第二話 無慈悲な宣告
第二話 無慈悲な宣告
通達があってから横浜の町は悲鳴と騒音に包まれた。
道には乗り捨てられた車や横倒しになった自転車、シェルターに逃げようとする人々で道が塞がれて思うように動けない。
(こんなに人が多いとはぐれる...。)
そう考えたときには既に手遅れであった。
周りを見回して目に写るのは知らない人だけで、皆の姿がどこにも見当たらなかった。
状況が状況だけに早く落ち合わないとまずい。
(スマホで電話を.........駄目だ。回線がパンクしてる...。SNSだと..気がつかないよなぁ...。)
こうして悩んでいる間にも、周囲の人の流れによってシェルターに入ってしまう。しかもよく見たら充電がほとんど無くなっている。
(仕方ない。一か八かSNSに賭けるか...。)
手馴れた手つきでスマホを操作し、皆にメッセージを送る。
「送信完了」の文字を見た直後、スマホの充電がお亡くなりになった。
ギリギリでメッセージが送れたことに安心感をを抱いたまま、人の流れに乗ってシェルターへと避難する。
シェルターには避難した人たちが多いせいか座れそうなスペースさえ見当たらない。だが結構広く、100m×100mはあるのではないか?造りもとても頑丈そうで最悪の事態は回避できそうだ。
ちょっとしたことに安堵していた時、シェルターの壁面に設置された巨大モニターから、隕石についてのニュースが流れる。
『今、落下してきている隕石は小規模といっても半径500mほどのクレーターを作るほどのものです。この隕石は-』
さらりとアナウンサーが話した事実に周囲の人々が騒ぎ始める。
(うるさいなぁ。ニュースが聞こえない...。)
こういう非常事態にものをいうのが情報である。
だけどまぁ驚くのは当たり前だと思う。実はビビってるし。
モニターの画面が変わり、隕石の落下予想地点や予想時刻が示されている。
モニターに示されたデータを見た時、シェルター内に衝撃が走った。
『約15秒後、第28番シェルター付近に落下。』
モニターの数字が14...13...12...とカウントダウンを始める。
そして追い討ちをかけるのは視界に入った、『ここは第28番シェルター』の文字列。
混乱を引き起こすのはそれだけで充分だった。
5...4...3...2...