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未来より
歩く仕草に桃色の髪飾りが揺れる。
まだまだ着け慣れない髪留めだが、そこに込められた思いに思わず頬が持ち上がる。
これは彼との思い出。彼と駆け巡った記憶。
これから果たすのはあたしの二度目の再会と、彼の初めて邂逅。
邂逅をしなければ再会はしない。けれどやはりこれは彼にとっての邂逅で、あたしにとっての再会だ。
矛盾と言う言葉がよく似合う。
けれどそこに時間的矛盾は存在しない。
だってこれは既に決められた過去で、あたしにとっては未知の未来だからだ。
全ての過去は未来に帰結する。
だからこそ、過去は過去であって未来であってはならない。
その経験したことがない過去に、あたしの未来として今足を踏み入れる。
この過去は、あたしの未来。あたしの過去に繋がる彼の未来。
言葉にすれば違和感を感じることこの上ない矛盾の塊。
けれどあたしは知っている。この過去はあたしの未来に確実に繋がっているのだと。
彼の未来が、あたしの過去に存在するのだと。