかってから読み返すと男のほうの様子もいろんな思惑が含まれていて面白いように思う…のは作者の独りよがりか。
以上です。
中高生の頃も、大学生になっても、自分の描いた漫画の枠の外に自意識過剰なセルフツッコミを書いたり、こっぱずかしい「フリートーク」を書いたりしていました。あれから二十年、この「小説家になろう!」サイトでは余計なコメントなしで作品を発表できて、「ああ、私も大人になったなあ」と思ったのですが、このエッセイをアップしちゃったから元の木阿弥ですね。人ってそんなに変われないんだな。