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神ナリシ模倣者ト神門審判  作者: 高木カズマ
最終章 承/弐 人世ノ業、詠イ奏デルハ『厄災遊戯』――醜ク愚カナ『人間』ノ物語ヲ貴方ニ
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第四十三話 一月二日 記録Ⅲ――北風と太陽

 天界の箱庭(ヘヴンズガーデン)が誇る治安維持組織『神狩り』には公にあまり語られる事のない特殊部隊がいくつか存在する。

 『絶氷』こと氷道真が部隊長を務めていた特務執行部隊『氷狼』もそういった特殊部隊の一つだった。


 仕事内容は実に単純。表の部隊では対処不能な凶悪な暴走神の能力者(ゴッドスキラー)、もしくは実験都市の秩序を揺るがしかねない危険分子の排除。

 要するにそれは、人々を害すると定められた『悪』の処刑であり、法に裁かれぬ異合法の殺人。


 『正しさ』を追い求め、『正しさ』だけでは取りこぼしてしまうモノまで余さずその掌で掬い取ろうとした先に男が辿り着いた結論は、皮肉なことに人道を大きく外れた必要悪だった――そんなありふれた、どこにでもあるくだらない末路はなし


 己の必要性を理解しながらも、己の現状を決して是と出来なかった男の心境は、彼が時折見せた命令違反にこそ集約されているのだろう。

 常の命令に忠実な仕事人の顔から一転、ご丁寧にわざわざ一人称を変えて振りかざされる独断専行は、しかし神の子供達(ゴッドチルドレン)という圧倒的な力を誇るが故に上層部から黙認されていた。


 そんな中で幾人か、救われぬはずだった命を救ったという自負がある。

 守ることが出来た笑顔こそが彼の誇りであり、正義でもあったのだ。


 ――枕元の写真立て。そこに飾られた写真に写る無愛想な自分と、十数名からなる笑顔の子供達。

 とある過激な研究施設との繋がりのあった悪徳孤児院を潰した際、『正しさ』だけでは取り零してしまいそうだった彼らを氷道真は独断で引き取り育てた事があった。

 己の行いが如何に正しかったとしても、彼らの居場所を奪った事は変わらない。彼らが涙を流した事実は揺るがない。ならば――その一因を作った自分で出来る範囲の償いはするべきだろう、と。


 そんな彼にしか分からない理屈で孤児達を引き取った氷道真だったが、人生初の子育ては苦難の連続だった。


 孤児院を潰した氷道に対して、子供達は敵意と警戒心を剥き出しに拒絶。最初の一週間は、会話も儘ならない状態で幕を閉じた。

 しかしそれも当然だろう。事情を知らない子供達にとって、氷道真は日常を侵した侵略者でしかなく、大切な居場所と親代わりの職員たちを奪った憎き仇のような存在ですらあったのだから。

 

 スタートは最悪。そもそも無愛想で口数少なく対人関係が器用とは言い難い氷道真に、遥か年下の子供達とうまくコミュニケーションを取れというのが無茶な話だった。子供だって、特別好きという訳でもない。

 絶大な力を誇る神の子供達(ゴッドチルドレン)氷道真にとって、彼らとのコミュニケーションや慣れない家事育児は戦場以上に過酷で、凶悪犯以上に精神を削る苦行であった。 

 

 最初の一週間は碌に会話も出来なかった。


 次の一週間は目を合わせて貰えなかった。


 次の一週間からは――戦争だった。

  

 掃除をする傍から部屋を汚すエニカと亮太。

 洗濯の邪魔をしてくる大智と心。

 勉強の最中に騒ぎ出すエドワードと戒也にエリ。

 氷道の言葉に一切耳を貸さず、反発し続けた流唯。

 ……子供達が珍しく何もせずに固唾を飲んで見守る中、どう足掻いても失敗する大不評の料理たち。


 敵意を隠そうともしない子供達のイタズラ――というよりも団結した孤児たちによる氷道真てきを退治する為の嫌がらせ行為――に翻弄され、エプロン姿で家中や庭を駆け回りわんぱく坊主どもを追い回す氷道の姿は、何故か近所の奥様方からは好評で、晩ご飯のおかずをお裾分けして貰う事も多々あったりしたが……ともかく、子供達との戦争は熾烈を極めた。

 

 それでも氷道真は、一度も子供達から逃げようとしなかった。

 下手な言い訳もせず、正面から向き合って、不器用ながらも彼らに愛情を注ごうと必死だった。


 そんなどこか人間臭い男のカッコ悪くもひたむきで真摯な背中が、子供達に受け入れられるまで、そう時間は掛からなかった。

 ……尤も、当時の氷道真本人は、自分が何故彼らに受け入れられたのか、心当たりがまったくなかったのだが。


 男は子供たちに愛を与え、愛される喜びを教えた。

 男は子供たちに勉強を教え、正しきを成すことを説いた。

 男は子供たちに自由を与え、決まり事と約束と責任について学ばせた。

 嫌いだったはずの男の背を、いつの間にか沢山の子供達が追うようになっていた。


 どんなに言い訳を重ねた所で、『正しさ』を振りかざして彼らから『居場所』と『家族』を奪ってしまった事実は変わらない。

 だから、奪ってしまった分たくさんのモノを彼らには与えなければ、そう思ったのに――気づけば自分の方が多くのものを子供達に貰ってしまっていた。

 それこそ、一生かかっても返しきれない程に、沢山の大切なモノを。


 血の繋がりなど関係なくとも心の底から大切な家族であると胸を張れる彼らの存在こそが、彼が守り切った誇りの一つだった。


 ……愛おしい日々だ。至高の記憶だ。最愛にして最高の思い出(かこ)。輝かしい昔日の日常、そこで得た全てが氷道真の大切な宝物だったから。

 

 そんな氷道真の元に、ある時決して無視できない情報が舞い込んでくる。

 ――曰く、かつて彼が孤児院から助け出した子供達のうち数名が、とある過激な研究施設に実験体として搬送された可能性がある、と。

 それが、全ての始まりだった。



 ――子供達が実験体として攫われた。

 

 普通に考えれば有り得ない話だ。

 彼らが氷道のもとを離れてから既に七年以上の月日が流れている。

 氷道は、引き取った孤児たちが中学生になるまでは最低限自分の元で面倒を見る事を決めていた。

 仮に引取先が見つかった場合でも、徹底して名乗りをあげた人物や施設を調べ上げ、きちんとした施設、人物である事を確認してから送り出すようにしている。そのうえ半年に一回――子供によっては向こうから勝手に連絡がくるのでそれ以上――のペースで子供達と連絡を取っており、彼らが新しい家族に馴染み健やかに成長していることを確認している。

 それが何故、このタイミングでこんな事に……?


 くだらないデマだと一蹴に付すことは簡単だった。だが、少し気になって調べてみると、確かに子供達を引き取ったいくつかの人物や施設と連絡が取れない事が判明する。勿論、子供達自身とも連絡がつかない。


 ……なにか、とてつもなく嫌な予感がした。

 眠っている内に小さな火種から引火して、家中に炎が燃え広がっていくのを指を咥えて見ているしかないような焦燥感。

 何かに突き動かされるように情報を精査していった結果、確かに大切な子供達の幾人かが、とある地下研究施設に集められている事が分かったのだ。

 

 特務処刑部隊『氷狼』の部隊長を務める氷道真には、ある程度組織に関する自由な裁量が認められている。

 氷道は子供達の救出作戦の実行許可を申請、作戦実行が認可されると、部下達を率いてすぐさま行動を開始した。


 そして、目的の地下研究施設への入り口がある路地のすぐ近くで――




「――キヒャッ! ヒャハハハハハハハハハハッ!! 俺チャンってばラッキーラッキー超ラッキーチャンじゃんよぉ! こんな所で神の子供達(ゴッドチルドレン)に会えるなんて、超掘り出し物チャンじゃんか……!」




 大切な子供達を保護すべく敵地へと乗り込んだ氷道を待っていたのは、氷道真という必要悪など可愛らしく思えるような悪辣だった。


「……、」


 その男は、氷道真をして生理的嫌悪を抱く類の人間だった。

 何度も脱色を繰り返したのだろう、猫背に丸めた華奢な背中に掛かるほど長く伸びたくすんだ金髪。見るからに不健康げな深い隈の浮かぶ目つきの悪い一重まぶたに、口元に浮かぶのは人を食ったような嘲笑。

 首からは多量のチェーンやネックレスが垂れ下がり、じゃらじゃらと不快な音を奏でているが、もっとも耳につくのは不協和音の如き人の神経を逆なでする男の声そのものだ。

 鼻につくほどの悪性を周囲に発散しながらも、その容姿や立ち振る舞いは夜の繫華街に出没するチンピラめいた小物にしか見えなかった。


「――貴殿、何者だ。そこで一体何をしている?」

「ヒハは、なかなか面白い事言うじゃんよぉ。何者も何も、どっからどう見ても人畜無害な一般人チャンっしょ? つーか、実を言うと道に迷って困ってた的な!? いやー、『神狩り』特務執行部隊のエースチャンに見つけて貰えるなんて俺チャンやっぱ超ラッキーじゃん!」


 氷道の問いに、男はヘラヘラと軽薄に笑う。

 その仕草が、声色が、表情が、態度が、眼前の男の全てが神経毒のように対峙する氷道の精神を削り取り底なし沼へと引きずり込もうとするような、今まで経験したことのないような粘度じみた威圧感がある。

 己を人畜無害であると称しながらその悪意を隠そうともしない男に、氷道は警戒を新たに腰に差した刀の柄に右手をかけながら一歩深く踏み込んでいく。


「……質問を変えよう。小生を待ち伏せていた理由は何だ? 貴殿をただの一般人と認識するには些か無理がある。小生の所属する特務執行部隊『氷狼』は公に公表されることのない部隊。そもそも表向きには都市伝説である神の子供達(ゴッドチルドレン)を、ただの一般人が認知している訳がない」

「……キヒ、ヘハハッ、きヒャッハハハハハッハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」

 

 氷道の指摘に対し、くすんだ金髪頭の返答は腹を抱えての爆笑だった。

 

「随分と悠長な事言ってるじゃんか、『絶氷』氷道真チャンよぉ。待ち伏せ? 俺チャンの正体? 違うっしょ、気に掛けるべき所が。ピンボケどころの話じゃねえっつってんだよバァアアアアアアアアアアアカッッ!」


 あらん限りの侮蔑と嘲笑、そして悪意を込めた品性の欠片も感じさせない異様な不協和音の暴力に、地力では圧倒的優位に立っているはずの氷道が一瞬、ほんの一瞬ではあるが確かに気圧される。

 まるで神経毒による麻痺を受けたようなその刹那、氷道真の心が揺れ動いたその一瞬の間隙を、その絶対無比のタイミングを金髪の男は逃がさない。

 まるで蛇のように捉えどころのない挙動でその懐に滑り込むと、氷道の瞳を下から覗き込むように顔を近づけて、

 

「――なあ、逆に聞くけどさァ、氷道チャンは此処に何しに来たのよ?」


 目と目が合う。

 まるで心の奥底まで(・・・・・・・・・)覗き込まれているか(・・・・・・・・・)のような不快感が込(・・・・・・・・・)み上げてくる(・・・・・・)

 不快――それ以上に不穏で不吉。背筋に走る悪寒に、今すぐにこの気味の悪い瞳から視線を切らねばなるまいと思う。それなのに、どうしても隈の浮かぶ目つきの悪いその三白眼から目を逸らす事が出来ない。

 それこそまるで、蛇に睨まれた蛙のように――


 知らぬ間に脂汗を浮かべる氷道に、金髪の男はニカっと歯を剥き出しにして、


「――大事なお子チャンら、お助けチャンに来たんじゃなかったっけ?」


 それは、氷道の中にあった疑念を確信へと昇華させるに足る致命的な言葉であった。


 瞬時の判断から抜刀まで、ゼロコンマ一秒のタイムラグもない。

 身体の硬直? そんなものは既に解けている。

 迂闊であり、不覚ではあったが――眼前のソレは最強の一角を担う氷道真が遅れを取るような相手ではない。


 流れるような流麗な抜刀に、しゃらんと涼しげな音色が冷気を伴って辺り一面に響き渡る。

 『絶氷』の異名を誇る氷道真の凍てつく時の零(セロ・シェンブレエ)により精製される半透明の氷の刃が放つ身の引き締まるような白銀の煌きが、薄暗い路地特有のじめっとした不快感諸共に鎧袖一触に眼前の男を薙ぎ払わんとする。

 

 その一閃は、剣術にあらず。


 熱源にて対象を補足し、標的に触れることなく空間ごと凍てつかせる氷道真の抜刀術は、あくまでも対象を補足する為の命中補正ガイドラインのようなものだ。また、相手に刃の間合いが限界であるとその射程を見誤せる効力もある。

 故に、『絶氷』を前にして回避も防御も意味をなさない。


 ……まず第一に標的を無力化のち拘束、詳しい話はその後じっくりと聞かせて貰うとしよう。

 内に秘めた憤怒を絶対零度の冷気へと変換しつつ、氷道真は眼前の下手人の手足をまず封じようと世界に干渉。

 刀の間合いを無視して迸る絶対零度の一撃は、男の両手両足を凍てつかせ、完全に金髪の男を無力化するハズだった。


「――な、に」


 不可解な現象が起こった。


 氷道真の一撃を受け、凍てついたのは空間だけ。

 虚空より生じた四つの氷塊は、何者をも捉える事ができず、あの至近距離で斬撃を回避してみせた金髪の男は、本命の凍結からさえも逃げおおせてみせたのだ。


 なんだ、これは。

 有り得ない。

 確かに、目の前の男の体温を氷道真は完全に補足している。完全に補足されている以上、発動タイミングすら分からない氷道真の凍結攻撃を回避するには限りなく速い人外めいた速度で常に動き続けなければならないだろう。

 だというのに、こんな人間の枠内に収まる程度の動きで、氷道真の必殺を回避するなどあり得ない。


「キヒャハはははッ!! おいおい、下手くそだなァ、狙いチャンが雑なんじゃねーの氷道チャンよォ! つーか、本当にいいじゃんかよ、そんな手際の悪さじゃあ救えるモンも救えなくなっちまんじゃね!?」


 バッと金髪が横合いに飛びずさった事で、男の身体がブラインドとなって見えなかったモノが氷道真の視界に飛び込んで来て――


「――き、さま……」


 そこにあったのは。


 毒々しい赤に変色しながらも、どこか見覚えのある布の切れ端が所々に張り付いた、まだ瑞々しい大きな肉の塊が複数ぬいぐるみでも並べるかのようにリボンを巻いて鎮座していて。

 

「……あれ、分かる? 分かった? 分かっちゃった!? もしかしてだけど氷道チャンってばもう気づいちゃった系なカンジ!? キハ! グヒっ! グギヒャハハッハハハッハハハッハハハハハハハハハハハッッ!!! ひゃーハハハッハハハハハハッハ!!! なんだ、なんだよ、つっまんねーヤツだなァ、オイ! お願いだから空気読んでくれよ空気チャンをよォ、折角鈍感そうな朴念仁面してるんだからそこはもっとこう……最初は俺チャンが何を言ってるのかもお肉の正体も分からなくて、次第に嫌な予感ばかりが膨らんでいってさァ、肉を盾にした俺チャンごと刃でバッサリ行って、その時はじめてお肉チャンの正体チャンに気付くってくらいの塩梅チャンが一番盛り上がるっしょ!? ったく、頼むぜ氷道チャン~、確かに俺チャンの振りもちっとばっかし雑だったとは思うけど――



 ――五月蠅い。



 蠅よりも耳障りな声を停止させるべく、神速を越える踏み込みと共に撃ち出された一突きが、金髪の男の胸を穿っていた。


「うぐォ、げぇ。おぼ……っ!?」


 漏れるのは嗚咽のみ。心臓を一刺しにされた男の口から、鮮血は流れない。


「凍てつき果てろ、悪魔が……ッ!」


 ゴッッ!! 氷道の赫怒と共に荒れ狂った瞋恚の冷気が男の胸を貫いた刃より迸り、ガラスに走る罅割れめいた音と共に周囲一帯を薄氷の膜で覆い、一瞬で氷の大地へと変貌させていた。


 氷道真が握る刃は飾りではない。

 範囲氷結を回避されるというのであれば、命さえも凍てつかせるこの氷の刃で直接その心臓を貫けばいいだけの事。

 命を内側より凍てつかせる氷の刺突は、じわりじわりと自らが停止に突き進む恐怖を味あわせながらその生命活動を終わらせる無慈悲な必殺である。 

 例え、排除せねばならぬ『悪』だとしても速やかに対象の命を刈り取る事を心掛ける氷道が、出来る限り長く苦しめようと思う程の怒りが、悔恨が、憎悪が、その一刀には籠められていた。


「――はぁ―っ、はぁーっ、はぁー……っ!」


 無辜の命を。氷道真の誇りを奪った悪辣に、許されざるその大罪に、自らの手で引導を渡した氷道真は、胸中で暴れ狂う感情に荒い呼気を零しながら、刃を突き立てた男の死にゆく顔を至近から注視して、


「――は……ぁ?」


 気の抜けるような、いっそ間抜けと表現すべき音をその口から漏らしていた。


 ……あり得ない。

 それだけは、絶対にあり得てはいけない声が次の瞬間には世界を震わせ、氷道の耳朶を必殺の一撃の如き威力で穿っていく。


「あーあー、何やってんのさ氷道チャンよぉ。俺チャンってばちゃんと忠告してあげたっしょ? そんな雑な狙いでいいのかって。どーすんのよ、コレ。カッコいいお義父チャンの大活躍を今か今かと楽しみにしてた皆もこれにはガッカリって感じっしょ? ほら見てみろってこの青ざめた顔ー、あーあー、可哀想に。涙まで溜めちゃってテンションガタ落ちの激萎えってカンジじゃんよォ」


 殺したはずの男が生きていて、横合いから耳元で不快な言葉を囁いている。


 そして、見るも無残な肉の塊と化してしまったはずの子供達が、リボン風の猿ぐつわを噛まされ、五体満足のまま両手両足を封じられた状態で仲良く並べられていた。


 ならば。


 今、自分が刃を突き立て命を奪っている相手は、一体どこの誰なのだ?


「氷道チャン、学校で先生チャンに習わなかったじゃんよぉ? 刃物を人に向けちゃいけませんって。子供を守ってやるべきお義父さんがこれは酷いっしょ、なあ、大事なお子チャンお一人死んじゃったじゃん。氷道チャンがぶっ殺したからさァ! ギヒャハハ!! なあ、今どんな気持ちか教えてくれよ氷道チャンよォ! 流石の俺チャンも息子ってのはぶっ殺した事がなくってさ、今後の将来設計の参考にさせて欲しいっつーか!? カヒャッ! ギャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハーーーーッッッ!!!」


 実に簡単な話だった。


 氷道真は既にくすんだ金髪の男――クライム=ロットハートの『心傷与奪ラピナーレ・クオレゼロ』の術中に嵌っていて、彼がクライム=ロットハートだと思って刺殺した人物こそが、彼がクライム=ロットハートの魔の手から救出しようとしていた愛する子供達の一人であったというだけの事で――


「――馬鹿、な。小生は……わたし、は……」

義父とう、さん……どう、し……て――」

「――あ、あああああ……ッ、う、ぅうおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!」


 絶望と不理解を浮かべ事切れていく愛し子の言葉に、氷道真は絶叫し――



「はい。堕ちたっしょ」


 ぱちん。

 ――愉悦に指を鳴らすクライム=ロットハートの操る幻に翻弄され洗脳されるがるままに、自らの手で救い出すべき子供達を殺して尽くしていた。


 操られるがままに愛する子供を殺しながら吠え猛る男の慟哭。


 信じ愛した人に心も体も蹂躙され、命を奪われる子供達の阿鼻叫喚。

 

 そして、そんな凄惨な生き地獄を作り出して、心底愉快そうに傍観する悪辣なる男の嘲笑。


 クライム=ロットハートは、飛び交う血飛沫を散華する命と断末魔をイルカのショーでも見るかのように眺めながら、謡うように告げる。哀しき男の敗因と、英雄など存在しえないこの世の真理というものを。


「『創世会』は氷道チャンの独断専行を好ましく思っていなかった。俺チャンは切り札として使える玩具が欲しかった。要するに利害の一致ってヤツ? ま、氷道チャンもついてなかったっしょ。神の子供達(ゴッドチルドレン)チャンは確かに化け物揃いだが――別に、ただ強けりゃあ勝つってモンじゃないっしょ、この腐った世界チャンってヤツはさァ……!」



 ――これが、今からおよそ三年前の出来事だ。

 氷道真がその自我を完全に奪われる前の忌まわしき最後の記憶にして、終わりの始まり。


 そして、三大都市対抗戦の終盤に対峙した黒騎士ナイトメアの『影幻』という技によって叩き込まれ、クライム=ロットハートの洗脳を脱する切っ掛けとなった映像きおくでもある。

 


 氷道真にとっての真の地獄にして、最悪の絶望がこの悪夢きおくだった。

 自らの手で自らの守りたかった『正義』を、誇りたかった『正しさ』を、大切な子供達を自らの手で殺してしまった事。

 

 そして――


『――……アナタに、会いっ、……たかった。ひさし、ぶりですね。……氷道、先生。――いえ、義父とうさん……っ』



 こんな自分を最後まで見捨てず救おうとしてくれた、海音寺流唯むすこさえも最後に殺してしまった事。



 それこそが人生最大の地獄にして、悔やんでも悔みきれない後悔で絶望だったから。


 故に、どれほど凄惨で悪趣味な地獄を前にしても、氷道真は動じなどしない。


 地獄であればとうに見た。

 この心は既に凍てつき、涙などもう流れない。


 大切な記憶モノは過去に置き去った。

 だからこそ、今この瞬間に恐れるものなど何も無い。

 

 故にこの身は、成すべきことを成して唯一無二の勝利を掴む冷たい機械と化せばいい。


 そう、思っていた。

 ……思っていたのだ。




















 突如として目の前に現れた、穏やかな表情を浮かべて佇む最愛の息子の健やかな姿をこの目にするまでは、



☆ ☆ ☆ ☆



 北風と太陽の話を知っているだろうか。




 イソップ童話の一つで、あらすじをざっくり説明してしまうと、北風と太陽のどちらが旅人の上着を脱がせることが出来るか勝負をする、という物語だ。

 作中で、北風は力いっぱい冷たい風を吹き付けて上着を吹き飛ばそうとする。しかし寒さを嫌った旅人はうわぎをしっかり抑えてしまい、上着を脱がす事に失敗してしまう。

 対する太陽は燦燦と輝く日差しによって旅人の身体を温めてやり、暑さによって旅人自ら上着を脱ぎ捨てるよう誘導して、北風との勝負を制する。


 北風のように攻撃的な相手に対して警戒を抱き、自身を守ろうとするのは当然の防衛反応だ。無理強いをしてもまず間違いなく拒絶される。

 その逆に、太陽のように優しく穏やかに接してくる相手に対して、つい警戒を緩めてしまうこともあるだろう。頼み事をされればつい聞き入れてしまうかもしれない。 

 

 この童話から得られる教訓は、冷たく厳しい態度で強引に人を動かそうとしてもかえって人は頑なになるが、温かく優しい言葉や寛容的な態度を示す事で人は自ら行動してくれるようにもなる……と、言った所か。


 ――結局、この期に及んで何が言いたいのかというと、だ。




 突如として氷道真の眼前に現れたのは、どこまでも爽やかな優男。

 整った顔立ちに人好きのする穏やかな笑顔を浮かべこちらを見やる青年の名を、氷道真は知っている。



「――流唯……なのか?」



「――ええ。お久しぶりです、義父さん」



 海音寺流唯。

 孤児院から救い出した孤児の一人、氷道真の愛した息子。死なせてしまった……殺してしまった大切なモノ。

 もう、二度と聞く事は出来ないと思っていた青年の声が、氷道真を義父ちちと呼ぶ。ただそれだけの事に視界が歪み、思考が真っ白に擦り切れていく。



 ――地獄であれば、北風であれば耐えられた。

 痛みに心を凍てつかせ、涙を凍らせ感情を凍結封印して、眼前に広がる屍山血河を踏破する。

 氷道真にとっての地獄は過去。自らの手で最愛の子供たちを殺してしまった絶望で、ソレ以上の絶望など有り得ない。

 もう何もかもを失ってしまったその掌には、奪われるモノすら残っていなかったから。


 だから、例えどんな地獄を前にしようと、氷道真は動じない。


 罅割れ軋む心を無視して、マクシミリアン(=ウォルステンホルム)へとその手は届くハズだった。



 だけど。


 だから。


 だから……


「僕だけじゃないですよ、義父さん。ちゃんと皆います。ほら――」

 

 海音寺はにこやかに微笑み、横合いに広げた右手と共に己の背後に視線を送る。

 彼が指し示した先には、かつて引き取った孤児たちと暮らした家の大きな庭があって、そこでは沢山の子供たちが楽しそうな笑い声を上げながら、元気いっぱいに駆け回っていた。


「……エニカ、大智、心、エドワードに戒也、エリ、亮太まで……」


 柔らかな陽射しの中。笑って野を駆け回る子供たちを見て、呆然と零す。

 光り輝くワンシーンとして、絵画の中に切り取って納めてしまいたくなるような、日常あたりまえという名の幸福に、氷道真は膝から崩れ落ちそうになる。


 そんな氷道の様子に目敏く気付いた子供の一人が、笑みを一転イタズラげな顔に変えて氷道を指さす。


「あ、見ろよ皆! 義父さんってば泣いてるぜ」

「ほんとだー、泣いてるー」

「あはは、変なパパ。なんで泣いてんの? ねえ、ねえ、お腹でも痛い?」


 わらわらと。砂糖に群がる蟻みたいに、即座に子供達に囲まれる。

 手を伸ばせば、触れられるような距離。

 だけど、この手は確かに彼らの、彼女らの命を奪った、血に塗れた手で。だから――


「わたし、は……お前たちを、お前たちを救えなかったッ、守れなかった! 私には権利がない。資格がない。私は――」

「――なに言ってるの。君は私を……私たちを救ってくれたじゃない。今、目の前にいる私たちが見えないっていうの? まったくもう、こんな美人を前にして失礼しちゃうわね」


 自責と後悔に震える氷道の悲鳴のような懺悔を遮ったのは、透き通る鈴の音のような風に黒髪を靡かせた女の声で。


「――先、輩……?」

「もう。なに寝ぼけてるのよ。先輩、じゃないでしょ? 私たち……もう、夫婦なのよ……?」


 照れくさそうに頬を染め、けれど嬉しそうにはにかんで、彼女は甘く氷道に囁く。

 心の奥底から満たされていくような、充足感。今にも壊れてしまいそうなほどに華奢で儚いこの人を、抱きしめてあげたい。今度こそ守ってあげたい。そんな気持ちが溢れ出してくる。


 ……そう、だった。どうして自分は、そんな大事な事を忘れていたのだろう。「先輩」などと呼んでしまっては、いつまで学生気分が抜けていないのだと笑われても仕方がないし、それに何より愛する彼女に失礼だろう。

 

「そうそう。先輩だけじゃねえぜ、親友! 俺たちだって、感謝してるんだ」

「だね、氷道がいなかったら、俺はあの時、何もかもから逃げていたと思う。だから……うん。お前が俺の味方でいてくれて良かった」

「あ、あのね! わたし、オジサンにお礼、ずうっと言いたかったの! ――助けてくれてありがとう……!」

「真……本当に立派になったな、お前は俺の自慢の息子だ」

「ええ、そうね。あなた。こんなに沢山、友達が……大切な人が出来たのね」

  

 共に肩を並べた戦友が。

 子供の頃に失ったはずの友が。

 助けられなかったはずの女の子が。

 自分のせいで死なせてしまったはずの両親が。


 皆が皆、幸せそうな笑みを浮かべて、氷道のことを待っている。

 

 それは、絶対にあり得ないはずの光景だった。


 指の隙間から零れ落ちたはずの幸福な未来が、確かに目の前に幻実・・として存在している。

 大切な過去を凌駕する今が、未来に続く幸福が、氷道真の手の届く場所にある。 


 絶対に失いたくなかったモノ。

 氷道真の大切な宝物たち。

 『正しさ』だけでは救えなくて、『正しさ』だけじゃ救えないモノも取りこぼしたくなくて、懸命に走って来た氷道真が、その命を掛けて守り切ったモノたち(・・・・・・・・・)

 

 男が本当に心の底から欲していたモノが、何物にも代えがたいキラキラ輝く笑顔が、今。目の前にあるから――



 ――そう。

 地獄ならば耐えられた。北風ならば耐えられた。

 心を凍てつかせ、表面に走る罅割れも内部の損壊も無視して、躊躇いすらも凍結して、全てを凍てつかせたまま走り続ける事が出来た。

 地獄には慣れている。悲劇には慣れている。絶望には慣れている。

 慣れたくもないそんなくだらないモノばかりを眺めてきた氷道真は、確かに人生の敗者であったかもしれないけれど。それでも、今だけはそんな自分の情けなさも勝利へ繋がると信じていた。思っていた。

 


 だから、こんな不意打ち、対応できる訳がない。



「――義父さん、行きましょう。今日は、義父さんと義母さんの記念日でしょう? 御馳走の準備は出来てるんです、あとは主役アナタの出番を待つだけだ」


 差し伸べられた手を、取らない理由なんてどこにも見つからなかった。


「ああ、行こう。流唯。私は、お前たちのような者に囲まれて、本当に幸せ者だと、実感しているよ……」

「まったく……今更何を言ってるんだか、この人ったら」

「先輩の愛しの夫様は、時折生真面目なのか天然なのかよくわかんねえ事言い出すからな~。ま、慣れっこなんだけどさ!」

「そこも氷道の良いところだ。背筋がぞわっとするのはともかくな」

「ふふ、不器用なところはあなた似ですね」

「……うるさい。私はあんな恥ずかしい事は言わないだろう」


 氷道真は、流唯の手と愛する妻の手を取って、満ち満ちた足取りで歩き出す。

 眼前の幸せなに、手を伸ばす。

 そして――



「――ああ、私は……」


 ……救われたよ、と。とうの昔に凍てついたはずの瞳から、温かな涙が零れ落ちていった。

 


 どれだけ焦がれ、心の底より希って手を伸ばそうとも決して届かなかった未来。氷道真の幸福な結末(ハッピーエンド)

 大切な過去、宝物の記憶。そんなものを一瞬で塗替え塗り潰してしまうような、幸福の暴力に晒されている。

 凍てついた心をじわじわと融解させる太陽の灼熱めいたこの幸せに、氷道真は抗えない。氷道真では耐えられない。

 

 地獄を、悲劇を、絶望を。

 『正しさ』を貫かんとし、『正しさ』だけでは救えないモノすらも掬い上げようとした男は、はじめて与えられた誰一人として欠けることないその光景を、否定する事が出来なかった――





 ――【Congratulations! winner:〝生死支配す傲慢〟】




 耐え難き太陽こうふくを前に、『絶氷』は砕け散った。





☆ ☆ ☆ ☆



 決着はついた。

 此度の厄災遊戯はこれにて終幕。

 人類はその愚かさから『厄災』に敗北し、今宵の戦争は『裁定』へとまた一歩近づいた。 


「ホンマ馬鹿なやっちゃなぁ、ジブン。だから言ってやったやろが、嘘はついたらアカンってな」


 失うモノがないのであれば与えればいい。

 与えてから奪えば、絶望はさらに大きく、悲嘆はさらに深く。どこまでもどこまでも、この世に顕現する地獄に終わりなどありはしない。

 ゴミを見る冷めた瞳でマクシミリアン=ウォルステンホルムは吐き捨てる。


 太陽も北風も、その辿る結末は同じ。

 だというのに誰もが太陽に膝を折る。生温い幸福を前に、あまりにあっけなく心の鎧を脱ぎ捨てる。

 

 自分の最も大切なモノが過去にあるなどと、笑止千万。腹を捩りすぎて吐き気を催す程に笑い壊れる、それ程にはお笑いだ。

 何を綺麗ぶっているのだ気持ち悪い。思い出など金にならない、価値がない。そんなものは自己満足、所詮は自分を慰める為の代替品に過ぎないのだ。


 今、自分が満たされていないから、過去の自分を満たされている事にして、束の間の満足を得る。

 お前たちがやっている事はそういう事だ。結局それは、自分が満たされたいが為の行動だ。自分の為の行動だ。

 

 大切な者――そんな概念馬鹿げている。そうじゃない、違うだろう。それらは大切なだ。物であって者などでは断じてない。

 結局人間は、自分にとって都合のいい他者『大切な者』なんて括りで誤魔化して、自分の所有物にしているに過ぎないのだ。

 腐った自分の本音を綺麗に飾り付いてコーティングして隠そうとしているその欺瞞。それこそが傲慢であると何故分からない。

 

 ――失われ、もう戻らない過去だからこそ尊く、そして大切なのだ。

 

 そんな御大層な事を宣った神の子供達(ゴミクズ)は、目の前にぶら下げられたくだらない人参シアワセ一つで過去ソレを裏切った。自ら最も大切だと評したものを見限った。


 そんなに幸福な結末(アレ)が欲しかったのであれば、最初からそう言えば良かったのだ。

 そもそも既に失ったモノをどう守る。

 カッコつけて、気取って、失ったガラクタを守るポーズなど取らずに、今自分が生きる未来をこそ求めるのなら、ただそう在ればいい。

 何故そんな簡単なことが出来ないのか理解に苦しむ。


 傲慢に満ちた醜悪な本性を隠して己を偽り、己を裏切り、騙し、謙虚に綺麗にカッコよく見栄を張って生きようとする――そんな己を肯定する機能もない低能ゴミを人間だとは認めない。


 ああ、そうだ人間は己一人でいい。

 マクシミリアン=ウォルステンホルムただ一人が人間であれば、唯一無二の人であれば今度こそ――望むモノに手が届くハズだから。

 


「にしても……ま、こればっかりは見事っちゅう他ないわなァ」


 マクシミリアンは、ほんの少しだけ笑みの種類を嬉々の混じるソレへと変えて、眼前に聳え立つ氷の塔を見上げた。

 厄災遊戯ゲームの敗北を悟った瞬間、氷道真は『核』への変換処理が施される寸前に己を『絶氷』の氷の中に閉じ込めたのだ。

 それも、氷を盾のように展開するのではなく、己の内側を起点にして空間を凍り憑かせ超巨大な氷塔を築き上げた。

 

 不壊だろうが不解だろうが、『絶氷』を砕く事それ自体はマクシミリアンにとっては造作ない。デコピン一つでだるま落としのように氷の塔を突き崩す事も容易だろう。

 だがその場合、塔と一体となる形で凍り付いた氷道真もバラバラに崩壊してしまう。

 

 神の子供達(ゴッドチルドレン)は魔力点の維持は勿論、儀式実行の点火装置の『核』として有用だ。

 絶対に必要、という訳でもないが……やはりただ殺してしまう事は憚られる。

 どうにかして、中身の氷道真を傷付けることなく取り出さなくてはならない。


「最後の最後でよう粘りよるわ。よっぽどワイに勝ちを渡したくなんか、そんなに聖人気取ってたいんか知らへんが、ご苦労様なやっちゃで。ま、塔の方に関しちゃ方法がないっちゅう訳やないけど、面倒なんもまた事実。……さて、いっきに暇になった事やし、暇潰し(ソレ)含めてどうするか……」


 そう言ってマクシミリアンが視線を向けたのは、


「……行儀よくやるんも飽きてきたとこやし、そういうのもアリっちゃあアリか……」


 『魔力点』の外を見て、傲慢なる『厄災』はその口端を吊り上げたのだった。

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