第八話 必死の逃避行
(見つかったっ...!)
周囲の安全を確認する暇もなく路地から飛び出す。
既に連続して全力ダッシュを続けている身体に鞭を打って加速する。
10mくらい走った頃にチラリと視線を後方に移す。
(何とか気付かれないで逃げ出せたか...。...けどこのまま逃げてちゃ埒があかない..。どこか安全な場所は...。)
記憶の海から周辺の地図の様子を思い出す。
(今いるのが路地のいりくんでる中華街...。隕石が落ちたのが西の方角だから逃げるなら海の方...。海岸沿い..。、海自の基地、赤レンガ倉庫、税関.......警察署。)
全力疾走のせいで大きな音を立てているせいか遠くの方にNが集まって来ている姿がみえる。
(海自の基地まで行ければ良いんだけど確実に脚がもたない。警察署が一番良さそうかな...。)
結論に至り、最短であろうコースを考える。
中華街を出て海沿いに位置する山下公園の方へ向けて方向転換する。
(ここからなら走り続ければ10分くらいで着くかな...?)
全力疾走を続けてはいるが、度重なる緊張と恐怖。身体的にも精神的にも疲労が身体を襲い、だんだんとペースが落ちていく。
(ヤバい...。脚が重たくなってきた...。このままだと警察署に着く前にNに追い付かれる...。)
必死に腕を振り脚を前へ前へと押し出す。
何とか後500mという所まで来ることができた。
しかし、この時、後方50mほどまでNが既に差し迫っていた。