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未来で全てを失った俺は、十歳に逆行し“二重マナ”で世界を救う  作者: ユミウタ


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12/19

導きの森の異変とロドスト

「じゃあ、このままさらに魔獣を狩るぞ」


師匠の声を聞きながら、俺は剣を握り直した。


「最近な、魔獣の数が増えてきたって討伐依頼が多いんだ」


「……え?」


「魔獣、増えているんですか?」


前世の記憶では、

この時期にそんな話は聞かなかった。


「まあな。俺たちみたいな連中が定期的に倒してるから、治安が保たれてるってわけだ」


(……だから被害が出ていなかったのか)


では、

ラガン村が襲われたのは偶然ではない――。


「師匠」


「魔獣を意図的に村へ誘導する方法って……ありますか?」


アレン師匠は少し考え、首を振った。


「俺の知る限りじゃ聞かねぇな。

だが――エレナなら何か知ってるかもしれねぇ」


「帰ったら聞いてみます」


「よし。じゃあ次は――」


にやり、とあの顔になった。


「どっちが多く狩れるか、競争だ」


「えっ、ずる――」


言い終わる前に、師匠は森を駆け出していた。

その後、俺たちは中層に現れた魔獣を

片っ端から狩りつくした。





日が落ちた頃、エレナの家へ向かった。

雑用を終えたあと、俺は切り出した。


「エレナさん。魔獣を“呼び寄せる”方法って……ありますか?」


「急にどうしたの?」


エレナは不思議そうな顔をしつつ、すぐに思考モードに入る。


「あるには、あるよ」


「あるんですか……!」


「過去の魔道遺物の中に、

“魔獣を引き寄せる笛”とか、

“遠距離から魔獣を召喚する陣式”とかが記載された資料がある」


背筋が冷えた。


「……その遺物を作ったのって」


「滅びた国、ロドスト」


淡々と言うエレナの声が、やけに重く聞こえた。


「かつて魔道を極めた国。

でも思想が歪み、邪神と契約して世界を支配しようとした」


「結果、神名様の守り人たちによって滅ぼされたわ」


神名様と“邪神”の対立。

そして数百年前の滅亡。

その史実だけで、胸がざわついた。


「この話、本来は守り人以外には知らされないよ」


「……俺が聞いても?」


エレナは微笑む。


「君はもう、守り人の一員。

神名様はそう判断してる」


胸が重く熱くなる。


(ロドスト……

魔獣を呼ぶ遺物……

そして――ザース)


嫌な線が一本に繋がりかけていたが、

まだ答えには届かない。

――その夜、胸騒ぎのまま眠りについた。


???視点)


……くくく。

“仇なす芽”が育っているらしい。

だが、あまりにも小さな村だ。

本当に、あの方に牙を剥けるというのか?


もっとも――


命令とあれば、従うのみ。

この一帯の“処理”を着実に進めねばなるまい。


ただし問題がある。

追い詰めたときにこそ、力は覚醒する。


この“芽”を軽率に刺激してはならない。

覚醒する前に――


我々が「保護」するのが最善。

生き残った者へ慈悲を与え、救い出す。

感謝と依存を植え付け、

成長しないまま飼いならす。


最大効率の“管理方法”だ。

それに、従順な駒が欲しいなら


平民より、

貴族。

貴族よりも、

皇国の血を引く者が良い。

従わせるのが簡単だからな。


皇国の同志にも連絡を入れておくか。

いずれにしても――



すべては、

〈ロドスト〉復興のために。


※クリス視点


翌日。

導きの森の中層へ戻ってみると――


異常さは、昨日以上だった。

“数”が明らかにおかしい。


狩っても狩っても減らない。


まるで“増産されている”かのようだ。


「師匠……」


「深層から、いやな気配がします」


「……俺もだ」


アレン師匠の表情が硬くなる。


「この魔獣の動き、自然じゃねぇ」


(意図的だ……)


「時間がねぇ。行くぞ、クリス」


「はい!」


森の深層――

前世でも“入ってはいけない”とされていた領域。


そこに足を踏み入れると――


「……師匠。これ……」


「最悪だな」


そこにいたのは――


「ゴブリンキング……!」


ゴブリンの“最終進化体”。

存在するだけで空気が重くなるほどの殺気。

異常繁殖。

広域の強化。


近隣の村を滅ぼす能力。


「放っておける相手じゃねぇ」


アレンは即断した。


「クリス、周囲の群れは全部お前が片づけろ」


「俺はキングを抑える」


「でも――!」


「考える暇はねぇ!」


怒鳴り返される。


「キングが生まれた時点で、人が住める環境じゃねぇ。

一刻も早く倒すぞ!」


師匠は一気に地を蹴り、ゴブリンキングへ突っ込んだ。

あれは本来――


複数人で挑む魔獣だ。

それを“一人で”やるのがアレン師匠だった。


「くらえ――秘儀《烈風斬》!!」


空気が裂けた。

暴風のような剣気が森を震わせる。


俺はその背中を見て、確信した。


(……やっぱり、師匠は化け物だ)


自分の戦いに集中する。

ゴブリン。

ゴブリン。

ゴブリン。

気づけば百を超えていた。

全身が汗で濡れ、息も荒い。


だが、体はまだ動く。

――そして。


「ぶおおおおおん!!」


轟音のような咆哮。

ゴブリンキングの巨体が崩れ落ちた。


「師匠! やりましたね!」


「おう……さすがに疲れたぞ、こりゃ」


軽く笑うが、その背中はどこか重かった。

だが――


静寂は、長く続かなかった。


「やれやれ……」


どこからともなく、不快な声が響いた。


「私の用意した“ペット”を倒したのは、あなた方ですか?」


男が現れた瞬間――

俺の胸の奥で、マナがざわつく。


……不気味。


心が拒絶するような感覚。

アレンが低く言い放つ。


「ロドストの人間か」


男は薄く笑う。


「ほう。ご存じですか。

ええ、ゴブリンキングを放ったのは私です」


「なんの目的だ」


「さぁ?」


「私は“あのお方”の指示に従っただけですよ」


その声音が嫌に楽しげだった。

そして――


「見られた以上、生きて帰られては困りますので」


殺気が、爆発した。


「師匠……!」


「来るぞ、クリス!!」


こうして俺たちの――

第二ラウンドが幕を開けた。

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