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神ナリシ模倣者ト神門審判  作者: 高木カズマ
最終章 起 『七つの厄災』ト開戦ノ『裁定戦争』
318/415

夢行燈(裏)

 ――――――――――――――――――――――――――「お前、あれか、例の『二代目』か」――勇気の拳(ブレイヴハンド)に防御は意味無いんだよ「まあ何にせよ、愉しくなるのはここからだ。じゃあな、『希望の拳(ホープインハンド)』」――東条勇麻の勇気の拳(ブレイブハンド)は特殊な神の力(ゴッドスキル)――勇麻の感情の変化に応じて身体能力を変動させる――そんな常識を勇気の拳(ブレイヴハンド)は木端微塵に打ち砕――回転数が、上がる「俺が……、俺がやらなきゃならないからだ」「……義務感、か。なるほどね、ここまで筋金入りだとは思っていなかったが、それなら納得だ。……そりゃ簡単に揺るがない訳だ。だってそこにお前の意志が介入する隙なん「だってそうだろ? 悲劇の主人公様よぉ」「お前が誰かを救うのは、お前が悪を許せないのは、自分の中の正義感とかに従った訳でも何でも無く――全部、誰かからの貰いモンだ。借り物の正義感に、こじつけの闘志と、紛い物の拳「過去に囚われて義務感に縛られ、人を助ける事を自分に強制し「勇麻。お前、今まで一体何をやっていたんだ?「お前は一体何を演じていたんだ? 俺は死んでなかったのに、お前が自分自身を捨ててまで南雲龍也を演じる事に、意味なんてあったのか?」――今だけ、南雲龍也の代理品などでは無く、東条勇麻として、私の為だけに拳を握って欲しいのだ!」「私を……助けて!!」――――――「わたしは勇麻くんの事を知っている。優しくて頼りになって、カッコよくて、まるでヒーローみたいに駆けつけてくれて、いつもわたしの事を助けてくれる、勇麻くんの事を。でもそれってさ、『知っている』ってだけで『理解している』訳じゃないんだよね、きっと。ううん、本当は何も理解してないんだと思う」――ならば東条勇麻は、何の為に拳を振るえば(暴走する天風楓を俺が「やっぱりダメだよ。俺にはできない」――「ほ、本気でできると思ってるんですか?――相手は干渉レベル『Aプラス』の化け物「できるかできないか? ハッ、ふざけんなよ。そんな論争に意味なんてねえよ(本当は死にたく、ない……よ。誰か……わたし――助け、て)――「お前のナミダを、止めに来た」――最初から最後まで、『お前の味方であり続けたい』っていう俺の気持ちが変わる事は無かったんだ。この気持ちだけは本物だって(勇気を持って、一歩! 踏み出すッ!「今のアンタは『弱さの集合体』だよ。理想の世界を掲げたアイツの方が、まだ強かった」一人じゃ背負えない悲しみや痛みにぶつかったんなら、共にそいつを背負えるヤツを見つければよかったんだよ」――「この街の王様でも気取ってやがるのか知らねえが、その伸びきった鼻っ面ごとぶん殴って、玉座から引きずり降ろしてやるってな」―――――― どこかの誰かのせいで。ヒーローは、死んでしまった「俺、が……。行かなくちゃ。俺が……!」「……へぇ、君。面白いね。うん。面白い魂してるよ」――勇麻はな、貴様らの事を本気で助けたいと思っているのだぞ? 赤の他人である貴様らを、危険を承知で「俺は彼女を嘘付きにさせる訳にはいかない」『子供の夢(ネバーワールド)』をぶち壊したアイツらを、子供おれらは、許しちゃいけないんだよ」――「思い出の全部が全部嘘だったのかよ! お前を友達だと思っていた俺達の四年間は……全部「その安っぽい“正義のメッキ”。剥がれるぞ?」「『二代目』。『希望の拳(ホープインハンド)』。そして『勇気の拳(ブレイヴハンド)』……俺っちがユーマに近づいた理由「なにせ、“あの男”がその人生の最後に『希望』を託した男「……綺麗事じゃ、お前の偽善じゃ、何も成し得ない。だから眠れよ、東条勇麻せいぎのみかた」――(だから俺は、それが間違いだと分かっていても、何度でも同じ選択肢を選ぶんだと思う)――「嘘、だろ……「お前に謝んなきゃなんないのは……俺の「俺がお前を、絶対に助けてやる!」「俺がっ、お前の……味方ヒーローだからだ」――自分テメェを慕ってくれる女に涙を流さすなんざ、男としてあっちゃならねえ」たとえそれが、意地や誇りを捨てる事になってもな」俺は楽しみで仕方がねえよ。お前さんが信じ託した希望、あの少年の行きつく先が」だから期待してるぜ、南雲龍也せいぎのみかたに再び会わずに済む結末って奴をな」――「やあ、こんにちは東条勇麻くん「王道でベタでそれっぽい、実にありきたりな二番煎じ感が君らしいよ。うん。偽物くん」――「返して貰うぞテロリスト。お前が踏みにじった物全部」――「うん。――あまり勘違いしない方がいいよ、紛い物」「――今ここで、寄操令示きょうふを乗り越える……ッ!」――「はっ、背中は任せやがれクソ野郎!「ああ、任せたぜ馬鹿野郎!」任されましたぜい、アホ野郎!」――「命なんて「――僕の掌一つで創るも壊すも自由自在じゃないか」――「全部俺が間違ってた」――「お前みたいなヤツは……死ぬべきだったんだ」――「やめろぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッ!!?」勇麻が私を助けてくれたから、私に世界を見せてくれたから、だから――」「勇麻。お主は、生きろ」俺が寄操令示を……殺す!!「なんだ、君の魂がよく見えなかったのは、そういう事だったのか「当然だよね、だって、“二つ”あったんだもの。そんな器に「僕も大概だとは思うけど君も大概、化け物じゃないか』――「こんなくだらない悲劇はここで断ち切る。“俺”で終わらせる。理由もなく多くの命を奪ったお前を倒すのに、理由も根拠も必要ない」――「……その魂は僕の物だ」――「届けぇぇぇぇええええええええええええええ!!」――――――(またこれだ。また、……痛い(なんだ? 俺は、何かを恐れている……? でも、アリシアの笑顔を見て一体「俺は東条勇麻だ。……で、自称カミサマ改め、俺の友達の素敵な名前を教えてくれよ」――「──悪だ。それは、“俺が憎むべき悪だ”」――俺は大丈夫だ」「アリシア、ゆうま。今日は楽しかったのじゃ。また明日な!」「東条勇麻殿、図々しい申し出だという事は百も承知です「パンドラお嬢様の事をよろしくお願いいたします」――「……勇、火……?」でも兄ちゃん、アンタには分からないだろ。アンタみたいな男と比較されなきゃならない俺の気持ちなんて」……だって俺達は、結局失うばかりだったじゃないか」――「……まだ、終われない」クライム=ロットハートをぶっ潰すついでにお前の姉ちゃんを絶望の袋小路から引っ張り上げてやる……!!」――「なんだよ。結局こうなるのか「なあ東条勇麻、アンタのやり方じゃ誰も救えなかったんだよ「邪魔をするならぶっ潰すぞ、兄貴」勇火、お前の言うお前のやり方ってのは、きっと間違っている」「どんなに歯を食いしばっても英雄ヒーローなんかになれないこんな俺でも、それだけは分かる」――俺は俺の全てでもってお前を止めるぞ、東条勇火」「俺は、お前の兄貴だから」――「「分からず屋の馬鹿野郎を、ここで黙らせてやる」」――「誰だって自分を信じたいんだよ。自分の中の可能性ってヤツを「でも、なんて事はなかった。世界は想像以上に残酷だった。だって世界は、誰だっていいんだ「だから力が欲しかった! 他の誰でもない、俺自身が例外の特別になりたかった。自分の選択一つが世界の命運を左右する、そんな位置に立ちたかった。もう、手の届かない所で立ち尽くし、悔しさに歯噛みしながら傍観者であり続けるのは嫌だ――「……勇火、お前だろうが。お前がいたから今があるんだろうがッッ!!」――あいつは最後まで自らの手で活路を切り開こうとした。敗者で在り続けながら、一発逆転の一手を探り続けた。負けながらに勝利を諦めなかった。誰もが決したと思った勝負を投げ出さなかった!「だとしてもっ、あんな結末は俺は認めないッ!」――立ち塞がる壁が歩みを止めると言うのなら、その全てを勇気の拳(このて)でぶち壊してやる!)――「これで俺の勝ちだ! 勇火!」――「……よぉ、東条勇麻チャン。それとも、『二代目』チャンって呼ぶべきか?「殺してやる……! お前は“俺が憎むべき悪”だ。だから、今ここで「――不安だったんだろ? 怖かったんだろ? 神門審判ゴッドゲートの笑みが自分以外の誰かに向けられるコトが。自分から離れて行ってしまうコトが――――――「……東条勇麻だ「アンタを信じてみるよ。九ノ瀬……でいいんだよな?」――「困ってる人がいたら助けるだろ?「呆れた……。本物の馬鹿がここにいたわ「なあ旦那、アンタは喧嘩って好きか?」――「俺の勇気の拳(ブレイヴハンド)に、防御は意味ねえんだよ――ッ!」「待ってろ、アリシア……!」くだらねえ野望ごと連中をぶっ潰す「ハッ、いいね旦那ァ! やっぱり旦那はそうでなくちゃつまらねえよ!」――俺はどこまでも自分の為に戦ってる、ただの自己満足野郎だよ」あなたがあまりにも馬鹿な人だから「きっと私も馬鹿をしてみたくなったんだわ。そんな生き方を知ってしまったから。見捨てる以外の選択肢の存在を知ってしまったから」――『──本当にこれで終わりだと思って『こんな何もかもが上手くいくなんて『こんなの、東条勇麻の物語に相応しくない』――英雄の星の元に生まれ落ちた訳じゃないアナタには、世界を救う力は宿っていない――「――なんでだ、拳勝。どうして「いい目だ旦那「誰かを背に庇っていた方が強ええよ、東条の旦那はさ」――貴方は私の平穏を脅かす者。停滞を拒絶し、変化を望む者」――死にたく、ない……)──ん、東条くん! ……東条くん!「和葉、重い……」――これから私達は未知の楽園(アンノウンエデン)最強の神の子供達(ゴッドチルドレン)。救国の聖女への接触を目的とし」「自分テメェの命を危険に晒して他人助ひとだすけなんざ馬鹿のする事「自分テメェの弱さを、この世の常識みたいに語ってんじゃねえ。臆病者」意地なんざ張らずに初めから素直に感謝しとけばいいのに。忙しいボウズさね」――「あなた、この期に及んでまた例の病気……?」それでも助けられるものは助けたいんだよ。勇気の拳(ブレイヴハンド)だって、きっとそう望んでる」

お前がどんな人間かを決められるのはお前だけだ。勘違いすんじゃねえ」お前を決めるのはお前自身なんだ。決して、他の誰かじゃない「あんちゃんはっ、その、「けっこうカッコ良かったっつうか「自信持っていいと思うぜ、俺は」――「今の私はアナタと一蓮托生よ、東条くん」「ディアベラス=ウルタード――アンタの力を、俺達に「へーカッコいいじゃん、英雄気取り「……俺一人で行く」――アナタが九ノ瀬和葉を心配するように! アナタを心配する人だって「俺はそういうのが嫌だったから、認めたくなかった「何が英雄ヒーロー「こんな御大層な力があったって……龍也にぃみてぇに上手くできねえよぉ!!」やっぱテメェ、死ぬ気か……?』あの少年は、どれだけボロボロになって絶望して心が折れかけても、最後の最後には拳を握って立ち上がる「俺って実は、諦めが悪い方なんだぜ」――貴方はあまりにも容易に淀んだ不変の停滞を打ち破る「……東条くんが、死んだわ」――『あいつは最後まで誰も見捨てようとしなかった。だから俺も、絶対に見捨てねぇ』あの男の望み通り、何もかもを救うために』――「――悪い、ディアベラス。少し、遅れた」――「生きてるっ! 東条くんがっ、ひっぐ……生きででぐれだぁ「……遅れるにも限度ってモンがあるだろぉがぁ「――本気で勝てるとお思いですか?」――「アンタは勝てると思ったから戦ってんのか?「ぶっ飛べ! 『救国の聖女』ォォオオオッ!!」――アンタの声がようやく聞こえる「変わる事から逃げ続けてきたアンタの怯える声が」――何も知らない癖に、知ったような口を「怖くないのかだって? そんなの怖いに決まって「アンタは現実から逃げ続けて、何か良い事あったかよ」――「『救国の聖女』になんて、……ぐずっ、成りたくなかった……ッッ!」――「……自分の変えた救ったモノを否定「独りぼっちになろうと「全部自分で背負いこもうとするなよ」――(誰か、私を。助けて……!)――「……アンタはただ一言、勇気を出して「『助けて』って、そう言えば良かったんだよ」――それっでも、皆は、私を助げでぐれまずがぁ!?」「アンタが勇気を出せば、きっと」――「――アスティを助けてくれて、ありがとネ」――心外ね。信じてるって言われたし、信じてるって言わせたのはあなたじゃなかったかしら?」――「さあ旦那、俺と楽しい『喧嘩』をしようや」――「あぁ? アホ勇麻が最強だ?」――「ようやくたどり着いたぞ、アリシア「やあ、東条勇麻「私は天に輝く遍く星々の輝きの如き智を司りし者「これは救済だ」「……未知の楽園(アンノウンエデン)は、お前なんかに救われる程柔じゃねえ「アナタは優しいけど酷い男だな「アリシアの手は、誰かと繋ぐためにある手だ」――拒絶を拒め。――憎悪を憎悪しろ。――まず己の目を背けている弱さを直視しろ。――身勝手に相手を諦めるな。――「――起動リーチアウト、『理解掌握リアライズ・オーバー・ワン』――「アナタは英雄の器ならざる凡庸な「アナタは英雄たる資格をその身体に一つも持ち得ていない」「でも、だからこそ不思「アナタはいつだって勝利と同じかそれ以上の敗北を「どうしてそこまで自分の可能性を信じられる」――「その問いに対する答えはずっと前に得たよ」――他の誰でもないアナタが、他の誰よりも主サマに救われた――彼女という存在ヒロインが、アナタに拳を握る理由を「今まで紛い物を演じ続けて「空っぽのアナタに存在理由ヒーロという役割を与えた」アナタはアリシアという少女無しでは、もう生きていく事すらできない「アナタは彼女の英雄ヒーローにはなれない」――もうどうでもいいんだよ、そういうの」

「俺はただ、アリシアを失う事が嫌なんだ!」――「俺は今この瞬間、アリシアの味方になれればそれでいいッ!」――「――クソ勇麻ァぁああああああああああああああああああああ!!!」――いッけェえエエエエエエエエエエエエエエえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええッッッ!!!!」」――「それがアナタの信じた正義か――ちげえよ、俺の正義わがままだ……!」――――――「――おかえり、アリシア」――「随分いい顔をするようになったな、ボウズ」――「楓が困ってたら助けるなんて当たり前だろ?」――さあ、お前ら。楽しい楽しい正義の味方のお仕事の時間だ――いつまでもトラウマ引き摺ってる泣き虫姫の背中を、俺達で押してやるんだ!」本気で何かに挑んでる人っていうのは、どうしてもカッコよく見えるものなのです」――お前とアスティとこうして未来の話をしたかったぁ」――『人生における“目的”が出来た時、人は変わる『それでも僕は『人には絶対に越えちゃならない一線がある』事の言い訳に、その目的を使ってはならないんだ。絶対にね』――「待っていろ、アンタとの決着はいずれ着ける」「“此処”まで必ず登って来いよ勇気の拳(ブレイヴハンド)。オジサンが優しく丁寧に叩き落としてやろう」――言ったじゃないですかぁー。アナタは一人じゃないって『――仲間、なんですから』『――僕の弟分みたいなものなんだ』――この理不尽な状況に、君はもっと怒っていいんだよ、東条君」「勇気の拳(ブレイヴハンド)、俺はお前のそういう青臭ェところが気に入らねえ「お前の掲げる正義とやらがどれだけ無意味か。いずれ俺が教えてやる」――「対抗戦が終わったらさ、教えてくれよな。龍也にぃのこと、それにアンタのことも色々さ」――「――なあ、勇麻。勇麻は私が好きか……?」私を助けてくれて、自由をくれて、温かさをくれた。知らなかったものを沢山くれた、優しくてお人好しな勇麻が好きだ。勇麻は……私が嫌いか?」――対抗戦が終わったら、私の話を聞かせてほしい。勇麻が知る、私の知らない私の話を――「こちとらこの時をずっと待ちわびてたんだわ。始めようぜ勇気の拳(ブレイヴハンド)」――「「――ここから先は、殴り合いだ……ッッ!」」――「来いよ、ロジャー=ロイ。アンタ、俺を否定したいんだろ?「――アンタと違って、俺は諦めだけは悪いぜ?「ここで折れろやァ! 東条勇麻ァァアアアアアアアアア!!」――アンタ、いつ正義こころを捨てた?」――「お前だって理解したはずだろ。お前の掲げる正義の、その偽善にも届かねぇ甘ったれた絵空事の無価値さを「理解してなおソレに縋るってんなら、お前の正義は正義でも何でもねぇ! 正義に良く似た粗悪品だッ」――「アンタの掲げた正義ってヤツはたかが一回失敗した程度で諦められるような安モンだったのかよ――たかが一回の失敗だと……? ははは! 随分笑える冗談だなオイ!」――今日誰かを(、、、、、)救えなかった(、、、、、、)ことは(、、、)明日誰かを(、、、、、)救っちゃいけねえ(、、、、、、、、)理由にはなら(、、、、、、)ねえんだ(、、、、)ッ!「所詮俺は紛い物だ。英雄になんざなれない代替品だ「――それでも、歩んできた道のりへの矜持くらいはある」――「お前の正義は子供の夢だ。何も救えないし救わない。自分の幻想を守るだけの自己満足の粗悪品だ「世界を救う資格が己にあると胸を張って答えられるのか?」「何も救えなかった現実を前に「己の正義に価値があると吠えるなら」――「答えてみせろよ勇気の拳(ブレイヴハンド)ォォオオッッ!」――「世界を救う資格なんざ知った事か――楓を殺す平和なんざ、俺がこの手でぶち壊してやる……ッ!」――「……か、えで……なのか……?」「わたしも言い訳ばかりして逃げるのはもうやめにしたんだ「勇麻くん、わたしのワガママに付き合ってくださいッ。わたしは、もう。ちゃんと大丈夫だから……!」――なんでいつも勇麻くんがそんなボロボロになってまで戦わなきゃいけないの? それは、誰の為?「俺は、「楓を守りたくて――「だからって勇麻くんが傷付いてもいい理由なんか、絶対にない。そんなのわたしは、笑えない。嬉しくなんかない」――「誰かを助ける為にボロボロになり続けた勇麻くんの事は、一体誰が助けてくれるの?」――「一人で傷ついて全部背負って、自分を犠牲に誰かを救うのが当たり前だなんて思っちゃ、嫌だよ」それでも勇麻くんは「傷つく人を放っておけない人なんだってわたしは知ってる。そんな勇麻くんだったから、きっと――わたしはアナタを好きになったんだと思う。だから」――勇麻くんのことはわたしがずっと守るよ。だから――勇麻くんは皆を守ってあげて?――「俺は、お前にそんな事を言って貰えるような資格なんてホントは何も」――「だぁぁああああああああれも救えない勇麻チャンには、やっぱその惨めで情けねえ絶望顔がお似合いっしょッッ!?」「「――クライム、ロットハートォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!」」――一体、何をやっているんだっ、君達は……ッ!」「「……俺。海音寺、先輩……俺は、楓を。守りたかったのに、確かに守りたかったハズなのに!」「南雲龍也は君を希望だと言っていたよ「龍也は君の事を、心の底から信じ、愛していた「東条勇麻。君は、南雲龍也から託された思いを殺すつもりか?」――大切な幼馴染を、君を信じる全ての想いと共にここで見殺しにするのかい? それが君の正義なのかい?――「海音寺先輩、俺は逃げたんですよ「安易な殺意と憎悪に身を任せて「俺に正義を掲げる事なんて」――「ああ、そうだね。それはきっと、正しくはない。でも、人間は正し過ぎちゃダメなんだよ「大切なのは憎悪や殺意を自分の意志で律して御する事「君が心に抱いた感情に罪はない「罪を犯すのは人間の行いなんだから。だから、自分の大切なモノを言い訳にして、その感情から逃げちゃダメだ。天風楓を大切だと思う自分の気持ちから、目を背けてはならないんだよ……!」――天風楓が泣く事を、これ以上君は許容できるのかい!?」「……行きましょう、海音寺先輩。楓の涙は、もう……見たくない……!!」――「証明してみせろ。その気持ちの悪い絵空事で、何かを救えるって事を。お前の掲げる正義とやらで、この絶望を覆す事が出来るってんなら」――「助けよう、楓を、皆を。俺達二人……いいや、俺達全員で……!」――『龍也にぃが死んだのが、……俺のせいっていうのも、……知ってた、のか?』――君に対して複雑な感情がなかったと言えば嘘になる。なにせ君は、親友の残した忘れ形見のようなものだからね『……僕にとって君は、鏡合わせのような存在でもあったから……』――「「――俺僕たち二人なら……ッ!!」」――負ける気がしねえッ!」――「ガハハ! 何を呆けるか東条勇麻殿、俺にとってお前は愛する仲間を救った大恩人「僕はルネサンス音楽で親しまれた鍵盤楽器じゃないっ。僕の名前はチェンバーノだ!「お前はリコリスの姉御に、死ぬほど感謝するッス「――窮地にある僕らを助けている細く拙いこの糸は、君が繋いだ絆なんだよ、東条君――「アタシに前を向けだの前進しろだの小うるさくほざいたんだ。これで呆気なく死にやがったら今度こそ殺す「彼女が苦しんでいるというのなら、どうか助けてやってくれ「アブリルは天風楓が気に入ったんだってさ。だから一応私からもお願いする。ちゃんと彼女を助けてあげてね」――俺達の用件は分かるだろ? ほら、漫画だのアニメだのでおなじみ〝俺達が足止めする。ここは任せて先に行け案件〟ってヤツだ」――「俺の掲げた傲慢な我儘は、それでも誰かの救いになれたのかな……」「東条君。誰かに助けを乞う事も、誰かの助けを得る事も、それは決して恥ずべき事じゃない「本当に恥ずべきは、助けが来ることを当たり前だと思う事。その恩を忘れ相手に何も返さなくなる事」――今度は俺があいつらを助ける。傲慢でもなんでも、助けたいんだ――「――悪い、楓。遅くなっちまった」――背中は預ける……ッ!」――最後まで任されようとも。行くぞッ!」――「――目を醒ませッ、楓ェえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええッッ!!!」――「楓、ごめんなぁ……「ずっとお前を傷つけてたのは、俺だ。俺なんだよ……っ」――「……俺は俺が嫌いだ「俺は俺が許せない。龍也にぃを死なせた自分が、憎くすらある「俺はお前が思っているようなカッコいい人間じゃない「俺は偽物だ。英雄ヒーローになんかなれはしない、どうしようもない紛い物だ」――ううん。それでも勇麻くんは、わたしのヒーローだよ――「こんな馬鹿な俺を、お前が、もし許してくれるのなら――」「――今度は、楓に助けを求めても、いいかな?」「ここから始めようよ。一緒に、少しずつでいいから。嫌いな自分をちゃんと好きになる努力を。二人で、一緒に……!」――「「――助けてくれて、ありがとう」」――――――めでたしめでたしハッピーエンドこれでおしまいチャンかって? ――まさか「こんなんじゃまだまだ終われないっしょ。なあ、東条勇麻チャン……?」――「え……?」――「――ぁあああああぁぁぁああああああああああぁあああああああッッ!! 海音寺せんぱぁああああああああああああああいッッ!!」「すまない。東条、君……」頼む、どうか君が……助けてやって……くれないか……? 僕と、紗を、助けて……くれないか?」「諦めるなよッ! なんで、もう自分は死ぬ前提で「アンタが言ったんだぞ、大切な女泣かせる気か「全部アンタが自分で言った事だろうが「俺がなんでアンタを殺さなきゃ「無理だ、そんなの無理に決まってるッ!!」――背負わせてしまって、ごめんよ。それと、僕の為に怒ってくれて、ありがとう。最後に君と戦えた事を、心の底から嬉しく思うよ、相棒。……龍也も、そして僕も。君を……東条勇麻を、心の底から……」――――――……愛しているよ――――――――――あぁ、あッ、うああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッ!!!!!???















 


 ――そうして、東条勇麻を形作っていた全てが罅割れ、崩壊した。








 









 それは、思い出してしまえば何て事はない、実に単純で笑ってしまう程に明解な事実。


 勇気の拳(ブレイヴハンド)は東条勇麻の力なんかじゃなかった。南雲龍也を殺して奪い取ったも同然の他人の力だった。

 


 ……馬鹿げている。ふざけている。あまりの事実に、笑いがこみあげてくる。

 


 なんて無様、なんて道化、なんて愚かで、なんて皮肉なんだろう。



 なんてことはない。紛い物の英雄がその身に宿していた力もまた紛い物。今まで己の足で歩んできたと思っていたその道のりすらも、誰かの力によって得た偽物だった。


 

 全てが虚偽と模造とで塗り固められた、気持ちの悪い贋作。



 この身、この道のり、この全てを構成する何もかもが、他者からの略奪品と借り物とで出来た醜悪な模倣物。



 それこそが、東条勇麻という紛い物、その真の正体だったのだ。

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