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「疲れた。」という貴斗の発言によってカラオケ店を出た。


外はもう暗くなっていて、少し寒かった。


カラオケ店で散々食べたり飲んだりしていたのに、やっぱりちゃんとしたご飯は食べたくなるもんだ。俺達はよく行くファミリーレストランに入った。



店内は昼より客はいないものの、家族連れがいるせいか、賑やかだった。


照明が眩しすぎることの無い温かなオレンジ色で、暗い外とは別の世界にいる感じがする。



「二名様でよろしいでしょうか?」



少し長い茶色の髪を一つにすっきりと纏めている女性店員がにっこりと微笑んだ。



「あ、はい。」


「それでは、お席へご案内致します。」



女性について行くと窓側の禁煙席に案内された。


貴斗はそれが不服だったのか、何かを思いついたように女性に話しかけた。


この顔は、やな感じがする。



「お姉さん、俺たちこれでも二十歳なんだ〜。喫煙席に移してもらえません?」



「おい!」



ほらな。何を言い出すかと思えば…。


コイツのこーゆーとこ、本当にバカだと思う。


俺達は高校生だし、もちろん煙草なんて吸わない。



このバカは何考えてんだか…。



にこにこ…というよりもニヤニヤに近い笑みで女性を見る貴斗に溜め息しか出ない。



「すいません」と、彼女に謝ろうとしたが、彼女の方が先に口を開いた。



「ふふ、ダメよ。あなたたち高校生でしょ?」



そんな貴斗の冗談に驚きもせずに彼女は口元に軽く人差し指を当ててそう言った。



「あ、やっぱり分かります?」



「そうね、見た目だけだったら高校生にも大学生にも見えるけど。学校の帰りとかに二人でよく来るよね?」



「あ。知ってたんですか」



「ええ。制服が高校生だな、って」



「あーなるほど」



「それで、禁煙席でよろしいですか?お客様。」



少しだけからかうように確認をとる。



「はーい」



今度は素直に席についた貴斗に続いて俺も向かいに座った。


彼女は淡々とおしぼりやメニューをテーブルにセットしていく。



「それでは、注文がお決まりになりましたらそちらのボタンを押してください。」



「お姉さんが来てくれるの?」



「手が空いていればね」



貴斗が冗談っぽく言うと、また人差し指を口元に軽く当て、そう言い残して彼女は店の奥へと消えていった。




…………



注文を決めてボタンを押すと男性の店員が来た。彼女はきっと忙しいのだろう。その時の貴斗の顔はなんだかおかしかったけど、俺も少しだけ期待していたのは確かだったから敢えてつっこまないことにした。




暫くして料理が運ばれてきた。


注文したハンバーグから湯気が上がっていて食欲を掻き立てた。


一口食べると熱々の肉汁が口に広がって、すっげー美味い。



「それにしてもさぁ、かわいいなーあの人。なあ、和希」



「そーだな」



確かにかわいい。化粧をしているせいもあるかもしれないけど、そんなに濃くないし、清潔感のある顔立ちだ。



「お前、あーゆーのタイプだろ。連絡先とか聞いてやろーか?」



「止めとけよ。あの人絶対彼氏いるだろ」


「そう?案外いないかもよ?」


「それに、貴斗が欲しいんだろ連絡先。」


「あ、バレた?」


「バレバレ。ってか、俺らみたいな年下なんて相手にしないって。」


「何?今日はやけに食い付かないのな。恋人欲しがってたんじゃないのー?」



ん?恋人?



あ。



そーいや、俺、竜と付き合ってたんだっけ。



そっか、すっかり忘れてた。



「ん?和希?どした?」


「あーいや、何でも。」



いけない、いけない、ついボーとしていた。



「まー、恋人できなかったら俺が貰ってやるからな!」



ニシニシと笑う貴斗の冗談を「アホ。」と軽くあしらって再びハンバーグを口に運んだ。





…………



「ごちそうさまぁ!」



さすがに食べ過ぎた。こんなに食べたの久しぶりな感じがする。


テーブルの上には空になった皿とコップが一面に広がっている。



「あー、もうこんな時間。」



時計を見ると短針が8を指していた。



母さんに連絡入れないとな。きっともう帰ってきている頃だろう。



ポケットに入っているケータイを取り出して母さんにメールを送ろうとしたとき、貴斗が口を開いた。



「和希、今日俺んち泊まっていけよ」



泊まりか、貴斗の家に泊まるのは久しぶりだな。でも、確かに明日休みだけど、いきなりお邪魔したら夏美さんに迷惑だよな。



「んー…。」



ケータイを握りしめたまま渋っている俺に貴斗は少し身を乗り出してきた。



「母さんなら和希が来れば喜ぶしさ。それに、和希が欲しがっていたゲーム、買ったから一緒にやらね?」



「!」



その言葉に一気に興味が湧いた。


そ、それはもしや!



「devil disguise killer2か!?」



「そう」



「おーマジか!行く行く!」



あっさり交渉成立。

うん、欲には勝てないよ。

だって、ずっとやりたかったゲームが出来るんだ、行くしかないだろう?



「よし、決まり!さ、会計済ましちゃおうぜ」



財布から会員カードを取り出して席を立った貴斗に続いて俺も立ち上がった。



頭の中はdevil disguise killer2の事でいっぱいで、早く早くと貴斗の家に急いだ。




【つづく】

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