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未来で全てを失った俺は、十歳に逆行し“二重マナ”で世界を救う  作者: ユミウタ


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16/22

団長の帰還

魔獣討伐隊の団員たちは、

誰一人、言葉を発せずにいた。


それも当然だ。


倒れているアレストは、

年こそ若いが、

この隊では実質ナンバー3の実力者。


その男が――

いとも簡単に、床に沈められている。


「……あー、もう」


沈黙を破ったのは、副団長だった。


「勝手に突っ込むなって言っただろ」


そう言いながら、倒れたアレストのそばにしゃがみ込む。


「雰囲気で、ただ者じゃないって分かるだろ」

「少しは考えろ」


「……すみません」

アレストは苦しそうに言った。

「ただ者じゃないとは思ってました」

「でも……体が、反応してしまって」


「まあな」

副団長はため息をつく。

「最初から、お前を模擬戦に出す予定だった」

「結果が早まっただけだ」


そのとき――


「あの……」

俺は恐る恐る声を上げた。

「試験は……どうなりますか?」


「そうだな……」


副団長が考え込んだ、その瞬間だった。


――ぞわり。


背後から、

圧倒的な“マナ”の気配が流れ込んできた。


「……なんだ、こりゃ」

「カチコミか?」


次の瞬間、

強烈なマナを全身に纏った男が、

庁舎の入口から踏み込んできた。


考えるより早い。


男はそのまま、俺に斬りかかってきた。


「どこの刺客だ!」

「子供を装って、アレストをのしただと!」


――速い。


師匠ほどじゃないが、

体と武器にマナを纏わせた、実戦の動き。


俺は反射的に、防いだ。


「……なに?」

「俺の攻撃を、防いだだと?」


男の目が、細くなる。


「何者だ、貴様」


「ま、待ってください! 団長!」


副団長が、慌てて間に入る。


「この子は、刺客ではありません」

「魔獣討伐隊の、入隊希望者です」


「……入隊希望者?」


「はい」

「クレストさんの息子さんで」

「魔獣討伐を志願されていました」


「それで、模擬戦を行い……」

「アレストが、やられました」


「……え?」


一瞬、団長の表情が固まる。


そして次の瞬間――


「はははははっ!」


豪快な笑い声が、庁舎に響いた。


「クレストの息子か!」

「なるほど、なるほどな!」


そう言って、

団長は俺の背中を、バシバシと叩いてくる。


「いやあ、すまんすまん」

「勝手に勘違いした」


その一撃一撃が、重い。


(……この人、やばい)


強さも、存在感も、

今まで会った誰とも違う。


こうして俺は、

魔獣討伐隊の“本物”と、正式に顔を合わせたのだった。



※団長視点


俺の不意打ちを、防いだ。


その事実だけで十分だった。


――何者だ、こいつ。


俺は一瞬で理解した。

目の前にいるのは、ただの子供じゃない。


少年の皮を被った、

“化け物”だ。


異常な気配。

鍛え上げられた体。

反射ではなく、判断で動く防御。


子供だからと侮れる相手じゃない。


そう思った、そのとき――


「この子は、刺客ではありません」

「魔獣討伐隊の、入隊希望者です」


副団長の声が割って入る。


「……入隊希望者?」


久しぶりだな。

この村で、そんな酔狂なことを言う奴は。


「はい」

「クレストさんの息子さんで」

「魔獣討伐を志願されています」


……クレストの息子?


ああ、思い出した。

一年前、突然よその村に修業に行ったって話の――。


「それで、模擬戦を行い……」

「アレストが、やられました」


「……え?」


一瞬、思考が止まる。


アレストは、うちの実質ナンバー3だ。

だが――


すぐに、納得した。


相手が悪かった。

それだけの話だ。


次の瞬間、

俺は腹の底から笑っていた。


「はははははっ!」


庁舎に、豪快な笑い声が響く。


「クレストの息子か!」

「なるほど、なるほどな!」


そう言って、

俺は少年の背中を、バシバシと叩いた。


骨がしっかりしている。

芯もある。


「いやあ、すまんすまん」

「勝手に勘違いした」


誤魔化すように笑いながら、

俺は確信していた。


――強い。

技だけじゃない。

体も、覚悟も、出来上がっている。


こいつは、面白い。


だが――


「魔獣討伐隊の試験はな」

「俺が、最終試験だ」


そう言って、

俺は一歩、前に出た。


「俺とも、やろうぜ」

「お前の実力、全部見せてもらう」



「だ、だ、団長……」


「これは決定打だ」

「それに、俺の許可なくこの団に入れると思うなよ」


……そうか。

団長は不在だったんだ。


「はい、分かりました」


俺も、

今の自分の実力がどこまで通じるのか、

確かめたかった。


「いいねぇ」

団長は楽しそうに笑う。

「そうでなくちゃな」


……どこか、

師匠に似ている気がした。


「はぁ……」

副団長は頭を抱える。

「どうなっても知りませんよ」


そう言いながら、

俺たちは隊員たちが使う訓練場へ向かった。

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