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偽勇者は世界を統一したいのです!  作者: 冥界
第五十五章 『雪花が彩る正義の形』
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第八百三十三話 『第一フェーズ、開始』

「うおおおおおおお! 美味そうな食い物が沢山あるぞ! どの屋台から攻めごっはぁ!」



 屋台に向かって駆け出そうとしたラックの背に、ラサーシャが投げた槍の柄の部分がぶち込まれた。



「最近、君が加速し切る前に当てるコツを掴んできましたよ」



「うむうむ、安全性を考慮しての加減に躊躇の無さ……百点満点の動きよなぁ」



「なにすんだラサーシャ! 暴力は良くないんだぞ!」



「大抵の知り合いに飛び掛かる君がそれを言うのですか? というか今私達は警備の仕事中、仕事中なんです……買い食いなど以ての外です、真面目になさい」



「でも勇者のおっさん達も買い食いしてんぞ!!」



「メリハリは大事よな、ラサーシャも少し肩の力を抜くといい」



 そう言ってレフィアンは串焼きを差し出してきた。一瞬躊躇うが、断った方が面倒な流れに誘導されそうなので素直に受け取った。



「もぅ……」



「うんめええええええええええええええ!」



「ふふ、そうだろうそうだろう……ラーナは良い所だからな、飯も美味い」

「心配せずとも事が起こるのはまだ先だろうよ、折角盛り上がるイベントが控えているんだ……我なら台無しにするならそこを狙う」

「今日まで暴れ散らかしてきた奴等だ、潜む時、暴れる時の区別は付けて来るさ……心を落ち着けろ、万象に委ね柔軟に在れ」



「レフィアンいつも以上に落ち着いてるなぁ」



「ところで何故中央広場へ? さっき他に目を配ると……」



「言ったろう、事が起こるのはまだ先だろうと……一度師匠に会っておきたくてな」

「そのついでに屋台を少し回っておきたかったのだ、美味しい物を食べ、楽し気な空気に触れ、ラーナを守ろうって気持ちを強めたかったのだよ」



「レフィアンはここが好きなんだなぁ」



「あぁ、その想いに嘘はない」



(……油断しているわけではないんですね、むしろその逆……絶対に守り抜くという、決意と覚悟……)



 ここに来るまで多くの人と言葉を交わしたが、レフィアンはずっと笑顔だった。たまにメンタル面が不安だが、今のレフィアンはその不安も無い。近くにいるだけで分かる、纏う魔力の高まりと密度は普段の比ではない。色んな意味で、本気なんだ。友の覚悟に触れながら、ラサーシャは貰った串焼きを一口齧った。



「……! 美味しい……」



「……! そうだろうそうだろう! 戦いも任務も大事だが、お前達には良い思い出を作っていって欲し」



「こんの、馬鹿弟子があああああああああああああああああああああああああああああっ!!」



「あああああああああああああああああああああああああっ!!」



 覚悟を決めた頼もしき友人が、盤外から飛び込んで来た男に吹っ飛ばされた。良い笑顔で振り返ったレフィアンは、そのままの表情で彼方に飛ばされてしまう。



「何奴っ!!」



「おーレフィアンって魔法無しでも飛べるんだなぁ、もぐもぐ」



「喰うのを止めろっ!」



「んだテメェら……レフィアンの知り合いかぁ……?」



「友人ですっ!!」



「なにぃ……? 友人だぁ……???」

「不出来な弟子がぁっ!! 今日までご迷惑をおかけしましたぁっ! あんの馬鹿と仲良くしてくれてありがとなっ!!」



「おう! 気にするな!」



「なんで応じてるんですか!? 話の流れについていけてないの私だけですか!?」



「師匠! いきなり蹴り飛ばすのは酷いです!」



「うわ飛んで戻ってきた! 建物の屋根超えて飛んでいったのに普通に戻ってきた!」



「俺の名前はリンクヘッジッ! 『礼儀』を冠する、この国の専属勇者だっ!!」

「以後っ!!! 宜しくっ!!!」



「おう! よろしく!」



「あ、これついていけてないの私だけですね……ツッコミも説明も何もかも足りていない……」



「ならば我の出番だろうな! 師匠は我の師匠だ! 安心しろラサーシャよ、我がちゃんと紹介して……」



「大会に出てから今日までどこほっつき歩いてやがった馬鹿野郎!」



「強烈な一撃っ!!」



 浮遊魔法で隣まで復帰してきたレフィアンだったが、凄く痛そうな拳骨を喰らって墜落していた。すぐ隣にいたラサーシャの耳に重い音がしっかり届いてきた。



「お前はふらふらふらふらと……どうせいつもの厨二ブームで方々に迷惑をおかけしてたんだろう……!」



「ひ、否定はしないが決めつけも良くないぞ我が師よ! そ、それに帰らなかったのは悪かったが頻繁に手紙は送っていた筈っ! 定期連絡も欠かしていないぞ! 流魔水渦に協力している事、友達が出来た事、伝えてない事は何一つないくらい沢山手紙を送ったはずだっ!!」



「あぁ、手紙は沢山来た、一通も欠かさずしっかり読んだ」



「なら我に比はないのではっ!?」



「それでも、それでもなぁ……元気な顔を見れねぇのは寂しいし心配するだろうがっ!!! 俺だけじゃねぇ、テメェは王様や国の皆、勇者仲間……大勢に心配かけたんだ大罪以外のなんだってんだっ!!」



「うぐぅっ!?」



「レフィアンが悪いな」



「しーっ! ただでさえ反論無さそうなのに追い打ちしないでください!」

「どこも君のように行ってこい! みたいにサラッと流される感じでは無いのですよ!」



「あー……ラサーシャのところも姉ちゃん滅茶苦茶怒ってたなぁ」



「今その話辞めてくれませんっ!?」



「す、すまない師匠……配慮が足りていなかった……流魔水渦の力を借りればすぐ戻ってこれたのに……」



「ふざけてるなぁ……テメェは選択を誤った……」



「くっ……どんなお叱りも甘んじて受けよう……でも拳骨はもうやめてほしいかな……」



「まずはっ!! ただいまだろうがっ!!」



「…………ッ!! た、ただいま帰りました……」



「おかえり、元気そうで良かったぜ……」



「し、師匠、ごめんなさいいいいいいいいいいっ!!」



「良い話だなぁ……」



「良い話なんですか、これ……」



 ラックは感動で串焼きを食べる手が止まっている程だが、ラサーシャはなんだか疲れてしまっていた。このやり取りは暫く続いた為、放置スキルが上がったラサーシャはラックより先に串焼きを完食してしまった。なんなら完食してもまだ続いていた為、ラックと一緒にたこ焼きをつまんでいた。



「気を取り直して……紹介しよう我が友よ! この方が我が師であり恩人、リンクヘッジさんだっ!」

「なんかいっつも師匠って呼んでるから名前で呼ぶと照れるな、ははは」



「俺はラックだ! レフィアンの友達だぞ!」



「ラサーシャと申します、人化してますが蛇人種ラミアです」



「む? 正体を晒すのは嫌いではなかったか?」



「友人の師に正体を隠すなんて無礼な事しませんよ、今回は作戦にも参加するんです、手の内を隠して変に疑われるのも嫌なので」



「そうか、そうか……うまく説明出来ないが、嬉しく思うぞ」



「良い友達が出来たんだな、お前の背景と性格を知っていると涙無しには受け止められねぇよ……」

「だが俺は専属勇者、涙は仕事が終わるまで見せるわけにはいかねぇ……お前も仕事で来たなら覚悟決まってんだな?」



「うむ、この身捧げる覚悟で馳せ参じた次第……全てを守り切ってみせよう」

「師匠に向いていないと言われた闇魔法で、我は今こうしてここにいる……師匠も腰を抜かすほど活躍してやろうではないか」



「……良い顔だ、なるほどただぶらついてたわけじゃなさそうだ」

「中央広場には俺が居る、それを踏まえてお前はお前で考えて動け」

「何かあったら俺が何とかする、やるだけやってみせろ」



「ふふ、我が魔眼が全てを見通してくれる!」



「レフィアンの友達も無理だけはするなよ、事が済んだら俺が美味いものでも奢ってやるぜ!」



「聞いたかラサーシャ美味いものだぞっ! 力が漲ってきたああああああああああああっ!」



「そうですね」



 ツッコミ力が枯渇したラサーシャに、対応する元気は無かった。ラサーシャ達はレフィアンの浮遊魔法で浮かび上がると、中央広場を離れ建物の屋根に着地した。



「さて、元気も出たし我等は上から目を凝らすとするか」

「丁度、雪像フェーズも始まる所だ」



 中央広場の一部がせり上がり、大きなステージと化していく。同時に空に幾つもの映像が浮かび上がり、空気が変わっていく。



「うおおおおおおおおおおおおおおおお! なんかなんだなんなんだああああああ!」



「ラベネもビックリの設備ですね、大掛かりな……」



「そのラベネの姫が絡んでいるのだろうな、なんか派手になりまくってて我もビックリしてるぞ……」




『伝説が吹雪を切り裂き花が散る、今尚残る切り傷は、時代を超えて語り語られ舞い踊る』

『雪花舞い散る雪化粧、見なきゃ損だと歌えや踊れ……飾りに飾った雪祭りっ!!』

『今年も来ましたこの時期がっ! 毎年恒例の雪祭り、今年はコラボだぽっと出実況はこの俺っち! 流魔水渦りゅうますいか所属、ウルスネプカでぃすっ!! 天焔闘技大会から引き続きの採用で知ってる人は知ってるかな? 初めましての方は宜しくどうぞぉおおおおおおおおっ!!』

『雪花氷祭り来ましたねぇ……俺っち個人的にもお邪魔した事あって好きなんですよこの祭りがねぇっ! 地元の人にも受け入れてもらえるようめっちゃ気合い入れて実況していきたいと思います! そんな気合いモリモリな俺っちの隣には解説の~……!』



「はい解説のバーガーマンです、王様やってまーす」



『王様来ちゃってるうううううううううううううううううっ!? 物凄いプレッシャーっすけどこれ大丈夫ですか!? わけわかんねぇ魔物が隣でうるせぇ実況しても大丈夫な奴ですか!? 割とこれ聞いてないんですけどっ!?』



「大丈夫じゃよ、わしただのしがないじじい」



『どの辺までオッケーな反応かわっかんなくて超怖いんすけどっ! 俺っち一応流魔水渦っすからバーガーマンさんがどんな人か知って』



「言わぬが仏じゃよ」



『あっ……スッーーー』



「大体フローちゃんだって一国のお姫様なのに隣で実況しとったじゃろう、あんな感じでいけばオールオッケーじゃよ、NG出てももみ消すし」



『国のトップのブラックジョーク怖すぎなんすけどー、今んとこ国で一番危険な場所は俺っちのいるここ、実況席っ! だけどだけど~……そんな危険地帯はすぐに移り変わるっ! 第一フェーズが近づいてるぜ野郎共っ!!』



 ウルスネプカが大袈裟に指差す先には、空中に浮かぶ多数の映像がある。そこには、七つのチームの姿が映っていた。



『知ってる奴もいれば知らない奴もいる、だから解説の俺っちがいるっ! これから始まるナイスでグッドな催し物、それが雪花氷祭りの第一フェーズ……雪像クリエイトッ!!』

『ラーナの外周大通り全域を使って、クソ馬鹿でかい雪像を各チームが作り上げちまうぜっ!』



「今年はどんな雪像が出来るか今からわし楽しみじゃよ」



『今年はバーガーマンさんの許可もあって俺っち達流魔水渦も、つまりは魔物も参加してるっす』

『そして最近話題になってる禁忌の存在、悪魔の技能デモンズスキルより蘇りし大罪の悪魔っ! お話が独り歩きしてそりゃもうおっかない存在として知らない人は居ないレベルの怪物! そんな化け物が今回参加の七チームを率いていますっ! マジで化け物なのか!? どんだけやべぇんだ危険なのか! 実は結構可愛いかも!? そんな全てをこの大会で完全お披露目最後まで目が離せないっ!』

『人も魔物も悪魔も天使もニートも勇者も全員集合! 集いし七チームが生み出す雪像は駄作か傑作か歴史に名を遺すのはたったの一チームだぜええええええっ!!?』



「小難しい事は置いといてわしは楽しみですね」



『細かいルールは大会進行と同時に都度解説していくっすけど、今回は大罪の参加により多少の改変が入ってるっす』

『魔法の使用こそオッケーっすけど、固有技能スキルメントに属する能力の使用は禁止っす、大罪の能力が強すぎるから話し合いの末こういう形になったっす』



「例年以上に魔法系と近接のバランス、チームワークが重要じゃな」

「果たして即興のチームで人と魔物がどれだけ協力していけるのか、これは人と魔物の共存というテーマに置いて重要な話になるのぉ」



『そ、そっすね……その通りっす』

(めっちゃ小難しい事言ってきた……)



 実況席のウルスネプカがたじたじになっているのをラサーシャが不憫に思っていると、ラックが浮かんでいる画面にクロノの姿を見つけた。



「クロノいたぞ!」



「本当ですね……ですが……雪像……?」



「どうしてラサーシャ、疑問があるなら我に聞くがいい」



「吹雪の影響を受けぬよう、国全体は結界に包まれています……第一フェーズ開始と同時に大通りの結界は解除されると聞いていますが……どれだけ吹雪いていてもそんな大きな雪像を作る程雪が積もるのでしょうか……」



 ラサーシャの疑問はもっともだ、なんせ今大通りには少しの雪も無い快適空間である。結界を解除したくらいで、そんな短期間に雪が積もるものだろうか。



「毎年ラサーシャと同じ考えの者が、軽い気持ちで参加するのだ」

「そして毎年必ずそんな奴等は知る事になる、雪という白い悪魔の恐怖を」

「答えようラサーシャ、積もる」



「え……」



『それじゃ結界さん、さようなら~!』



 ウルスネプカの間抜けな声と共に、どうやら大通りの結界が解除されたらしい。次の瞬間、映像全てが白くなった。そして、絶叫が響き渡る。



『うおわあああああああああああああああああああ!』



『前! 前見えな、ぎゃああああああああああ!』



『人が! 人が飛んでった!!』



「…………なんですかあの地獄絵図は」



「そう、吹雪とは災害なのだよ」



『あ、フローちゃんの開発した特殊カメラは雪の中でもバッチリ映るっす、ちょっと待ってくださいね~!』



「毎年恒例の雪を舐めた者の絶叫は堪らんのぉ」



 穏やかに笑う王に恐怖を抱くが、中央広場にもそんなにっこりとした笑顔を浮かべている奴が複数確認出来る。何なら隣のレフィアンも同じ顔をしている。恐らく笑ってる奴等が地元民で、ドン引きしてるのが外から来た人達だろう。



「魔物も飛んでいってるね」



「人も魔物も吹雪には勝てないんだなぁ」



 変な共感まで抱かれている、開始3秒でカオスの高まりを感じる。



『いやぁ毎年毎年結界解除時の混沌たるや凄まじいっすねぇ』



「この強烈な吹雪の中、まともに動けるかどうかが最初のふるいじゃからなぁ」



「人死にが出ますよこんなの……」



「そこはまぁ、警備が目を光らせているから心配するな」

「我等ラーナの勇者は日頃から雪と死闘を繰り広げている、この程度の吹雪そよ風よ」



「あ、映像が綺麗になったぞ!」



 見れば既に人の腰の辺りまで雪が積もっている。大通りから外側にも内側にも雪が漏れないよう、どうも結界が形を変え完全に大通りを隔離しているらしい。そのせいか雪の逃げ場がなく、とんでもないスピードで雪が溜まっていっている。



「早く雪像を作らねば、生き埋めだ」



「私が想像していた雪像作りと違うっ!!」



「安心しろ、このフェーズは極まると生き埋めの心配などない……むしろ逆だ、ほら既に動き出しているぞ」



 レフィアンが指差した画面には、チーム嫉妬が映っていた。



「能力が禁止? 仲間がお荷物? 知った事じゃないね……レヴィは嫉妬するのが好きだけど、嫉妬させるのも好きなんだよ……!」



 逆巻く魔力で風を生み出し、降り注ぐ全ての雪を竜巻でかき集めるレヴィがそこに居た。地面に雪は一切降り立たず、吹き荒れる雪全てが嫉妬の生み出す風で固められている。巨大な雪の塊を生み出したレヴィは、それを一発一発マイラに打ち出し、マイラはそれを積み上げどんどん巨大な雪像を組み上げていく。



「水の追加を」



「あわわわ……!」



 水と氷で接着しているのはアクアだった。ハイペースながらどうにかついていっている。



「皆様はレヴィちゃんの手の届かぬ場所の雪を集めてください、視界はラズライト様が確保します故」



「妖精女王の手を焼かせるとは~! なんて言うけどこういうお祭り初めてで楽しい~! しょうがないから張り切ってやってあげましょう!」



 ラズライトが吹雪を切り裂き、視界確保+目印の明りまで用意している。凄まじい力に加えチームワークも完璧、物凄い勢いで雪が積み上がっていく。



「うおおおおおおお! なんかスゲェぞあの嬢ちゃん!」



「雪を集めろ! メイドさんの元へ!」



『おおっとスタートダッシュを決めてんのは嫉妬チームだぁ! その名の通り他チームの嫉妬を独り占めかぁっ!?』



「中々見ないレベルのスタートダッシュじゃよあれは、このフェーズは突き詰めると雪が降るのなんか待ってられんからな」

「どれだけ魔法で吹き荒れる雪を絡め取れるかが、鍵なわけじゃよ」



「一般人お断りじゃないですか……」



「あれ他のチームの雪像ぶっ壊しちゃだめなのか?」



「君結構さっぱりしてるのにたまにとんでもない事言いますよね」



「妨害は禁止ではない、だがまずあの吹雪の中自陣を放置し他チームの元へ向かうのがリスクでもある」

「視界も悪ければ自陣も手薄になるからな、だが相手の陣地の雪を奪う事も出来るから無しではない……どちらにしてもチームワークが必要になるな」



「雪像作りってそんな戦争みたいな感じでしたっけ?」



「我も各チームがどのように動くのか、実際ワクワクだ……毎年の楽しみだからな」



(魔物とか関係なく危険性の方が気になる……)



 ラサーシャの不安はさておき、やはり嫉妬チームの動きが早い。恐らく開始前から動きの話し合いは済んでいたのだろう。順調に積み上がった雪は早くも形を成しており、その大きさも大通り周辺の建物の屋根を越し始めていた。



「でかいっ!?」



「建物を超えるくらいは簡単に毎年やるぞ、むしろあれがラインだ」



「ふふふ、みんなレヴィに嫉妬するといいよ……」



「フレー、フレー、レヴィちゃん! 頑張れ頑張れレヴィちゃん♪」



 魔力を荒れ狂わせるレヴィの背後、チアリーダーのようなコスプレをしたベルがキャピキャピと応援していた。当然だがレヴィのイラつきは加速する。



「役立たずアピールとちゃん付けやめて」



「応援パワーを舐めちゃいけないぜレヴィちゃん、最後の踏ん張りに応援ってのは『効く』のさ」



「少なくてもレヴィには効かないから死んで」



「まぁそうピリピリしないでって、この調子でいけばレヴィちゃんの圧勝さ!」



「レヴィの仲間を舐めないで、みんなレヴィが嫉妬するくらいのお馬鹿なんだから」

「きっと何かしてくる、油断大敵なんだよ」



「あーわかるわかる……仲間がお馬鹿だと頭抱えるよねぇ……このラブリーエンジェルも仲間問題で頭を抱えた事が何度も、いやむしろ現在進行形で抱える事もあるわけでー」

「でも今は、自由! 解放されたラブリーエンジェルは愛嬌とぷりちーさを振りまくエンジェル本来の役目を遺憾なく発揮し」



 次の瞬間、嫉妬チームの組み上げていた雪像に何かが着弾し、大爆発を引き起こす。雪像が粉々になり、嫉妬チームの誰もが絶句する中、ベルとレヴィだけが空を見上げた。吹雪の先、天空から数百発のミサイルが煌めき、嫉妬チームを、いや……ベルを狙って降り注ぐ。撃ったのはそう、当然だが……。





「たとえ吹雪が視界を奪おうと、世界の裏側に隠れようと……決して外しません…………」

「ベルさん、手加減はしませんよ」





「ピットちゃんの馬鹿タレえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええッ!!!!!!!!」





 降り注ぐ爆撃の雨により、嫉妬チームの陣営が消し炭になる。雪像は粉々になり、爆炎と雪が画面を埋め尽くす地獄がそこにあった。ちなみに開始からまだ3分も経ってない。



『えっと……あー……』



「嫉妬チーム崩壊かっ!? 仕掛けたのは怠惰っ! 怠惰チーム全然怠惰していないっ!!」



『実況取られたぁっ!!』



「なんなんですかこのお祭りっ!」



「くっくっく……盛り上がってきたな!」



 勝つのはどのチームなのか、そして神聖討魔隊サンクチュアリナイトは何処に潜んでいるのか。混沌は加速し、もはや誰にも止められない。



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