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第四話 降り注ぐ災厄
第四話 降り注ぐ災厄
黒い粉塵を吸い込んで動かなくなる。
この二つの事柄から導き出される結論は周囲に衝撃と恐怖を与えるのに充分過ぎた。
「あの黒い粉塵を吸ったら死ぬ」
周囲の人々は皆、黒い粉塵から死に物狂いで逃げていく。四方八方に。
周囲の人々を追いかけるように走り始めるる。
死にかねない状況なのに、頭は風向きを読むくらいには冷静だった。
数秒間目を瞑り、風上がどちらかを見切った後、走り始めた。
数人風下に走って行ったようで、粉塵に飲まれ倒れ込む姿が微かにに見えた。
他の数人の姿を何かが遮る。
その何かには見覚えがあった。しかもさっきまで見ていたものだ。
高そうなスーツ、大きなキャリーバック、外国人らしき顔立ち...
死んだはずの男性がそこに立っていた。
数人が男性のもとに駆け寄る。
その直後だったーーーー
男性の体がムクムクと大きくなっていき...
「パァァァァァン!!!」
と、巨大な炸裂音を残して爆散した。
そして、男性血液が飛び散ったその真ん中に人のような形をしたーーー
しかし、明らかに人ではない巨大な何かが立ち尽くしていた。