第十二話 喧騒に染まる街Ⅲ――憎悪の切っ先
クライム=ロットハート。
天界の箱庭で現在進行形で発生している住民の暴徒化に関わっていると目されている『創世会』の幹部にあたる『三本腕』の一角を担う人物。
クライムの狙いは不明。
ただ、その行動の裏にどんな目論見や思惑があるとしても、誰かが傷つく事を当たり前のように許容し、連鎖的な悲劇を生み出そうとする人間の掲げるの目的など、碌でもない物だという事だけは確かだ。
これ以上ヤツの好き勝手にさせる訳にはいかない。誰かがどこかで傷つき、本来起こるハズのない悲劇が起きているというならば、それを止める為に動くのにきっと理由なんていらないはずだ。
故にレアードを含む背神の騎士団の団員と協力しつつ、東条勇麻もまた該当人物の捜索に当たっていたのだが……。
(イルミが出てくるタイミングに確かに違和感があったんだ。でも、ここでそう繋がるのかよ……!)
状況や断片的な言葉から推測しただけとは訳が違う。
その口からはっきりと、その人物の名が告げられたという事実には、勇麻に確信を与えるほどの破壊力があった。
予想外といえば予想外だが、互いを重い程に思いやる双子の姉妹の片割れが単独で出張るような事態になっている事も、そう考えればある程度納得も行く。
ナルミイルミ姉妹もまた、クライム=ロットハートという神の脳力者の毒牙に掛かった被害者なのだ。
おそらくはイルミもまた、姉を救うためにクライムを探していたのだろう。
(……イルミの敵と俺の敵は共通している。つまり、利害は一致している訳だ。うまくいけば、クライム=ロットハートについて何かしらの情報を聞き出せるかも知れないけど……。問題なのは、この子が俺の事も殺す気まんまんな事だ。交渉しようにも、この興奮状態じゃまともに話を聞いてくれるとは思えない)
ならばどうするか。
答えは単純だ。
(ひとまず意識を奪う。そうすれば、まともに会話が可能な状態にできるかもしれない……!)
が。
解決方法それ自体は確かに単純ではあるが、それが簡単だとは一言も言ってはいない。
「くっ……!」
左肩の痛みで動きが若干鈍る勇麻に、容赦のない斬撃が襲いかかる。
一撃ごとに空間を蹴って、鋭角的な軌道で死角へと回り込み続けるイルミの攻撃をなんとか躱すので手一杯で、反撃の機会が巡ってこない。
例えるならば、永遠に相手の攻撃ターンが続くバレーボール。
こちらはギリギリ手を伸ばしてレシーブを返し、ボールを落とさずに済んでいるだけ。
相手の攻撃に永遠に対処し続けるだけで自分の番は終わり、即座に終点の見えない攻撃が再開されるような絶望感。
(イルミの攻撃パターンの多彩さに付いていけない。ここじゃ余りにも自由度が高すぎる……ッ!)
問題は戦う場所にもあった。
今勇麻とイルミが対峙している『創世会』本部ビルの前のロータリーは、障害物がほとんどなく人通りさえない開けた広い空間だ。
以前までのイルミならば、もっと複雑に入り組んだ、足場の取っ掛かりとなる障害物のたくさんあるゴチャゴチャした場所の方が神の力を活かしやすかったかもしれない。
もしくはそういった場所による不利を補うためにワイヤーを自由に張り巡らせることのできる姉との連携を使っていたのだろう。
けれど今は違う。
空気中に漂う僅かな塵や埃さえも足場としてしまうイルミにとって、この広大な空間はやりたい放題に足場を設置する事のできる最高の遊び場なのだ。
まるで、その場その場で自由にジャングルジムを組み立てるかのように、己の発想のままに足場を形成し、奇想天外で突飛な軌道で勇麻を翻弄する。
「殺す」
だから追いつけない。
「殺す、殺す、殺す」
時間が経てば経つほどに選択肢を読めるようになるはずの攻撃パターンは増加する一方で、差は永遠に広がり続ける。
「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す……ッッッ!」
走り、転がり、無様に背中を見せて、荒い息を吐き、それでもどうにか命からがら致命的な一撃を潜り抜ける。
斬撃を躱された瞬間に存在しないはずの足場を蹴って再度攻撃に転じるイルミを前に、何かを考える時間も、迷っている時間も無かった。
戦術も戦法も糞もない。ただ逃げに徹する。
防戦一方。
反撃の為の何かの取っ掛かりさえ与えられない、文字通りのワンサイドゲーム。
そうして、命を削る時間がどれだけ続いただろうか。
「っはぁ、はぁはぁっ、はぁっはあ、はぁっ……っ!」
東条勇麻は、背中を壁に凭れかからせて荒い息を吐いていた。
体力のほぼ全てを逃走に費やし、びっしょりと身体は汗で湿っている。冬だと言うのに、滝のような汗が顎から滴り落ち路面に染みを作った。
逃げている内に気が付けばこんな場所まで移動してきたのか、視線を巡らせると周囲を壁に囲まれた完全な袋小路に追い詰められたのが分かる。
正面に映る『創世会』の本部ビルが先ほどまでよりやけに小さく見える。
遠くに感じても、なお独特の威容を放つその建造物を背景に、刀を手にした小さな鬼がゆっくりと歩み寄ってくる。
左右後方。もうどこにも逃げ場はない。
勇気の拳の力を借りて、全力で逃げ続けた、ここが限界点。
「は、ははは……」
渇いた笑みが勇麻から響く。
全てが終わったのだと、そう確信があったからか。それとも、現実を受け入れられない頭が拒絶反応を起こしているのか。
そして死を宣告する断罪者が、殺意に頬を蒸気させ、嬉々として終わりの言葉を呟いた。
「……ちょこまかと鬱陶しいヤツ。でも、もう逃がさない。これで終わり。ここで私が、殺してやる」
「確かに、終わりだよな……」
肯定と共に額に手を当て、天を仰ぐ東条勇麻。
背中を預けなければまともに立っている事も辛いくらいに消耗した少年は、逃走劇の終焉に細く息を吐いた。
終わりを認め、限界へと到達した事を自覚して、
しかしその顔に浮かんでいたのは、絶望ではなく逆転を確信したような笑顔だった。
それに気が付いたイルミが、不快感も露わに怪訝な色をその顔に浮かべる。
「……?」
「殺意に目がくらんで視野が狭まったのか、頭に血が昇っていたのかは知らねえけど、今の今まで気が付かなかったみたいだな。……なあおい、周りをよく見てみろよ」
「周り? 一体何を言っているの。分からない。袋小路に追い詰められたのは、お前の方……――ッ!?」
言いかけて、何かに気が付いたイルミがハッと驚愕に目を見開いた。
その瞳が動揺に揺れ動くのを見て、勇麻が獰猛に笑みを広げる。
「ようやく分かったかよ。そうだ、ここは確かに袋小路だ。でも、俺のじゃない、追い詰められたのはお前の方だぜ、イルミ……!」
そう。
無様に、みっともなく、命からがら逃げて逃げて、逃げに徹し続けた東条勇麻は、何も闇雲に走り回っていた訳ではない。
イルミが広大な空間を利用して予測不可能の攻撃を繰り出してくるのならば、
行動を阻害する物の何も無い、開けた土地がイルミの選択肢を無限に増やしていると言うのならば、
イルミが優位に立ち続けるフィールドから、自分が優位に立てるフィールドへと誘導してやればいいだけだ。
だから、逃げた先は都会のビル群の中に偶発的に生じる狭い路地。
背中側も、左右どちらも壁に覆われた、死角の存在しない袋小路。
逃げる事はできないが、逃げる必要なんてもうどこにも無い。
背中を壁に押し付けている今、背後に死角は存在せず。彼女を活かす足場はあるにはあるが、自由に足場を作れるだけの広大な空間はもう存在しない。彼女を圧倒的足らしめていたその自由度は、もう存在しない。
使えるのは、左右の壁とその壁に挟まれた僅かな空間。そして上方向に伸びる空間のみ。
それだけならば予測できる。予測できる攻撃になら、後出しで対処し返す刀で反撃をする事も容易だ。
イルミの肩が怒りに小刻みに震える。
「そもそも俺がただ逃げるだけなら、勇気の拳が黙っていないだろ。逆転の為の一手だからこそ、弱体化なんて物は起こらなかったんだよ。……熱くなりすぎたな、イルミ。姉思いな奴だとは思っていたけど、そこが付け入る隙になるとは俺も思ってなかったよ」
「たかが、たかが選択肢を狭めたくらいで……調子に乗るなァ!!」
依然として怒りから冷静さを欠くイルミが吠え、最大速度で勇麻目掛けて突撃した。
左右の壁を交互に蹴り、稲妻の如く走る軌道。壁を蹴る度に加速してイルミの姿が霞み、まるでスーパーボールのように跳ねまわる少女が東条勇麻の命を刈り取らんと白刃を振るう。
そのあまりの速度に、どこから斬撃が繰り出されるのか、それを瞳で捉える事は不可能。
残像だけが視界に残り、視認不能の斬撃が走る。
だから勇麻は、予測だけで拳を上に、アッパーカットの要領で全力で振り抜いた。
振り抜いた拳が何か、鋭い刃物ごと肉の塊を打ち抜いた感触を得る。
「ごぉッ、ぁア……ッ!?」
「――イルミ、お前は相手の死角からの一撃を好む。最初に戦った時もそうだった。癖なのか知らないけど、勝負を決める重要な局面、お前は必ずと言っていいほどに相手の死角に回り込む。少なくとも何の芸も無しに真っ正面からって事はまずない。左右背後が壁で封じられたとしたら、後は上方向しかねえだろ」
イルミは最後まで勇麻の言葉を聞いてはいなかった。
勇麻のアッパーで意識を砕かれた少女の矮躯が、そのまま力を失ってアスファルトの上に倒れ伏したからだ。
「……いってて、左手にしとけば良かったか……」
思い出したように痛みが右手を貫き、身体中を巡った。
日本刀を正面から殴った右拳は、手の甲がぱっくりと切れて赤い血が流れている。
イルミが日本刀を振り切れていない中途半端なタイミングだったからこそこの程度の傷で済んでいるが、少しでもタイミングが遅れていればもっと酷い事になっていたはずだ。
「でもまあ、これで後は眠り姫が起きるのを待つだけなんだけど、うん。この子とうまく協力できるビジョンがちょっと見えないな……」
そもそも初対面の出会い頭に人様の首を日本刀で掻っ捌こうとしてくるような少女だ。
そのまま碌な会話もせずに互いに罵り合うだけ罵り合って殺し合い。果てに勇麻はイルミの最愛の双子の姉、ナルミを吹っ飛ばして重傷を負わせている。
第一印象からして最悪なのだ。とてもじゃないが互いに心証が良いとは言い難い。
さきのやり取りを見て貰えれば分かるように、イルミの方は分かりやすい程に勇麻に対して殺意と憎悪しか抱いていない。
しばらく黙りこくって現状を打破する手を考えていた勇麻だったが、
「まあ、なるようになるか……」
頭の痛い問題を棚に上げて何かを諦めるように息を吐くと、意識を失ったイルミの小柄な身体を背負う。
『創世会』本部ビルにクライム=ロットハートを狙うイルミが待ち伏せて居た。という事は少なくとも、現段階では此処にクライムは居ないという事だ。
イルミが警備の人間を一人残らず倒してしまった事もあり、直にに此処は騒ぎが起きるだろう。大量の神狩りに意図せず周りを囲まれ、身動きを取れなくなってしまう未来図が容易に想像できる。
そうなる前に一度、ここを離れた方が良さそうだ。
☆ ☆ ☆ ☆
本日の『お楽しみ』に興じようとしていたクライム=ロットハートに水を差したのは、侵入者を知らせる無粋な警報音だった。
何者かがゲートを突破し、力技で研究施設へと押し入ったらしい。
喧しく鳴りひびく耳障りな音に著しく気分を害されたクライムは、隠す素振りも見せずに盛大に舌打ちをした。
「……チッ、んだよクソ。頭くるタイミングだなっ!」
八つ当たりするように喚き散らし、苛立ちをぶつけるように“お楽しみ”を繋いだベッドの脚を蹴りながらクライム=ロットハートは顔をあげる。
研究所内外には所構わず罠や仕掛けを用意してあるので侵入者がクライムの元まで辿り着ける可能性は微々たるものだが、邪魔者が目と鼻の先にいるような状態では楽しめる物も楽しめない。
それに何より、クライムの至福の瞬間を邪魔した罪は万死に値する。
自ら出向いて、それ相応の報いを与えてやるか。それとも、仕掛けた罠によって無様にその命が刈り取られていく様をモニタリングして嘲笑を送ってやるか。そう思案していたその時だった。
「安心してくれ。君に御足労して貰う必要はない。僕が直接、そちらに伺おう」
聞えてはいけないハズの第三者の声が、クライム=ロットハートの私室兼研究室に声高々と響いた。
直後の事だった。
部屋の床が爆発するかのように隆起したかと思うと、爆発音と共に瓦礫を周囲にブチ撒いて、長身金髪の男が床を突き破ってその場に出現した。
「へぇ……」
地中をショートカットする事で寄り道無しでクライムの元を訪れた男は、口元に微笑を浮かべたまま、けれどその瞳には凍えるような感情を内包していた。
クライムは己の神の力を使うまでも無く理解する。その瞳に宿るのは、クライム=ロットハートという男に対する明確な憎悪だ。
金髪の男は、その手に岩と石で出来た無骨な棍棒のような両手剣を握り込みながら言う。
「……初めまして、かな。クライム=ロットハート」
粉塵舞う中、レアード=カルヴァートの視線が部屋の中を泳ぐ。
そこは研究室とは名ばかりの、趣味丸出しの一室だった。
巨大なモニターには今でこそ世界で頻発しているデモの光景や暴徒化した天界の箱庭の人々の映像が映っているが、配線の繋がれた据え置き型ゲーム機が普段の使用方法を物語っている。
それ以外にも読み捨てられたコミックや菓子の袋。投げ捨てられたカップめんのカップ。小型の冷蔵庫まで、やたらと生活感に富んだ小物の数々が並んでいた。
そんな中で、一際異様を放つオブジェが一つ。
それは巨大なベッドだった。
それも、ただのベッドではない。手足を繋ぐ機能を付加された、特殊なベッド。しかもそれは現在進行系で特殊な用途に使用されている。
「……」
拘束具によってベッドに縛り付けられている人物をチラリと視界の端に収めたレアードが、僅かに訝しげに眉を寄せた。
見知った顔を予想外の場所で見かけた際のようなその戸惑いは、けれどクライムが口を開くと共に一瞬で顔を引っ込めた。
「どうしてここが分かった? セキリュティも、それ以前に俺チャンに辿り着けないようにデコイちゃんの配置もばっちしだったはず」
「忘れたのか、僕らには『神門審判』がいる。彼女と彼女の持つ『神器』の性能を、君達が知らないとは言わせないよ」
「いやぁ、それにしたっておかしいっしょ? なんだっけなー、あ、そうそう。『創世会』に関する事は『天智の書』ですら触れる事はできないってシーカーちゃん言ってたんだけど? そこんとこどうなっちゃってんの?」
「隠蔽されるならそれはそれでやりようがあるって事だ。元々、僕としては今回の件に噛んでいるのは十中八九君だという確信があったからね。君が本拠地にしていそうな場所にいくつか当たりを付けていたんだ。なら後は簡単だ。候補の中からより強く隠蔽の匂いを感じる物を、意図的な改竄のある情報をピックアップしていけばいい。そして全ての条件を逆算して当てはめて行った結果、ビンゴはここ一択だ」
クライムは愉しげに口の端を歪ませ口笛を吹く。
「ひゅー、いいじゃんいいじゃん。俺チャンのお楽しみを邪魔したのはギルティだけど、随分イカしてんな! ええっと……」
言外に名乗りを求めるクライムに、しかしレアードは取り合わない。
ただ、凄まじい眼力で射抜くようにクライムを見据えると、一度も視線を外す事なくこう問い掛けた。
「レインハート=カルヴァート、という名をお前は覚えているか?」
「……さてねぇ、そんな目で俺チャンを睨みそうなヤツについての心当たりが軽く三桁ほどあるしぃ? いちいち全員の顔と名前覚えてたらキリがないっしょ。正直言って何の事だかさっぱり」
とぼけるように肩を竦めるクライム。
レアードの感情をあえて刺激するようなわざとらしい挙動に、しかしレアードは声を荒げる事なくあくまで冷静なまま静かに言葉を重ねる。
確かな憎悪を込めて。
「そう、か。……ならば僕はお前に名乗ってやる名前なんてない。カルヴァートに名を連ねる者として、そして……背神の騎士団の一員として、ここでお前を倒そう。クライム=ロットハート……!」
「何だよ、お前ってば背神の騎士団ちゃんだったのか!? そうならそうと早く言ってくれよ。お客を持て成す準備ならばっちりできてるっつーの……!」
「生憎、お茶会の誘いには乗ってやれないな。なにせ、こちらにもたっぷりと手土産の用意があるんだ。……十四年も待ったんだ。お前が貶めた尊き物を思いだせるようになるまで、いたぶり尽してやるさ……!」
自身を背神の騎士団の一員だと語った襲撃者が、会話と言う名の言葉のぶつけ合いから攻撃に転じる為の一歩を踏み出す。
クライムはその挙動をじっと見やりながら、絶えず思考を回転させ続けていた。
クライムの語った言葉に嘘はない。
事実、カルヴァートという名前に聞き覚えは無かったし、目の前にいる金髪の長身の男の顔も記憶にない。
だが、目の前の男がクライムを憎悪している事はその瞳から明白であったし、クライムもまた自分がどれだけの多数の人間から憎悪を浴びるような事をしているかという自覚はあった。
だからつまり、それはそういう事なのだろう。
クライム=ロットハートが忘却した記憶の彼方の出来事の一つが、彼と彼のナニカ大事な物を傷つけたのだ。
クライムは疑問を抱く事も拘泥する事も否定する事もなかった。
まるでそれが当たり前の日常であるかのように、クライム=ロットハートは復讐者の存在を認めた。受け入れた。己の罪を認めた。
自分が他者から憎まれるような事をしているという自覚があるからこその反応。
けれどクライム=ロットハートは、そこまで分かっていながら己の行動を改めようとは思わない。反省する事も、己の罪を悔いる事も決してないだろう。
簡単な話、それはクライム=ロットハートがド外道の極悪人だからだ。
「死ね、外道」
「おっかないなぁーッ! でもさぁ、そう簡単に死なないから俺チャンみたいな人間が外道チャンって言われるんじゃないかと思うんだよねぇ!」
憎悪の籠った大剣が振るわれ戦場が花開く。
自らを悪であると認める者に糾弾の言葉など刺さる訳もなく、ならば武力で相手を叩き潰すしかないとでも言うかのように。
正義をのせた暴力が、暴力と言う名の正義が。ひょろりとした痩身の金髪の男へと全力でもって叩きつけられた。




